2005年度上智大学シラバス

◆農業と環境 - (後)
森田 茂紀
○講義概要
食糧生産を担う作物栽培を、作物と環境と管理という要素からなるシステムとして捉えたうえで、歴史的、地理的にどのような農業システムが存在してきたか、それが生態環境にどのように規定されているかを解説する。また、最近の地球環境問題が作物栽培にどのような影響を与えているかを踏まえて、持続的農業について考察する。
○評価方法
出席状況(25%)、リアクションペーパー(25%)、レポート(50%)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
11.人口増加と食糧生産
 地球全体の人口増加と食糧生産の基盤となる作物栽培とのバランスについて、生産、流通、消費、廃棄といった側面から考察する。
22.農業生態系の特徴
 農業生態系が作物・環境・管理という要因から構成されていることを前提に、自然生態系と比較した場合の特徴について解説する。
33.生業・産業としての農業
 世界における主要な農業システムの類型を概説するとともに、生業としての農業および産業としての農業という視点を提示する。
44.稲作と生態環境条件
 代表的な農業システムの一例としての稲作農耕を取り上げ、世界各地の様々な生態環境条件に適応している状況を紹介する。
55.焼畑農耕の人口支持力
 伝統的農業システムとしての焼畑農耕の人口支持力について考察しながら、持続的農業としての特性とその危うさを解説する。
66.施設栽培と環境制御
 フィールドにおける作物栽培の、もう一方の対極にある施設栽培を取り上げ、閉鎖系・半閉鎖系における環境調節について解説する。
77.地球環境問題と農業1:水資源
 地球環境問題として水資源問題を取り上げ、量的な問題(不足・過剰)と質的な問題と作物栽培との関係について解説する。
88.地球環境問題と農業2:土壌環境
 地球環境問題として土壌環境問題を取り上げ、作物栽培に対する土壌浸食、砂漠化、塩類集積などの影響について解説する。
99.地球環境問題と農業3:大気環境
 地球環境問題として大気環境問題を取り上げ、とくに二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの作物栽培に対する影響を解説する。
1010.伝統的知識の再検討
 世界各地における水資源や土壌環境の保全に関する伝統的な知識の重要性と、現代的科学的な再検討の必要性について指摘する。
1111.農法と作物栽培様式
 間作、混作、輪作、田畑輪換などの代表的な農法や作物栽培様式を解説するとともに、持続性・循環・共生という視点から考察する。
1212.低投入持続的・環境調和型農業
 低投入持続的・環境調和型農業という考え方を紹介するとともに、その代表例として不耕起栽培、直播栽培、精密農業を紹介する。
1313.循環と共生という視点
 農業システムにおける循環と共生という視点について、バイオマス利用や土壌微生物の利用の観点を含めて考察する。

  

Copyright (C) 2004 Sophia University
By:上智大学学事部学務課