第16回 輝くソフィアンインタビュー 豊田圭一さん

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第16回 輝くソフィアンインタビュー 豊田圭一さん

2013.09.26

旅行とアルバイトに明け暮れた大学時代も今の自分をつくる大切な経験になっています 豊田 圭一さん 株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役□1992年卒業(経済学部経済学科)

豊田 圭一さん 株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役
株式会社JIN-G 執行役員/内閣府認証NPO法人 留学協会 副理事長
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所 招聘研究員
All About [留学] ガイド/異文化経営学会 所属
1992年卒業(経済学部経済学科)

グローバル人材育成の必須科目は
体当たりで勝ち取る自信とリアル・スタディ

日本企業のグローバル化に人材育成の面で貢献していくこと―これが私のミッションです。グローバル人材育成事業を始めたきっかけは、私がアメリカの大学への留学をサポートする会社を経営していた時に、とある企業の人事担当者の方から「アメリカの大学を卒業していなくてもいいから、半年や1年でもインドや東南アジアに留学した人はいない?」という話を聞いたこと。現在、アジアの時代と呼ばれ、多くの日本企業が東南アジアやインドといった新興市場でのビジネスを加速していますが、そこで活躍できる日本人がなかなかいないという状況があるとのことでした。そこで、私が考えたのは、長期間の留学ではなく、短期間でもいいから新興国に身を置き、主体的に考えてアクションを起こさないと成果をあげることができないという海外研修を行うことでした。

そもそも、海外で活躍する人材に求められる力とはなんでしょうか。私はどこに行っても、どんな環境や状況でも、やるべき仕事をふつうにやり、成果をあげることができる事だと思います。そのために最も必要なものは、語学でも異文化理解でもありません。「①主体的に考え、②行動し、③成果を意識すること」この三つが基本です。したがって当社の海外研修プログラムでは、例えば「(やり方は各自で考え)ベトナム語で自己紹介や自社紹介をできるようになって戻ってくること」とか「現地の日系企業の社長に新規事業プランを提案すること」などといった大小の現実課題を与えます。毎日の課題を1つ1つクリアしていくことで、受講者は「海外でもやっていけるかもしれない!」「海外でやってみたい!」という気持ちになると同時に、自分に足りないところにも気付いて、そこを伸ばしていこう!というきっかけをつくることができるのです。つい先日、大手食品メーカーの中堅社員が私の海外研修を受けたのですが、後日人事部から「こんなに大きな効果のあった研修は初めてです」という声をいただきました。研修を任される身として、これ以上ない称賛の言葉ですね。

在学中の英会話サークルやバックパッカーなど
さまざまな経験が今のビジネスに生きています
グローバルで活躍する人材を目指す大学生のための
2ヶ月間のビジネス研修プログラム、
グローバルチャレンジプログラム(GCP)

研修の舞台はインドやベトナムなどアジア新興国が中心です。私は大学在学中、バックパッカーとして、バンコクを起点にアジア各国を巡っていたので親しみがありますし、現地の空気を吸い、体感してきたので受講者に伝えられることがたくさんあります。また、私が英語を話せるのは、上智の英会話サークルで毎日30分~40分ほど英語コミュニケーションをとっていたから。所属したのは1年間だけでしたが、毎日英語学校に行っているようなものだったので、仲間内では一番英語が得意でした。

大学卒業後は大手総合建設会社に入社。しかしながら、自分のキャリアのスタートは、海外教育コンサルティング事業の起業に参画した25歳からだと思っています。本当は新卒で入った会社を足掛かりに海外で活躍したいと思っていましたが、バブル経済が崩壊し、会社が海外事業からどんどん撤退する中で、早い段階で海外赴任できるという夢が潰えて腐っていたとき、たまたま同じ部署の先輩が起業するということでついていったのが本当のところです。

独立したら力をつけざるをえない状況が待っていました。考えてみれば当たり前のことですが、仕事は自動的に与えられるわけではなく、自分たちで仕事を取ってくるしかありません。だから、ライバルの多い語学留学ではなく、大学・大学院留学にフォーカスした事業で差別化しました。そして、亀のような歩みではありましたが、なんとか売上も上がるようになりましたし、また個人的には生活総合情報サイトAll Aboutで「留学」の専門家として記事を書くようになったりして、留学業界で私の名前が広く知られることに。そうした経緯が今やっているグローバル人材育成の事業にも結び付いたのだと思います。「立場と経験」に私は育てられてきたのです。


  • 究極のグローバル人材育成研修
    「ミッション:コンプリート」

  • ミッションコンプリート研修の様子
負けを恐れて腰砕けになるのが本当の敗者
人生1勝99敗の精神で行けばいい

仲間と話をしていると「豊田、お前は運がいいよな」なんて言われることがあります。たしかに運はいいですが、それは私に幸運をつかむ準備と勇気があったからこそだと思うのです。反対にチャンスをつかめない人は「今はまだその時期じゃない」とか「まだこれができていない」とか、失敗を恐れてやらない理由を作りあげてしまうのではないでしょうか。

以前、上智の学生から「社会に出たら失敗できないので、学生のうちにたくさん失敗しておくべき」というお題目で講演依頼をされたことがありました。しかし私は、社会人こそ失敗から学び成長するものだと考えています。ユニクロの柳井さんでさえ「1勝9敗」でいいと言っているのですから、普通の人は「1勝99敗」だっていい。99回の失敗を恐れて挑戦を辞めたとき、人は本当の敗者になるのではないでしょうか。

それともう一つ。私が大切だと思っているのは欲望にフタをしないことです。人は欲望に素直なときほど行動にドライブがかかるもの。他人のアドバイスに流されたり、世間一般の「理想の人生」を歩もうとしたりするのではなく、自分のやりたいことをやりたいようにやったほうが、本来持っている力を発揮できると思うのです。そうして仮に失敗しても、「予想通り失敗した」とか「また新しいネタができた」ととらえればいい。自慢話と違って失敗談はいろんな場で披露できるし、一緒に楽しんでもらえます。何より、全力でやった結果の失敗は人生の糧になる。だから若いソフィアンのみなさんには挑戦を恐れず、自分の人生を生きてほしいですね。

豊田圭一さん プロフィール

1992年 上智大学経済学部経済学科卒業
1992年-1994年 清水建設株式会社
1994年-2010年 オーベクス国際交流協会(副代表)
2004年-2005年 株式会社Beat Communication(取締役)
2005年-2010年 株式会社グローバルモバイル(代表取締役)
2010年-2011年 株式会社ラストリゾート(取締役)
2011年- 株式会社スパイスアップ・ジャパン(代表取締役)
2010年- 株式会社JIN-G(執行役員)

1969年1月31日埼玉県生まれ。幼少時の5年間をアルゼンチンで過ごす。
上智大学経済学部を卒業後、清水建設株式会社に入社。1年間の建設現場勤務後、海外事業部にて海外工事の原価管理を担当。
1994年12月に退職し、海外教育コンサルティング事業の起業に参画。個人を対象にした留学コンサルティングのほか大手英会話スクールの留学事業立ち上げ、企業派遣留学のサポートなどに関わる。その傍ら、国際通信企業のマーケティング担当顧問やSNS開発会社の創業者兼取締役として活動。
2005年にはレンタル携帯電話サービス事業で起業。2005年から2007年の間、厚生労働省委託事業(委員会)の委員を務める。

主な著書に『いまある「ストレス」をスパッと消すコツ』、『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』、『自分がいなくてもまわるチームをつくろう!』、『何でもすぐ決めすぐ動く、すぐやるチームのつくり方』、『とにかくすぐやる人の仕事の習慣』がある。


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