2005年度上智大学シラバス

◆産業廃棄物処理 - (後)
中杉 修身
○講義概要
事業活動に伴って排出される産業廃棄物は、家庭から排出される一般廃棄物とは性状も排出形態も異なり、その特性に応じた対応が必要となる。事務所などから排出される事業系一般廃棄物も含め、事業活動に伴って排出される廃棄物の排出、処理・処分及びリサイクル等の管理体制やそれに必要となる技術について解説する。また、不法投棄など、産業廃棄物の処理に伴って生じている問題について具体的な事例を紹介するとともに、今後に進むべき方向について考察する。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(20%)、後期学期末試験(授業期間中)(60%)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1廃棄物処理法における廃棄物の分類・定義について説明し、本講義で対象とする廃棄物の範囲について解説する。また、廃棄物処理がもたらす環境問題を、量的な増大がもたらす問題と質的な変化がもたらす問題に分けて解説する。
2産業廃棄物の流れに沿った、量的な側面からの管理について、発生抑制、リサイクル、中間処理及び最終処分の各段階において、循環型社会形成促進法、廃棄物処理法と各種リサイクル法が構成する枠組みを解説する。
3循環型社会形成法、廃棄物処理法と各種リサイクル法の組み合わせの下で、発生から処理・処分、リサイクルといった産業廃棄物の量的な流れの管理体制について解説する。
4産業廃棄物の量的な流れの現況を業種別、廃棄物種類別に紹介するとともに、各種法制度の整備状況と合わせて過去から流れの推移を考察するとともに、今後の見通しについても考察する。
5産業廃棄物の流れを質的に管理する制度について、廃棄物処理法と、バーゼル条約、ロンドン条約といった国際条約における規定などを中心に、過去からの推移を含め解説する。跡地管理で問題となる土壌法との関連についても解説する。
6有害廃棄物の発生・処理・処分の流れについて現況を紹介するとともに、産業廃棄物処理施設からの有害物質のモニタリング状況についても紹介し、リスク管理における有害廃棄物管理の重要性について解説する。
7産業廃棄物の収集輸送、中間処理、リサイクル技術の現状と技術開発の動向について紹介する。また、特別管理産業廃棄物の無害化処理技術についても現状と動向を紹介する。
8廃棄物の埋立処分地は、廃棄物の性状に応じて安定型、管理型、遮断型の3つの類型に分けられている。それらの構造や維持管理法について解説するとともに、処分地の閉鎖や跡地管理の問題点についても考察する。
9産業廃棄物を含め、環境問題を根本から解決する手段として、ゼロエミッションの考え方が提案されているが、このような考え方に基づいて行われている事業者自らの取り組み事例を紹介する。
10産業廃棄物処理で大きな問題となっている不法投棄の現状について解説する。豊島、青森・岩手、福井などの大規模事例については、個々の状況について解説する。
11産業廃棄物の不法投棄対策について解説する。不法投棄を防止する施策やそのために技術開発の動向を紹介する。また、汚染環境の修復について、豊島と福井の事例を紹介する。
12産業廃棄物処理を行う際に住民とのトラブルがたびたび発生している。このようなトラブルの解決は難しい問題であるが、豊島では行政と住民の間に学識経験者が間に入ることで修復事業が進められている。この状況について紹介する。
13試験。授業の進捗状況によっては、残った講義を行い、定期試験期間中に試験を行う。

  

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