2005年度上智大学シラバス

◆地球物理 - (前)
栗田 敬
○講義概要
 地球物理学は地球や惑星の諸現象を物理学的な手法から理解しようとする分野である。その取り扱う現象は地球惑星内部で進行している比較的ゆっくりとしたタイムスケールのプロセス、大気や海洋といった表層部分で進行している比較的早いタイムスケールのプロセスや惑星間空間で生じている高速のタイムスケールのプロセスなど多岐にわたっている。また関連した物理学も熱統計力学、流体力学、弾性体力学、電磁気学など幅広い。本講義では地球や惑星の現象はいくつかのプロセスの複合によって生じていること、したがって地球をひとつの有機的なシステムとして捉える必要があることを様々な例を示しながら紹介したいと思う。
 具体的には地球と火星の表層環境の違い(地球は温暖で湿潤な、人間生息が可能な環境が長く続いてきた。一方火星は寒冷・乾燥が現在の表層環境であり、その違いは何に起因しているのか、惑星科学上の大きな問題になっている。)がどのような原因によって生じたのか、という疑問に答える形で、地球物理学の様々な面を紹介したい。
○評価方法
リアクションペーパー(30%)、レポート(70%)
○参考書
東京大学地球惑星システム科学講座編『進化する地球惑星システム』東京大学出版会
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1はじめに
・地球と火星の違い、「問題」の所在、解説
2表層環境を決める基礎物理過程
・輻射平衡など大気の物理の基礎
3地球のシステム
・海洋の役割、カーボンサイクル
4地球の進化
・地球の歴史、表層環境と内部プロセスのカップリン
5火星のシステム・進化
・火星の特徴、地球との違い
6システムの安定性・不安定性
・表層環境の安定性を支配しているもの
7まとめ

  

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