2005年度上智大学シラバス

◆キリスト教史Ⅲ - (前)
川村信三
○講義概要
後期中世(1300―1500)及び初期近世(1500―1600)の二つの時代区分の西ヨーロッパを中心としたキリスト教の通史。教会史,社会史,制度史の多角的アプローチによって分析する。同時に基本的な第一次文献の講読(邦訳を使用)を通して主要な古典的テキストへの導入を行う。
○評価方法
出席状況(40%)、レポート(30%)、前期学期末試験(授業期間中)(30%)
出席重視。学期6回の課題エッセイ(各A4サイズ一枚)及び学期末筆記試験。
○テキスト
Steven Ozment『The Age of Reform 1250-1550: An Intellectual and Religious History of Late Medieval and Reformation Europe.』 New Haven: Yale University Press, 1980.
上智大学中世思想研究所監修『キリスト教史 四、五巻』 平凡社
○必要な外国語
英語
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1第一回序章:改革概念・・・宗教改革とカトリック改革・・・時代区分の問題。改革の概念。初期近世カトリシズムの概念。
2第二回教会の伝統:教皇至上主義と公会議主義教皇至上主義の歴史的発展と公会議至上主義の概念。教会大分列時代の諸問題。
3第三回後期中世の神学論争(宗教改革神学論争の先駆)中世の神学論争(特に聖体と救済論の問題)をふまえて、後期中世の神学論争のなかで、後の宗教改革に影響を及ぼした問題をとりあげる。
4第四回後期中世の諸運動と霊性(修道制、信徒運動、デボチオ・モデルナ)中世以来の修道制(十三世紀の托鉢運動まで)の簡潔なまとめ、および托鉢修道会およびそれ以後の修道会霊性。信徒運動(特に十三世紀以来イタリアを中心として発展した信徒運動とその霊性)。信心の系譜(聖体、マリア、諸聖人崇拝など)。
5第五回ヒューマニストと改革(伊、西および北ヨーロッパ)エラスムスやシスネロスを中心とする、ヒューマニスト運動の動向。その宗教改革者への影響など。
6第六回マルティン・ルターとドイツのプロテスタント改革(1)
ルター個人の活動についてのChronologicalな概説。とくにルター自身の神学洞察(義認論、信仰のみ、聖書のみ)の成立発展と代表的な初期の著作を取り上げる。
7第七回マルティン・ルターとドイツのプロテスタント改革(2)
ルターの改革運動の進展:典礼改革、カテキズム。神学論争に於けるルターの位置(特に聖体論を主として)。さらにドイツ農民戦争や、他のドイツ宗教改革、スイス宗教改革へのルターの影響を考える。
8第八回カルヴィンとカルヴィン主義 プロテスタント運動のもう一つの柱であるカルヴィンとカルヴィン主義の進展。そのChronologicalな発展。ジュネーブにおける教会政治の実際。カルヴィンの代表的著作によってその神学を考察する。
9第九回イギリス宗教改革 ヘンリー八世によるローマ教会との確執。国教会の成立の概観。 ピューリタニズムの発展とアメリカにおける新展開の導入。
10第十回カトリック改革(1):パウロ三世とトレント公会議 「教会改革」の実現としての教皇庁の改革。およびトレント公会議に焦点をしぼり、教会での改革がどの程度進展したかを考察する。
11第十一回カトリック改革(2):イエズス会 イエズス会の成立の史的背景とその発展のChronologicalな概観。イエズス会の新しさ、その成功の原動力についての考察。
12第十二回カトリック改革(3):グレゴリウス十三世、トレント公会議以後のカトリック教会内の変化(特に諸修道会の改革)トレント公会議以後のカトリック、特にローマの変化と活動。およびイエズス会以外の諸修道会へのトレント公会議精神の浸透の考察。いわゆる「厳格派」の改革運動の経緯。
13第十三回まとめ
学期末筆記テスト

  

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