2005年度上智大学シラバス

◆現代哲学文献研究Ⅲ - (前)
一ノ瀬 正樹
○科目サブタイトル
自由論序説 -自由・偶然・必然-
○講義概要
「自由」という、筋金入りの哲学的難問について思考の端緒を開きたい。今回は、「自由」は「必然」と対比されてきたが、同時に「必然」は「偶然」と対比されてきたという事情に照らして、「自由」と「偶然」はどのように連関するのか、という問いを立てていきたい。手始めに、ヒュームを取り上げ、彼の著名な両立主義を検討する。両立主義とは、自由と必然は対立せず、むしろ両立する、という考え方である。ヒュームの議論を手掛かりに、自由概念が錯綜した形で偶然性に絡み取られていくさまを跡づけたい。時間に余裕があれば、偶然性と確率、自由と責任、といった問題についても言及していく。
○評価方法
授業参画(10%)、前期学期末試験(定期試験期間中)(90%)
できるだけ質問の時間を設けるので、積極的に質問してほしい。鋭い質問をした場合は、当然それを評価に含めたい。
○テキスト
中才敏郎編『ヒューム読本』 法政大学出版局・近刊予定
○参考書
D.ヒューム『人間知性研究』法政大学出版局・2004年
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1自由・偶然・必然の対比について導入的説明をした後、自由という概念が、日常的にどのように用いられているかを確認して、過去視線と未来視線という二つの用法があることを押さえていく。

  

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