2006年度上智大学シラバス

2006/03/01更新
◆生態学 - (前)
乘越 皓司
○講義概要
生物と環境(生物自身も含む)との相互関係を明らかにする本講義では,現在地球環境との共生に迫られている人類に対して、生物の現象そのものについての探究が主目的である。そこでまず初めに、共生関係の生態学について述べた後,地球の生物環境に重大な影響を持つ熱帯雨林の生態について説明する。そして,生態系の概念とその構造を概説した後,個体数や生息密度などの個体群生態学および競争・捕食などの種間関係について講じる。授業では、生物の現象や動物行動の理解を深めるため、ビデオや写真等の映像資料を多用する。
○評価方法
リアクションペーパー(20%)、前期学期末試験(定期試験期間中)(80%)
自然保護・地球環境問題に関するブック・レポートを加味する。
○テキスト
テキストは使用しない。
講義資料を適宜配布する。
○参考書
東、阿部編『地球生態系とは何か』、平凡社 1992
湯本貴和著『熱帯雨林』、岩波新書 1999
ホイッタカー著『生態学概説』、培風館 1994
ダイアモンド著『文明崩壊』、草思社 2005
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1イントロダクション、共生の生態学(1)生態学における共生、ビデオ(共に生きる知恵)
2共生の生態学(2)共生の事例(アリと植物の相利、掃除魚と顧客、イチジクコバチ、受粉や種子分散における相利)
3共生の生態学(3)繁殖上の利他性(鳥類や哺乳類のヘルパー、ミツバチの階級社会)、ビデオ(ジャッカルの子育て)
4共生の生態学(4)互恵的利他行動(血吸いコウモリ、囚人のジレンマ・ゲーム)、リアクションペーパー
5リアクションペーパーの説明、まとめ
熱帯雨林の生態(1)熱帯雨林の特徴(生産力、森林の攪乱、地球温暖化)
6熱帯雨林の生態(2)種多様性(3,000万種仮説、様々な適応放散、種分化)、ビデオ(一斉開花)
7熱帯雨林の生態(3)熱帯の薬学(植物の物理・化学的な自己防衛戦略、有毒物質と解毒の共進化、様々な擬態、人間と薬物)
8熱帯雨林の生態(4)熱帯雨林に生きる動物とその保全、ブックレポートの説明、リアクションペーパー
9リアクションペーパーの説明、まとめ
生態系(1)生体量、生産力、地球における人間の位置
10生態系(2)食物連鎖、栄養動態論、物質・エネルギー循環、ビデオ
11生態系(3)個体群生態学(生命表、K−戦略・r−戦略、周期的変動)
12動物の種間関係(1)動物の防衛戦略(一次防衛戦術、二次防衛戦術)、リアクションペーパー
13リアクションペーパーの説明、まとめ
動物の種間関係(2)種間競争(無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)、リアクションペーパーの解説、まとめ

  

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