2006年度上智大学シラバス

2006/03/06更新
◆労働経済学特講Ⅱ - (後)
出島 敬久
○科目サブタイトル
雇用と賃金,人的投資と賃金設計に関する経済学的アプローチ
○講義概要
労働経済学特講Iを前提として,雇用契約に関するインセンティブ付与とリスク・シェアリングのモデルと,労使交渉のモデルを説明する。さらに,失業や賃金格差に関する現代的解釈として,履歴現象や技能偏向的技術進歩といったトピックも取扱う。実証研究の紹介にあたっては,計量分析手法の実際についても触れる。
○評価方法
出席状況(70%)、授業参画(10%)、レポート(20%)
原則として講義形式とするが,受講者・教員双方の問題関心にあう論文を輪読する機会ももってもよい。この分野で修士論文を提出したい大学院生については,学期末にターム・ペーパーを報告の上,教員・受講者のコメントを受けることを期待したい。
○テキスト
Pierre Cahuc and André Zylberberg "Labor Economics" MIT Press, 2004
George J. Borjas "Labor Economics, 3rd ed." McGraw-Hill, 2005
○必要な外国語
英語
○他学部・他学科生の受講

○ホームページURL
http://pweb.sophia.ac.jp/~t-dejima/
○授業計画
1労働市場における不完全競争-労働供給に関する参入障壁(資格・免許制度)
2不可逆な人的投資とレントの発生-サンク・コストとホールドアップ問題
3労働市場における不完全情報と逆選択-効率賃金と統計的差別
4賃金関数の推定と問題点-自己選択バイアスと内生性バイアス
5雇用契約の機能1:リスク・シェアリングと暗黙の保険
6雇用契約の機能2:努力を引き出すインセンティブの付与
7インセンティブとリスク・シェアリングのトレードオフと最適な賃金設計
8労使の賃金交渉とナッシュの交渉解による分析
9労使交渉のモデルと効率的契約
10インサイダーの交渉力と労働市場に与える影響
11失業とインフレーション-フィリップス・カーブの現代的解釈と計測
12失業の履歴現象(hysteresis)と実質賃金の硬直性
13失業と賃金に関する新しい関係と解釈-賃金カーブ
14失業の変動要因としてのマクロショックとミクロショック
15資本蓄積・技術進歩と労働需要-その労働は資本と代替的か補完的か
16技能労働に偏重した(skill-biased)技術進歩がもたらす賃金格差

  

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