○講義概要 |
階級の問題を理解することなしにイギリスの文学や文化を理解することはできません。その人がもっているおカネだけでなく、享受する文化/教養の違いをも示唆する階級(階層)の問題は、イギリス社会のみならず、現代の日本社会にも通じる重要なテーマです。この授業では、下層階級、中産階級、上層階級がイギリスの小説においてどのように描かれてきたかを概観しつつ、20世紀において「英文学」という「制度」がつくられたとき、それが〈エリート層〉による〈大衆〉の操作でもあったというイギリス文化の重要な一面をみていきます。
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○評価方法 |
リアクションペーパー(20%)、レポート(80%)
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○参考書 |
ジョン・ケアリ、東郷秀光訳『知識人と大衆--文人インテリゲンチャにおける高慢と偏見』大月書店、2000年
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○授業計画 |
1 | 序論 |
2 | 複雑な階級制度--Jane Austen, Emmaを題材に |
3 | ジェントルマンとはなにか |
4 | ヴィクトリア朝社会と「リスペクタビリティ」--中産階級の価値観 |
5 | 有閑階級の理論 |
6 | 事例:下層中産階級の悲哀--H. G. WellsやJerome K. Jeromeの小説を題材に |
7 | 事例:上層中産階級と下層中産階級の出会い--E. M. Forster, Howards End |
8 | 事例:労働者階級への憧れ--D. H. Lawrenceの小説を題材に |
9 | 事例:貴族的頽廃 |
10 | 〈エリート〉対〈大衆〉--Ezra Pound, T. S. Eliotの詩を題材に |
11 | 「モダニスト」作家の大衆憎悪(1) |
12 | 「モダニスト」作家の大衆憎悪(2) |
13 | ブラウの戦いと「英文学」制度の構築 |
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By:上智大学学事部学務課
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