2005年度上智大学シラバス

◆自然保護法 - (後)
畠山 武道
○科目サブタイトル
法律は生物多様性を保護できるのか(思想と実践)
○講義概要
 生物多様性保護を基調とする最近の自然保護理論と、それを法的・制度的に保護するための仕組みについて学習し、現在の制度の問題を把握し、広域的・長期的・適応的な観点から自然資源を管理するための制度を展望します。判決、新聞記事、法律案などを随時利用し、自然保護法の動きを、リアルタイムで理解する。法的・制度的知識だけではなく、生物学的な基礎知識についても学習し、外国の事情も参照する。
○評価方法
出席状況(20%)、レポート(30%)、後期学期末試験(授業期間中)(50%)
○テキスト
畠山武道『自然保護法講義(第2版)』 北海道大学図書刊行会・2004年
○参考書
日本自然保護協会『生態学からみた野生生物の保護と法律』講談社・2002年
沼田眞『自然保護ハンドブック』朝倉書店・1998年
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1(1)自然保護と自然保護法:自然保護の歴史、自然保護思想の転換、生物多様性保護、ニューエコロジー
2(2)自然保護法の基本原則:環境権、公共信託と入浜権、エコシステム管理
3(3)森林生態系の保護(1):森林の現況、戦後日本の森林政策、森林・林業基本法
4(4)森林生態系の保護(2):森林計画、保安林制度、林地開発許可、大規模林道
5(5)森林生態系の保護(3):国有林と森林生態系保護、先進諸国の森林政策、森林認証
6(6)河川生態系の保護:河川管理の歴史、河川法、河川管理と住民参加、砂利採取
7(7)ダム・堰と生態系の破壊:ダムと生態系、ダムと住民、長良川河口堰、水利権「ダムの時代は終わった」
8(8)海岸・湿地生態系:海岸湿地・干潟の役割、海岸法、公有水面埋立法、干拓事業
9(9)ラムサール条約と湿地保護:多様な湿地の役割、ラムサール条約と登録湿地、ついでに世界遺産条約
10(10)自然景観の保護(1):国立公園の誕生(世界、日本)、世界の国立公園、自然公園法とその改正
11(11)自然景観の保護(2):多すぎる利用者、利用調整地区、エコツーリズム
12(12)野生生物保護と鳥獣保護:鳥獣保護の歴史、鳥獣保護法、狩猟の規制、鳥獣保護区、有害鳥獣捕獲
13(13)種の絶滅を阻止する:種の絶滅の進行、天然記念物、種の保存法、進まない対策
14(14)外来種問題、ワシントン条約:外来種問題、外来種規制法の制定
15(15)総合討論:自然をどう保護するか。法と制度、倫理の役割

  

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