2006年度上智大学シラバス

2006/03/01更新
◆模擬裁判(刑事) - (後)
更田 義彦,岩瀬  徹,猪俣 尚人
○講義概要
第1審刑事裁判の過程について、学生が裁判官、検察官、弁護人等の役割を分担して訴訟活動を実演し、これを通じて、証拠に基づく事実認定、証人尋問の技法、各種の訴訟行為の在り方などを体験理解することを目標とする。
検察官役においては、捜査記録に基づく起訴状の作成、第1回公判期日前の事前準備活動(立証計画の策定、記録の整理、証拠の開示、争点の確定、冒頭陳述の作成など)、公判段階における立証活動(証人との事前面接、証人尋問における主尋問の技法、特信性立証のための尋問技法など)、論告・求刑の仕方などを担当し、実践する。
弁護人役においては、第1回公判期日前の事前準備活動(被告人との接見、開示記録の検討、弁護方針の策定、検察官請求証拠に対する意見、証拠の収集、立証計画の策定、冒頭陳述の作成など)、公判段階における立証活動(検察官請求の証人に対する反対尋問の技法、弁護側立証の技法)、弁論などを担当し、実践する。裁判官役においては、公判期日全般の運営と訴訟指揮、証人尋問における補充尋問の技法、証拠に基づく評議、判決などを担当し、実践する。法曹三者出身の実務家教員が共同して、これらについて講義、教示する。
○評価方法
授業への準備と参加の状況による。
○テキスト
実際の刑事裁判記録を加工した記録教材を使用する。教材は、手続の進行に応じて、それぞれの段階ごとに配付し、できる限り実際の裁判に近い形で進行するように配慮する。
○参考書
適宜指示する。
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1模擬裁判という科目の性質上、機械的に、週1回の授業を繰り返すことはしない。実質的にみて、1回90分、13回分の内容となるように配慮する。進行の順序は、おおむね以下のとおりとする。
2オリエンテーション:進行方法の説明、打ち合わせを行う。ビデオを見て、第一審公判手続をあらためて概観するほか、裁判官の役割、検察官の役割、弁護人の役割等について説明する。
3公判準備:事前準備は、週1回、90分という授業枠の拘束をはずして、担当者それぞれの責任において行う(ただし、週1回の授業日を各段階における節目としていく。例えば、いつまでに起訴状を作成するというようにする。具体的な指示はあらためて別途行う)。
4公判準備(続き):事前準備その他の公判期日外の活動には、そのすべてに教員が立ち会うことはしないが、適宜、指示をすることがある。そのため、打合せを行った日時、時間、内容を記載したレポートの作成を義務づけ、後にこれに基づき講評する。この事前準備の期間(オリエンテーションから第1回公判期日までの期間)は、おおむね1か月とする。
5公判期日:教材とする事件記録により、多少の異同はあるが、概ね ① 起訴状朗読から証拠調べ(同意書証の取調べ及び1人目の証人尋問まで)を1期日で実施(できればビデオに収録)、② 2人目の証人尋問及び被告人質問を1期日、③ 論告求刑・最終弁論に1期日、④ 判決に1期日 のように進行する。1期日は2コマ連続して割り当てることもある。
6講評:2コマ毎2回の講義を予定する。事前準備段階については、上記のレポートの内容を取り上げることにより、公判段階については、ビデオに収録した場合にはそれを再現するなどの方法により、検察官、弁護人、裁判官の訴訟行為・活動等の当否や是非などについて、学生にも議論させ、教員からも、詳細な講評、教示を行う。
7講評(続き):また、ここで、「尋問技術」といった点も取り上げ、刑事科目の「仕上げ」とする。また、適宜、模擬裁判に関わる刑事訴訟法上の問題点について、議論することも予定している。

  

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