2005年度上智大学シラバス

◆終末論 - (前)
光延一郎
○講義概要
伝統的な科目である終末論は,今日,迷信的な終末予言や輪廻転生が話題となったり,また死が人々の切実な関心となることで,新たな現代的関心をひき起こしている。終末について思いめぐらすことは,人生の最終的な意義への問いともつながり,宗教的世界観の核心をなす事柄だとも言えよう。そうしたことを念頭におきながら,キリスト教的希望のあり処を探りたい。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(40%)、レポート(40%)
授業の進め方:課題文献についての発表(25分。内容を紹介し、発表者が調べたこと、考察したことを加えてプレゼンテーション。ディスカッションのテーマを挙げる)。その後、教員からの補いとディスカッション。評価は、発表と終わりのまとめレポート、授業への積極性。
○テキスト
佐久間勤編『想起、そして連帯 終末と歴史の神学』 サンパウロ、2002年
大林浩『死と永遠の生命、そのキリスト教的理解と歴史的背景』 ヨルダン社、1994年
ユルゲン・モルトマン、『神の到来、キリスト教的終末論』 新教出版社、1996年
○参考書
大木英夫『終末論』紀伊國屋書店、1979年
○必要な外国語
なし
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1現代と終末論:「終末論の魅惑と誘惑」(光延)、「世界の終わり――世界の絶滅か新しい創造か」(モルトマン)
2「地球の破壊と解放――エコロジー神学のために」(モルトマン)、「個人の希望――輪廻か永遠の生命への復活か」(モルトマン)、「始めである終わり――リインカルネーションとキリスト教」(ファーベル)
3時間と歴史についての様々な理解仕方:「時間概念の原型――プラトンとアリストテレスの時間概念」(土屋賢二)、「永遠と時間」(泉治典)
4キリスト教の終末論(新約聖書):「救済史神学の父エイレナイオス」(小林稔)、「イエス――神の国と歴史」(廣石望)
5「終末の遅延――歴史上のイエス、ルカ文書に見る」(加藤圭)、「パウロは世の終わりをどのように見たか」(太田修司)
6旧約聖書の終末論:「預言と黙示――その本質と歴史的展開」(木田献一)、「黙示文学入門」(シュミットハルス)
7教義史における終末論の展開:「死を越えて」(レオン・デュフール)、「フィオーレのヨアヒム――西欧思想と黙示的終末論」(バーナード・マッギン)
8「20世紀における終末論」(大木英夫)、「進化の目標としてのキリスト――テイヤール・ド・シャルダンの進化観」(北原隆)
9「受肉と救済史の理解――カール・ラーナーの神学」(百瀬文晃)、「歴史の想起、語り、そして連帯――J.B.メッツの政治神学」(岩島忠彦)
10「歴史の再発見――パンネンベルクとモルトマンの神学」(近藤勝彦)、「新しい天・新しい地――宇宙的終末論」(モルトマン)
11死のキリスト教的な理解:「死生観の推移――旧約聖書・古代東方・古代ギリシャの霊魂・「よみの国」・ラビ宗教の終末観」(大林浩)、「死」(カール・ラーナー)、「現代神学における死と死後の諸問題」(ボロス)
12「死後何が到来するのか」(ローフィンク)、「煉獄の誕生」(ル・ゴップ)、「天国の歴史」(マクダネル・ラング)

  

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