2005年度上智大学シラバス

◆環境政策論 - (前)
柳下 正治
○科目サブタイトル
環境政策における「参加」概念及び「参加的手法」
○講義概要
 大学院地球環境学研究科において環境問題を学び、研究しようとする大学院生として最低限習得すべき内外の環境政策に関する知識や動向を系統的に習得し、環境政策の立案能力の開発・向上に資することを目的とする。特に、環境政策における「参加」概念及び「参加的手法」に重点を置き、実例を踏まえた講義を行う。
1 現在、世界及び日本が現在直面する環境問題のうち、現在直面する重点課題を取り上げ、地球及び地域の双方の視野から経済・社会的な諸要因との関連で理解する。
2 環境問題を解決するためのキーワードである「持続可能な発展(開発)」の考え方を、内外の論議を辿り分析することにより的確に理解する。
3 これらを通じて、環境問題に対する理解を深め、環境問題と社会経済との関わり、環境問題の解決のための技術、制度のあり方等を検討し、環境政策の意義・役割を考察する。
4 環境政策における「参加」概念 及び最近注目されている「参加的手法」を、国内外の論議の系譜を辿り、かつ具体的な実践例を研究することを通じて、「参加」が環境構造改革を達成する上でのキーワードであることを学ぶ。
○評価方法
出席状況(25%)、授業参画(25%)、リアクションペーパー(25%)、レポート(25%)
○参考書
倉阪秀史『環境政策論<環境政策の歴史及び原則と手法>』信山社、2004
大塚直『地球温暖化をめぐる法政策』昭和堂、2004
橋本道夫『公務員研修双書:環境政策』ぎょうせい、1999
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1オリエンテーション
・講義全体のねらい、講義の進め方等の確認、講義スケジュールの確認
・環境政策論とは
・環境政策とPDCA(目標、戦略、実施手段、実践、評価・見直し)
2環境政策と「参加」 ― 何故、「参加」が重要なキーワードであるのか
3環境政策と持続可能性(Sustainability)(1)
 20世紀末から地球環境問題が大きく取上げられるようになった背景、環境問題の解決に向けてのキーワード‘sustainable development’の提唱(1987年)、そして1992年の地球サミット(UNCED)の開催の経緯等を通じて、Sustainabilityの考え方を理解。また、Sustainabilityを巡る南北の対立等、国際社会における議論の流れを理解。
4環境政策と持続可能性(Sustainability)(2)
 地球サミット後の我が国の環境政策の展開、すなわち環境基本法の成立と政策展開の新たな流れを確認する。
5環境政策に係る基本原則
 未然防止原則、予防原則、汚染者負担原則、受益者負担、拡大生産者責任
6循環型社会の形成に関わる政策展開
7(ケーススタディ)
 名古屋における廃棄物減量化取組とその成果及び問題点
8(ケーススタディ)
 市民による循環型社会の創生(社会実験研究の成果)
9地球温暖化対策に係る政策展開
10交通と環境問題 ― 持続可能な交通の実現に向けて
11(ケーススタディ)
 トヨタステークホルダー・ダイアログ「環境配慮型の持続可能な交通」
12自治体による環境基本計画策定と市民参加
13討論と総括「環境政策と参加」

  

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