2005年度上智大学シラバス

◆新約聖書Ⅱ - (後)
小林稔
○講義概要
前期に残した23文書を扱う。①使徒行伝という、パウロを主人公とする歴史小説を、パウロ本人の手紙と較べ、パウロの実像を追求する。②ヨハネ福音書を、前期の三文書と較べ、その違いがどこからくるのかを探りたい。③その他の諸文書にも一応触れ、すべての新約文書に前提されている復活信仰も扱いたい。④新約研究の道具類(校訂本、諸和訳、コンコーダンス、辞書、文献目録など)の紹介および方法論的省察。前期の内容を前提するので、後期からの履修は勧められない。講義予定の微調整などは下記ウェブページを参照。
教室の収容人員が許す限り、他学部学生も歓迎するが、宿題が重い上に、欠席した日のテストが零で計算されるので、覚悟してほしい。
○評価方法
小テスト等(100%)
通読という課題と講義内容について、毎回テストを実施し、その平均点で評価する。欠席などで受けなかったテストは零点として計算される。正当な理由でやむをえず欠席した場合は一週間以内に届けること。考慮するが、全体の2/3以上の出席は必要条件としたい。
○テキスト
『新共同訳聖書-旧約聖書続編つき』 日本聖書協会
○参考書
新約聖書翻訳委員会(訳)『新約聖書』岩波書店、2004年
その他、各自ダウンロードしてもらう予定のレジュメに記載。
○他学部・他学科生の受講

○ホームページURL
http://pweb.sophia.ac.jp/~m-kobaya/05247nt.htm
○授業計画
1文学としての使徒行伝(構造、文学的手法、読者層、著者)。パウロの報告との矛盾の原因
+使徒行伝15,36~21,14、フィリピへの手紙、フィレモンへの手紙、および前回講義内容についてテスト
2パウロの変化。第一の伝道旅行の性格、成功の要因
+使徒行伝21,15~28,31とコロサイへの手紙および前回講義内容についてテスト
3エルサレムの使徒会議。民族宗教からの脱皮をめぐる対立
+Ⅰコリント1章~16章と前回講義内容についてテスト
4七つの手紙の所与の確認。第二の宣教旅行とルカが述べるパウロのアテネでの演説
+Ⅱコリント1章~13章と前回講義内容についてテスト
5第三の宣教旅行:Ⅱコリ6,5; 11,23が言及する投獄の時期と場所。七つの手紙の執筆事情
+エフェソへの手紙と前回講義内容についてテスト
6第二パウロと牧会書簡。使徒行伝が示唆する結末について
+テモテへの第一の手紙、テモテへの第二の手紙、ティトへの手紙、および前回講義内容についてテスト
7公同書簡(その他の手紙)。置かれた状況と著者たちの対応および関心
+ロマ書1章~8章と前回講義内容についてテスト
8グノーシス主義
+ロマ書9章~16章と前回講義内容についてテスト
9ヨハネ福音書の構造と資料、著者と編集者
+ヨハネ1章~8章と前回講義内容についてテスト
10ヨハネ書簡の著者が遭遇した困難とヨハネ福音書のイエス像
+ヨハネ9章~17章と前回講義内容についてテスト
11その問題の鍵と思われる復活信仰
+ヨハネ18章~21章、ヨハネの手紙Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、および前回講義内容についてテスト
12聖書研究の諸方法(一年間の作業の方法論的省察)
+ヘブライ書と前回講義内容についてテスト
13聖書研究の基本的な道具
+ペテロの第二の手紙、ユダの手紙と前回講義内容についてテスト

  

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