2006年度上智大学シラバス

2006/03/05更新
◆【専門分野:ヨーロッパ研究科目】ヨーロッパ研究入門 - (後)
コーディネータ 高井 道夫
○講義概要
本科目は、外国語学部6学科の教員が、それぞれの専門分野の立場から2回づつ講義をおこなう輪講形式によっておこなわれ、外国語学部における専門分野・ヨーロッパ研究を志す学生諸君に、研究をはじめるにあたって基盤となるヨーロッパの文化のひろがりについての概観をあたえ、研究の方法論を獲得させることを目的とする。各担当講師の2回目の講義のあとリアクションペーパーの提出がもとめられる。2年次に履修することが望ましい。ヨーロッパ研究履修証明書の取得を希望するものは、かならず本科目を履修しなければならない。
○評価方法
出席状況(30%)、リアクションペーパー(70%)
○参考書
 第1回・第2回:宮島 喬『ヨーロッパ市民の誕生』岩波新書2005年、泉、中村、松尾編『グローバル化する世界と文化の多元性』上智大学出版 2005年、梶田 孝道『統合と分裂のヨーロッパ』岩波新書1994年
 第3回・第4回:東郷 公徳『シェイクスピアは楽しい』上智大学出版 2005年、ピーター・ミルワード『シェイクスピア劇の名台詞』講談社学術文庫 1986年、河合 祥一郎『「ロミオとジュリエット」恋におちる演劇術』みすず書房 2005年
『 第9回:ゼンコフスキー『ロシア思想家とヨーロッパ』現代思想社、1955年、レヴィーツキー『ロシア精神史』早稲田大学出版部、1989年
 第10回:ボウルト編著『ロシア・アヴァンギャルド芸術』岩波書店、1988年、桑野 隆『夢みる権利』東京大学出版会、1996年』
『第11回:デイヴィッド・ヒューズ『ヨーロッパ音楽の歴史』朝日出版社、1984年、Paul Gambaccini et al.,"The Complete Eurovision Song Contest Companion" London:Pavillon Books,1998』
『第12回:佐藤 忠男『ヨーロッパ映画』第三文明社、1992年、石原 郁子『映画をとおして異国へ―ヨーロッパ・アメリカ編』芳賀書店、200年』
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1今、なぜヨーロッパ研究か?:日本におけるヨーロッパ研究の意義について考える。(10月4日、フランス語学科:泉 邦寿教授)
2EU拡大統合と言語・文化・社会問題:欧州連合が言語・文化・社会についてどのような理念をもっているのか、そして、その理念がEU加盟各国の政策にどのような影響をあたえているのかを、とくにフランス語圏の国々を例にとって考察する(10月11日、泉 邦寿教授)
3シェイクスピアに見る西欧ルネッサンス:ルネッサンス期イングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの作品には、彼の生きた時代の西洋文明のあり方がいろいろな形で現れている。ここでは彼の作品から見えてくる西欧ルネッサンスについて、ギリシャ・ローマ神話、聖書、中世思
4想、民衆文化、宗教改革、印刷技術の発達、地理上の発見にともなう世界像の変化といったさまざまな視点から考えてみたい(10月18日、10月25日、英語学科:東郷 公徳助教授)
5ヨーロッパとはなにか?:文化的概念としてのヨーロッパを成立せしめるヨーロッパののアイデンティティを、その歴史、地理、他文化圏との交渉史などの考察をつうじてさぐる(11月8日、ドイツ語学科:ジャン・クロード・オロリッシュ教授)
6ヨーロッパ統合の道:ルクセンブルグを例にEU統合の歩みについて考える(11月15日、ジャン・クロード・オロリッシュ教授)
7西洋美術の見方と美術史学の方法論:神話画、宗教画を中心とする西洋美術の読み解き方と美術史学の方法論を、具体的な作例を見ながら論じる(11月22日、イスパニア語学科:松原 典子専任講師)
8美術から見たヨーロッパ:「美術」という観点から広くヨーロッパを見渡すための足がかりとして、政治的国境線を越えた美術的現象の過去の事例を取り上げて論じる(11月29日、松原 典子専任講師)
9近・現代のロシア思想:西欧派とスラヴ派の論争、ドストエフスキーの思想、ベルジャーエフやロヴィヨフの宗教哲学の核心を捉える(12月6日、ロシア語学科:村田 真一教授)
10現代のロシア芸術:シンボリズム、アヴァンギャルドの詩や絵画・舞台芸術の特質、モダニズムとロシア・チェコ・ポーランドにおけるアヴァンギャルドの関わりについて考える(12月13日、村田 真一教授)
11ユーロヴィジョンとヨーロッパポップス:1956年にヨーロッパ放送協会によってはじめられ、放送開始50周年になる2005年には39の参加国を数えるにいたった国別対抗音楽コンテスト、ユーロヴィジョンの軌跡をふりかえり、ナショナリズム、言語問題、ジェンダー論、ヨーロッパという概念などについて考察する。(12月20日、ポルトガル語学科:マウロ・ネーヴェス)
12ヨーロッパ映画とはなにか?:それぞれの国には固有の性格をもつ映画が存在する。たとえばフランス映画、ドイツ映画あるいはアメリカ映画といったように。では、ヨーロッパ映画とよびうる映画は存在するのだろうか。ヨーロッパ各国の代表的な映画作品にふれながら、映画で表現されたヨーロッパのイメージについて考える(1月10日、マウロ・ネーヴェス)

  

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