2005年度上智大学シラバス

◆環境法の現代的課題 - (後)
坂口 洋一,村瀬 信也,町野 朔
○講義概要
この講義は、自然保護法、環境刑法、国際環境法の三分野を取り上げて、現在、解決が求められている重要な課題を検討する。人類は、環境の危機に直面して、数多くの国内環境法、国際環境条約を制定してきた。今後も、環境法知識の重要性は高まり続けると考えられる。授業では、三分野の重要課題を取り上げて、政策、判例、比較研究の理解を深めるので、参加者の積極的な発言・討論が求められる。

自然保護法では、絶滅危惧種と自然保護地域の保全制度を述べる。

環境刑法では、現行法上、どのような環境要素が刑罰威嚇によって保護されているか、行政の環境保護活動との連携はどうなっているか、そして、現行法に問題はないかを、批判的に検討する。

国際環境法では、国境を越えて、あるいは全地球規模で、生起する環境問題について、何故に「国家間の合意」と「国家間の紛争処理」が要請されるかを明らかにし、これを具体的な国際判例などを素材として検討する。
○評価方法
後期学期末試験(定期試験期間中)(100%)
○参考書
坂口洋一『循環共存社会の環境法』(青木書店、2002年〉
町野朔〈編〉『環境刑法の総合的研究』(信山社、2002年)
村瀬信也『国際立法』(東信堂、2002年)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1授業計画1回から2回までを坂口教授が担当する。
内容は、野生生物種の保護と生息地の保護を述べる。
2授業計画3回から7回までを町野教授が担当する。
環境倫理の展開は、刑法による環境保護の必要性を要請するに至った。しかし、環境は刑法による保護の適格があるのか、刑法を用いるとしてもそれは賢明な方法であるのか、その方法は窃盗、殺人などに対する用い方と同じでよいのか、などの問題を生じさせる。「総論」に続いて、各分野別の実定刑法を検討する。
3授業計画8回から13回までを村瀬教授が担当する。
1970年代以降、多くの国際環境条約が成立してきたが、その履行確保に関しては、多くの問題が山積している。国際環境法と国内法との関係を中心に、多国籍企業の活動、海洋環境、環境と貿易、国際環境紛争処理などの諸問題を検討する。

  

Copyright (C) 2004 Sophia University
By:上智大学学事部学務課