1 | 人間活動の量の増大がもたらした地球温暖化などに比べ、質の変化がもたらした化学物質汚染の位置づけを述べる。次に、化学の発展があらゆる面で私たちの生活を支えているが、一方で様々な環境問題を起きしてきた原因を考察する。 |
2 | レーチェルカーソンによる指摘やわが国で発生した深刻な健康被害に始まる化学物質汚染の歴史を解説するとともに、新たな汚染が顕在化するたびに、汚染物質、汚染媒体のいずれの面からも化学物質汚染が多様化した状況を説明する。 |
3 | 化学物質汚染が有する特徴のうち、その起源の多様性について説明する。化学物質の起源を意図的な製造、非意図的な生成や元からの環境中での存在に分類し、それぞれ具体事例を引いて解説する。 |
4 | 化学物質の環境への侵入経路に多様性について解説する。排ガス、排水や廃棄物に加えて事故や開放的な使用が重要な侵入経路であること、有害物質の集積する廃棄物管理の重要性について解説する。 |
5 | 汚染の形態の多様性について解説する。化学物質の環境中での挙動について解説するとともに、化学物質の性状や環境媒体の特徴から、多様な形態の汚染が発生することを説明する。 |
6 | 化学物質がもたらす多様な影響について解説する。毒性の高い化学物質の曝露による直接影響の他に、オゾン層破壊などによる間接的な影響を及ぼすこと、直接曝露では急性、慢性あるいは遅発性といった多様な毒性を示すことを説明する。 |
7 | 化学物質がもたらす健康リスクの評価方法について解説する。まず、リスク評価の手順を説明し、次に曝露評価および毒性評価の方法について、基準値設定などの事例を引きながら解説する。 |
8 | 化学物質がもたらす生態リスクの評価方法について解説する。わが国の化学物質や農薬の審査などの事例を引きながら解説する。また、より高度な生態リスク評価法の提案についても説明する。 |
9 | 化学物質の曝露評価の基となるモニタリングの実施状況について、その目的に従って分類しながら、解説する。また、環境測定結果をどのように解釈すればよいかについて解説する。 |
10 | 化学物質汚染のリスクの現況について解説する。大気、公共用水域、地下水等環境媒体毎にリスクの現況について解説する。大気からは多様な化学物質が曝露されること、水系からは毒性の高い化学物質が曝露されることを解説する。 |
11 | 化学物質汚染のリスクの現況について、環境省が実施している初期評価や産総研が実施している詳細評価などを紹介する。 |
12 | 化学物質リスク管理の状況について概説する。規制から自主管理に向かっているわが国での法制度や国際的な取り組みについて解説する。この部分について「環境リスクマネージメントⅠ」で詳細に講義する。 |
13 | 試験。授業の進み具合によっては、残りの講義を行い、試験は別途、定期試験期間中に実施する。 |