2006年度上智大学シラバス

2006/03/06更新
◆社会福祉思想史 - (後)
栃本 一三郎
○講義概要
世界の平和は、福祉社会の実現なしには成就しえない。そのことを確認することが社会福祉思想史を学ぶ目的でもある。今日の福祉国家,そして福祉社会に至る道のりのなかで,それぞれの時代や社会は社会福祉や社会保障に関してどのように考えていたのであろうか。そしてどのような思想や理念が社会福祉の進歩を促したのであろうか。福祉に関する思想,理念は宗教,社会哲学,一般社会思想や経済思想,経済学や社会学,政治学といった社会科学の影響を受けてさまざまな形で表現されてきた。またさまざまなグループや機関も今日の社会保障思想や社会福祉思想そして,新たな理念を社会や国家,そして世界に対して提起し,かつ社会福祉の実践や政策に影響を与えている。古代から現代までの社会福祉思想を学んでいく。そのなかから,これからの福祉の理念や目標を考えていくとともに,狭義の社会福祉の世界で議論される社会福祉の通説をより幅広い視点から検討,吟味し,なにが今日の社会福祉,社会保障の基礎となったのか,そしてこれからの福祉社会と先進諸国ばかりでなく、途上国を含めて人々の福利を向上させるための思想を考えていく。
○評価方法
出席状況(15%)、リアクションペーパー(20%)、レポート(30%)、後期学期末試験(授業期間中)(25%)
毎回のリアクションペーパーの提出,レポート。
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1理性的存在としての人間は如何にして貧困を、福祉を認識したのか。理想と思想
2歴史的形成体としての社会福祉と社会保障
3思想と日常意識、感情と道徳:福祉思想は誰が作る(宗教、団体、個人)。そして思想と社会福祉制度の関係は
4宗教思想に見られる福祉観と貧困観
5社会福祉と社会変革
6宗教的慈善と福祉
7相互扶助(互酬性)、政策としての福祉
8イギリスにおける救貧法と道徳論
9イギリスにおける救貧法と経済思想家、哲学者の役割
10民間社会福祉事業と福祉思想
11ヨーロッパ大陸における市民、及び職業集団の福祉理念
12福祉国家思想を形成したもの:国民国家の形成と福祉観の変遷
13国際機関と社会福祉思想
14福祉社会の実現:20世紀後半の新たな社会福祉理念
15市民と福祉:新しい福祉の潮流

  

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