第6回 輝くソフィアンインタビュー 木下彩さん

Veritas

木下彩さん 庭のホテル 東京 代表取締役

2011.11.24

学生時代の財産は友人 彼ら・彼女らの活躍に今も刺激されています 木下 彩さん 庭のホテル 東京 代表取締役□1982年卒業(大学・外国語学部英語学科)

木下彩さん 庭のホテル 東京 代表取締役 1982年卒業(大学・外国語学部英語学科)

ホテルのエントランス前
 
全ての人に一度は訪れてほしい
私は「庭のホテル 東京」の伝道者です

私が経営している「庭のホテル 東京」は、和の美しさがロビーや客室、屋根などいたるところにちりばめられています。こぢんまりとした中庭には季節の草木が茂り、石の間から水が湧き出す…。ホテルの名前には、文化都市東京のど真ん中にありながらも、ホテル全体がお庭のようにホッと寛げる場所でありたいという想いを込めています。高級なラグジュアリーホテルではなく、かといってエコノミーなビジネスホテルでもない。「庭のホテル」は、どんなジャンルにも当てはまらないホテルです。おかげさまで、ドイツのある旅行代理店の方に、「都内のホテルのなかで一番個性がある」という嬉しい言葉を頂戴したことも。「ミシュランガイド東京」でも『快適なホテル』として開業以来2年連続で評価をいただきました。

しかしながら、このホテルの魅力を言葉だけで表現するのは難しく、一度訪れた人にしかわからないものがあると思っています。ですから私の仕事は、たとえるなら「庭のホテル」の伝道者。「このホテルを知らずにいるなんてもったいない。だから一人でも多くの方に体験してほしい」と本気で思っています。ただし、こう思えるようになるまでは、仕事をするのはあまり好きではなく、他の会社で会社員としてお世話になっていたころも、お手本になるような働きぶりではありませんでした。今は、大好きなホテルと、そこで働く仲間たちを守りたいという気持ちに突き動かされて毎日奔走している…といった感じです。本当にいいと思うものと、素敵な人に囲まれているから、情熱を持って過ごせているのだと思います。

木下彩さん
運命に導かれるように、
雙葉高等学校の隣にある上智大学に進学

ホテルの経営者というとなんだか大そうな印象を抱かれるかもしれませんが、実は、なんとなく頑張っていたらこうなってしまったというのが実際のところです。上智大学を選んだ理由も、英語が好きだからとか、通っていた雙葉高等学校の隣で馴染みがあったからとか、あまり深く考えてはいなかった気がします。それでいて、私はコツコツと受験勉強をする学生でもありませんでした。当時の上智大学外国語学部の試験は、長文読解の問題が多かったので、細かい暗記などが苦手な私と相性がよかったのかもしれないなと思います。そんな感じなので、学生時代あまり優等生ではありませんでしたが、英語学科には「輝くソフィアン」がたくさんいました。

私は自らの意思というよりも家業だったからという理由で結果的にホテル経営をすることになりましたが、周りの同級生はみんな、自分の手で道を切り開いて、今輝かしいキャリアをつかんでいます。なかには外資系企業で世界をまたにかけて活躍している友人などもいますが、同じ場所で学んだというだけで、何の利害関係もなくお付き合いができるのは、とても素敵なことだと思いますね。年に何回かは、在籍していた英語学科の友人や、学内の芸達者をスカウトして年に1回「芸人大会」を開いていたエンターテイナーズユニオンというサークルの仲間と集まることがあるのですが、彼ら・彼女らの頑張っている姿をみると、とても前向きな気持ちにさせられます。

工芸家の手による改築前の宴会場の扉
現在はオブジェになって新しいホテルに彩りを添えています
幸せな暮らしは
他人からは与えられない
自ら働きかけ、環境を変える努力を

いろんな方とお会いして話をしたり、活躍している同級生を見たりすると、やっぱり自分の好きなことを仕事にしている人が幸せなのだなと感じます。私も「庭のホテル」を「こうしたい、ああしたい」と妥協せずに作りあげてきました。構想から今まで10年間くらいかかっていますが、だからこそほかのホテルにはない魅力があると、胸を張って言えるのだと思います。従業員に対しても、私と同じような気持ちを自然と抱いてもらえるよう、日々働きかけているところです。どんなに笑顔をつくろっても、心のどこかで「つまらないな」「やりたくないな」と思っていたら、お客さまにも伝わってしまうもの。これはホテル業に限らないのではないでしょうか。

こんなことを私が言うのはおこがましいかもしれませんが、ソフィアンのみなさんには、ぜひ好きな仕事に取り組んで、幸せな暮らしを手に入れていただきたいと思っています。自分の望む環境というのは、人から与えられるものではありません。自ら働きかけて少しずつ変えていくものです。すぐに手に入れられるものではないけれど、根気よく願い、行動し続ければいつかはかなう―。私は、ホテル業を通じてそれを実感しました。学生時代、あまり優秀ではなかった私でも、今こうして楽しく暮らせているわけですから、みなさんにできないはずはありません。そして、何かに疲れたときなどは、ぜひ一度「庭のホテル」に足をお運びになってください。ホテルを通じてみなさまのお役に立てる日を心待ちにしています。

木下彩さん プロフィール
ホテルの顔のひとつである中庭
水と緑が気持ちを和ませます

1960年(昭和35年) 東京都生まれ
1982年(昭和57年) 上智大学外国語学部英語学科 卒業
有名ホテルに勤務後、結婚。
グループホテルである静岡グランドホテル中島屋勤務等を経て、1994年(平成6年)に株式会社東京グリーンホテル(現 株式会社UHM)に取締役として入社、翌年には代表取締役に就任。
2009年(平成21年)5月に庭のホテル 東京を新築オープンし、2011年(平成23年)4月より同ホテル総支配人を兼務。

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