2005年度上智大学シラバス

◆貧困論 - (前)
川上昌子
○講義概要
社会福祉の歴史的原点であり、今日においても構造的原点といえるところの貧困問題について理解することを目的としている。今日のホームレスは明視的な貧困であるが、それだけではなく、経済の高度成長期以来、「見えない貧困」といわれてきたが現実に貧困は大量に存在する。なぜ貧困は見えないのか、どのような視点に立てば見えてくるのか。また貧困の実在が人々の暮らしとどのような関わりを持っているのか。社会福祉は今日福祉サービスの普遍的提供であると考えられているが、サービスニードも一様でなく現実に経済的側面により影響を受けている。サービスニードも貧困と無縁ではない。そのため貧困の理解は重要である。
○評価方法
レポート(10%)
○参考書
『教科書は使わない。参考書は授業の中で紹介する。』
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1貧困と社会福祉に関する歴史的概観
2二つの貧困概念 絶対的貧困―相対的貧困
3貧困研究1)C.ブースの貧困研究―貧困観、社会階層
4貧困研究2)S.ラウントリーの貧困研究―貧困線、貧困の兆候、家族の要因
5貧困研究3)P.タウンゼントの貧困研究とA.センの貧困概念
6貧困研究4)日本の貧困論争―窮乏化理論
7貧困研究5)日本の貧困研究―籠山京の貧困線研究、江口英一の低所得不安定層
8日本の貧困1)戦前の貧困の特徴―貧民について
9日本の貧困2)戦後の貧困―貧困の現れ方の特徴、貧困線か社会階層か
10日本の貧困3)高度成長期以降の貧困―貧困の隠蔽化とホームレスによる顕在化
11社会福祉と貧困1)家族と貧困、住宅と貧困、地域と貧困
12社会福祉と貧困2)社会福祉サービスと貧困
13まとめー生存権保障について

  

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