2006年度上智大学シラバス

2006/03/07更新
◆環境行政論 - (前)
柳下 正治
○科目サブタイトル
実例スタディを通じて環境問題解決型の実践力を学ぶ
○講義概要
20世紀半ば以降現在に至る環境問題の流れを系統的に学び、環境問題の解決に向けて行政が果たすべき役割を理解し、政策の立案・遂行上必要とされる環境問題解決のためのプロになるために習得すべき基礎知識や資質を学ぶ。講義は、教官の行政経験を紹介することを始め、更にできる限り最新の行政施策を取り上げレビューすることに重点を置いて進める。
1 環境問題を取り巻く内外の状況と環境行政の関わりを追究する。
2 30年間環境行政に係わってきた経験を踏まえ、具体的な環境政策事例として、①廃棄物問題・循環型社会の形成、②地球温暖化問題、③大気環境問題等を取り上げて、法律の立案から成立の過程、国際環境条約の交渉過程等についてのケーススタディを行う。
3 これらを通じて、環境行政と立法府・司法との関係、国及び地方自治体との関係、国際社会との関わり、産業界、市民、NGOとの関わり合いを学習する。更に、政策立案、調整、意志決定、実施のプロセスや、見解の相違・利害対立からこれを克服して合意形成に至るプロセス等を把握し、環境問題の解決に向けての環境行政が果たすべき役割や責任を学ぶ。
○評価方法
出席状況(10%)、授業参画(10%)、レポート(80%)
○テキスト
適宜指示します。
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
11.オリエンテーション
 講義全体のねらい、講義の進め方、講義スケジュールの確認
 講義テキストの指示
2.我が国の環境行政・政策の系譜を俯瞰的に説明
2我が国の環境問題と系譜と対応(1)
 高度経済成長に伴う激甚公害問題の惹起、住民の反公害運動、公害訴訟、自治体・国による公害対策施策への着手、公害国会における一連の環境法の成立、環境庁の発足。
3我が国の環境問題と系譜とその対応(2)
1.<ビデオ学習>我が国の高度経済成長と激甚公害の克服(四大公害)
2.激甚公害と対策と経済影響
 1970年前後の公害対策推進のための基盤の整備:公害対策関係法令、行政体系等、公害投資と経済影響、人材投入
4我が国の環境問題と系譜とその対応(3)
1.石油危機以降の70年代後半~80年代の雌伏の時代(困難に直面した我が国の環境行政)
2.ケーススタディ(公害健康被害補償法):激甚公害の発生に伴う健康被害者の救済を目的として成立した、世界にも稀有な公害健康被害補償法
5ケーススタディ(環境影響評価法成立への挑戦):72年頃から環境影響評価制度の必要の認識。その後、法制化は難航。成立まで、四半世紀を経過。なぜ? 詳細な経緯を辿り、法律の成立過程における行政、政治、経済界、市民の関係、特に行政・与党の係わり構造を学習。
6ケーススタディ(大気汚染問題を例に、環境行政を深く研究:制度、対策等)
・激甚大気汚染への行政対応。
・排出規制、総量規制、自動車環境問題、広域大気汚染問題の対応、有害大気汚染問題への対応等を説明。
7ケーススタディ(大気汚染問題を例に、環境行政を深く研究:制度、対策等)
・排出規制、総量規制、自動車環境問題、広域大気汚染問題の対応、有害大気汚染問題への対応等を説明。
・学際的な科学的基礎が重要。また環境問題の性格や関連社会的状況に応じて、様々な政策手段が必要。
8各種の公害対策手法(公害防止計画、公害防止事業団:財政投融資政策の活用等について研究)
9・公害から環境に
・地球環境問題がもたらした我が国の環境政策の方向転換
・環境基本法、環境基本計画
10最近の環境行政施策のケーススタディ
・化学物質行政
11最近の環境行政施策のケーススタディ
・廃棄物リサイクル行政
12最近の環境行政施策のケーススタディ
・地球温暖化対策
13総括

  

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