2006年度上智大学シラバス

2006/02/26更新
◆アメリカ文学講義 - (前)
井上 健
○科目サブタイトル
アメリカ小説とその「翻訳」を考える
○講義概要
言語学者Roman Jakobsonの名高い定義によれば、 翻訳は、 (1)言語内翻訳(intralingual translation)、 (2)言語間翻訳(interlingual translation)、 (3)記号間翻訳(intersemiotic translation)の3カテゴリーに分かれる。本講義では、 Jakobsonの定義に沿って、 Jack London、Anderson、Hemingway、Fitzgerald、Salinger などの20世紀アメリカ小説がいかに日本語に「言語間翻訳」されたか、 Dreiser、Hemingway、Fitzgeraldなどの作品が、映像芸術にいかに「記号間翻訳」されたかを具体的に検討する。「翻訳」がいかなる意味生成に関わったのか、「翻訳」の過程で失われるものは何か、「翻訳」を介在させてもなお変容しないものとは何なのかを見きわめながら、国境、言語、ジャンルの壁を越えて、アメリカ小説がいかに翻訳可能(translatable)であるかについて考察してみたい。
○評価方法
出席状況(20%)、リアクションペーパー(10%)、レポート(70%)
○テキスト
プリント使用
○必要な外国語
英語
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1言語間翻訳と記号間翻訳:問題の所在
2英日翻訳の方法、誤訳論、悪訳論、直訳論、創訳論
3Jack Londonとその翻訳
4Sherwood Anderson, F. Scott Fitzgeraldとその翻訳
5Ernest Hemingwayとその翻訳
6マイノリティ文学翻訳の系譜:William SaroyanとJewish Writers
7J. D. Salinger:訳し直しの大義をめぐって
8言語と映像の理論:VisionとVisualityをめぐって
9Alfred Stieglitzの写真とDreiser、Anderson
10Eisensteinにおけるアメリカ:モンタージュ理論の成立と展開
11小説と映画の比較美学
12小説家のハリウッド:Hemingway とFitzgeraldの場合
13まとめと討論

  

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