2006年度上智大学シラバス

2006/02/20更新
◆日本人口史 - (後)
鬼頭 宏
○科目サブタイトル
人口減少社会の比較文明史
○講義概要
2005年、ついに日本人口は減少に転じた。本講義では人口が停滞した江戸時代後半の経済、社会、環境を取り上げて、人口減少社会の文明学的な解釈を提示し、ひいては日本社会の将来について考える視点と材料を提供する。
○評価方法
出席状況(10%)、授業参画(10%)、リアクションペーパー(10%)、前期学期末試験(定期試験期間中)(70%)
○テキスト
鬼頭 宏『人口から読む日本の歴史』 講談社(講談社学術文庫)2000
○参考書
速水融『歴史人口学の世界』岩波書店 1997
速水・鬼頭・友部編『歴史人口学のフロンティア』東洋経済新報社 2001
日本人口学会編『人口大事典』培風館 2002
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
11 (10/ 4)I 人口・環境・文明 1 歴史人口学の誕生と新しい歴史観
21世紀日本の少子高齢化と人口減少を文明学の視点から解明する。
22  (10/11)   2 人口波動と文明システムの転換
日本列島で過去1万年間にみられた4つの人口波動について、マルサス(Malthus)とボズルップ(Boserup)の人口原理から理解する。
33  (10/18) II 近世日本の人口変動 1 江戸時代前半
17世紀の成長:江戸時代の人口趨勢を通して、ひとつの文明がたどった運命を経済と環境とのかかわりから回顧する。
44  (10/25) 2 江戸時代後半
18世紀の停滞:江戸時代の人口趨勢を通して、ひとつの文明がたどった運命を経済と環境とのかかわりから回顧する。
55 (11/ 8) III 江戸時代人の一生 1 結婚・離婚・再婚
宗門人別改帳により江戸時代庶民の結婚、離婚について観察する。
66 (11/15) 2 出生
貧乏人は子沢山か?宗門改帳、懐妊書上帳により出産について明らかにする。
77 (11/22) 3 平均余命
人生わずか30年。宗門改帳、過去帳により、平均余命(寿命)、死因について考察する。
88 (11/29) 4 家族のライフサイクル
「直系家族制」の成立と、そのライフサイクルを現代と比較する。
99 (12/ 6) IV 人口と環境 1 地理的多様性
人口分布の変遷と地理的多様性について指摘する。
1010 (12/13) 2 都市と環境
都市は蟻地獄か?都市環境と人口との関連について考える。
1111 (12/20) 3 凶作と飢饉
「小氷期」の人口。18世紀の環境悪化は人口にどのような影響を及ぼしたであろうか?
1212 (1/10) 4 栄養と疾病
江戸時代の人々の人口人類学的な特徴は何だったか?
1313 (1/17) V 人口減少社会  21世紀社会への教訓
近代人口成長の過程の概観:江戸時代の経験から何を学ぶか。

  

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