2006年度上智大学シラバス

2006/02/20更新
◆人口と環境 - (前)
鬼頭 宏
○講義概要
この講義では、人口と自然環境の相互関係を考察することを目的とする。人口学のみならず、歴史人口学の成果を取り込みながら、現代世界が直面する人口現象について、文明学的な接近を試みる予定である。二十世紀は地球人口が持続的に成長する時代であった。ひるがえって二十一世紀に先進国では人口減少の時代に突入する。多くの途上国でも人口は停滞に移行する。過去には、人口が成長した時代もあれば、停滞ないし減少した時代があった。人口の波動的変動を、文明システムの転換と環境変動の関係においてとらえ、二十一世紀の人口と環境の関係について理解を深める場としたい。
○評価方法
出席状況(10%)、授業参画(20%)、レポート(70%)
○テキスト
河野稠『『世界の人口』第2版』 東京大学出版会 2000
○参考書
大塚柳太郎・鬼頭宏『『地球人口100億の世紀』』ウエッジ 1999
国連人口基金『『世界人口白書/人口と環境変化』』家族計画国際協力財団 2001
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
11(4/15) オリエンテーション (1) 「問題」の発見
現代世界における人口問題の本質を明らかにする。
22(4/22) Ⅰ 人口と環境 (1) 人口現象における南北問題
先進地域の少子化と途上地域の人口増加を統一的に把握する。
33(5/13)  (2) 都市化
都市人口比率の増加と都市の巨大化と環境の関連について考察。
44(5/20)  (3) 国際人口移動
出稼ぎ、移民、難民と環境問題について考察。
55(5/27)  (4) 高齢化・少子化・人口減少
先進地域における人口の環境問題について考察。
66(6/ 3) 日本人口学会第58回大会
(6/3・4自由参加:慶應義塾大学)
77(6/10) Ⅲ 環境と生存 (1) 飢餓
人口増大は全般的な食糧危機をもたらすのか。
88(6/17) (2) 気候変動と人口
地球温暖化は人口規模、分布にどのような影響を及ぼすか。
99(6/24) (3) 環境汚染と人口
化学物質による環境汚染の人口への影響について検討する。
1010(7/ 1) (4) AIDSとリプロダクティブ・ヘルス
持続的人口増加、低開発、貧困と健康について考察する。
1111(7/ 8)  Ⅳ 人口政策 (1) 先進諸国の人口転換
先進地域の施策の変遷と出生率低下について検証する。
1212(7/15) (2)地球人口の抑制は可能か?
発展途上地域の出生力転換の条件(経済開発、社会開発、家族計画プログラム、家族観の変化)に対する国際的取組みを、国連の国際的人口会議の歴史、国連人口活動基金(UNFPA)の活動を中心に検証する。

  

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