2006年度上智大学シラバス

2006/02/24更新
◆中世哲学文献研究Ⅱ - (後)
RIESENHUBER Klaus
○講義概要
盛期スコラ学のトマス・アクィナスの『神学大全』(第2部)の倫理学において古代の倫理思想、特にアリストテレス『ニコマコス倫理学』とキリスト教の伝統による徳論とが巧みに総合されている。本講義ではこの哲学的倫理学の諸テーマを取り扱い、それに含まれる実践的人間像を吟味する。人間の自己実現という地平において幸福と自由行為、感情と徳の関係、人間本性と自然法の理論が基盤となり、古代倫理思想の中心を成す枢要徳(思慮・勇気・摂生・正義)が展開され、さらに超越との関係に導く信仰・希望・愛の構造が内容豊かに解明されている。本講義はトマスのテキストを和訳のプリントに基づいて解釈することを通して行われる。
○評価方法
出席状況(30%)、レポート(70%)
出席は最低3分の2以上であること。
○テキスト
その都度、プリントを配布する。
○参考書
クラウス・リーゼンフーバー『中世思想史』平凡社ライブラリー2003年
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1「神学大全」における哲学・倫理学・神学の関係
2人生の目的と人間的行為
3自由選択による行為の諸要素
4倫理的行為と感情
5習性と徳
6神法と自然法
7枢要徳:思慮;正義
8枢要徳:勇気;摂生
9信仰
10希望
11愛徳
12観想と活動
13恩寵と聖霊の賜物

  

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