2005年度上智大学シラバス

◆応用化学特論Ⅰ - (後)
浜田 秀昭、葭村 雄二、森本 剛
○科目サブタイトル
排気ガス浄化触媒(浜田)
石油系及び非石油系燃料の化学とその製造技術(葭村)
電気二重層キャパシタと燃料電池(森本)
○講義概要
(浜田):排煙脱硝触媒や自動車触媒など排気ガス中の汚染物質を無害化する種々の触媒についてその基礎から最新の研究開発動向までを解説する。また、講師の研究グループで行っている窒素酸化物除去触媒に関する最近の研究内容を紹介する。
(葭村):石油製品であるガソリンや軽油等の燃料油の化学及び各燃料油のクリーン化製造技術について詳述すると共に、環境規制強化に向けた最新の対応技術、将来に向けた天然ガスやバイオマスを利用した新燃料技術についても講義する。
(森本):充放電特性に優れた新しい二次電源として注目されている電気二重層キャパシタ、及び、環境汚染物質の排出が少なく、理論的エネルギー変換効率が高いため、自動車などへの応用が期待されている燃料電池(特に固体高分子電解質型燃料電池)について講義する。
○評価方法
出席状況(50%)、レポート(50%)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1「種々の排気ガス浄化触媒」(浜田):固体触媒に関する基礎知識を復習した後、ボイラー対象の排煙脱硝触媒やダイオキシン分解触媒、触媒燃焼と触媒燃焼を用いた排ガス浄化など種々の排気ガス浄化触媒について、その概要を解説する。
2「ガソリン車用触媒」(浜田):自動車による環境汚染問題と自動車排ガス規制について述べた後、ガソリン自動車に実用化されている三元触媒についてその原理や構造等を解説するとともに、最近のガソリン車排気ガス用触媒の高度化技術について紹介する。
3「ディーゼル車用触媒」(浜田):大都市部で排ガスによる汚染が問題となっているディーゼル車に関して、排ガスのクリーン化技術の概要を解説した後、特に、NOx除去触媒技術、PM処理技術について最近の研究開発動向を詳細に述べる。
4「NOx除去触媒の研究」(浜田):講師の研究グループが行っているNO直接分解触媒とNO選択還元触媒の研究開発について、基礎研究から実用的な触媒開発までの内容を紹介する。
5「石油資源とその利用」(葭村):石油の化学、石油製品の用途、石油製品の製造プロセスについて解説。石油製品である燃料油のクリーン化(特に硫黄低減)規制の動向と意義、燃料油の環境適合化の社会的意義、これらのニーズに対する触媒化学技術の貢献と役割について解説する。
6「クリーン燃料の製造技術(軽油)」(葭村):軽油のクリーン化を対象とし、水素化精製(脱硫)反応の化学、反応速度解析、水素化精製触媒、水素化精製プロセスについて解説する。硫黄量を10ppm以下に低減するための最新の触媒化学、触媒反応技術について詳述する。
7「クリーン燃料の製造技術(ガソリン)」(葭村):ガソリンのクリーン化を対象とし、水素化精製(脱硫)反応の化学、反応速度解析、水素化精製触媒、水素化脱硫プロセス、ガソリン基材製造プロセスについて解説する。硫黄量を10ppm以下に低減するための最新の触媒化学、触媒反応技術について詳述する。
8「非石油系クリーン燃料の製造技術」(葭村):石油代替燃料を対象とし、天然ガスからの合成燃料、バイオマスからの輸送用燃料、将来に備えた水素製造の化学、反応技術、関連触媒技術について解説する。京都議定書対応に向けた我が国の取組み、非化石資源のクリーン燃料化の意義について解説する。
9「電気二重層キャパシタの原理、構成材料」(森本):電気二重層キャパシタの作動原理や種類を説明する。ついで主に非水溶液系について、構成する電極材料や電解液の溶質や溶媒の種類、物性とキャパシタ特性との関連を解説する。
10「電気二重層キャパシタの特性と応用、現状の課題」(森本):大電流での充放電特性や充放電サイクル特性が優れていることを説明する。このため小型品は通信機器におけるメモリバックアップ用途、大型品はHEV等におけるモーター駆動やエネルギー回生などに用いられていることを解説する。
11「燃料電池の原理、構成材料」(森本):燃料電池の種類やそれぞれの作動原理を説明する。固体高分子電解質型燃料電池を中心に、電極材料、電解質材料、バイポーラープレート等の構成材料のマクロ、ミクロ構造や備えるべき特性、問題点を解説する。
12「燃料電池の特性と応用、現状の課題」(森本):各種の燃料電池の特性を比較するとともに、それらが自動車のエンジンに変わる動力源、また熱電併給を可能にする家庭用小型電源、さらには携帯用ポータブル電源等での応用が期待されている様子と現状の課題を解説する。

  

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