2005年度上智大学シラバス

◆海洋と環境 - (後)
山形 俊男
○講義概要
本講義では地球環境を考える上で基本となる現在の地球気候の基本構造とその揺らぎの仕組みをできるだけ平易に理解することをめざす。まず、ユニークな水惑星<地球>の気候を構成する大気と海洋の大循環の平均描像とその季節変動をデータや図を用いて詳しく解説。次いで、そのからくりを平易に物理法則に還元して理解する。季節に揺らぎを与え、世界各地に異常気象をもたらすエルニーニョ現象やダイポールモード現象などの気候変動要素現象の発生、発達、減衰機構や遠隔地に及ぼす影響を解説し、地球温暖化がこうした要素現象の発生頻度や強度に与える影響を論じる。気候研究の歴史や気候変動と社会の関係についても言及する。
○評価方法
出席状況、授業参画、レポート
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○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1ユニークな水惑星地球
太陽系の中でユニークな進化を遂げた地球を理解する。
2地球気候システムの熱収支
宇宙から眺めた地球システムの熱収支と地(海)表面での熱収支の違いから温室効果を理解する基礎を学ぶ。
3地球気候システムの水収支
水惑星地球の淡水循環について学ぶ。
4大気大循環の構造I
大気大循環の基本構造とその維持機構を学ぶ。
5大気大循環の構造II
大気大循環の基本構造とその維持機構を学ぶ。
6海洋表層大循環の構造I
大気の風で駆動される海洋表層大循環の基本構造とその維持機構を学ぶ。
7海洋表層大循環の構造II
大気の風で駆動される海洋表層大循環の基本構造とその維持機構を学ぶ。
8海洋湧昇と生態系
世界海洋に分布する冷水湧昇域の成因とその気候変動や海洋生態系への意義を学ぶ。
9エルニーニョ現象とダイポールモード現象
気候変動要素現象について、そのメカニズムを学ぶ。
10エルニーニョ現象とダイポールモード現象と社会へのインパクト
異常気象をもたらす気候変動要素現象と社会との関係について学ぶ。
11海洋深層大循環の構造
長期の気候変動の鍵となる海洋の深層大循環の基本構造とその維持機構を学ぶ。
12地球気候システムの歴史
氷期・間氷期サイクルが顕著になった第4紀(約200万年前から現在)の気候変動について学ぶ。
13地球温暖化と気候変動
人為起源の可能性のある地球温暖化と最近の気候レジームの変化との関係を、古気候データなどを活用し考察する。

  

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