2006年度上智大学シラバス

2006/03/05更新
◆終末論 - (前)
光延 一郎
○講義概要
伝統的な科目である終末論は,今日,迷信的な終末予言や輪廻転生が話題となったり,また死が人々の切実な関心となることで,新たな現代的関心をひき起こしています。終末について思いめぐらすことは,人生の最終的な意義への問いともつながり,宗教的世界観の核心をなす事柄だとも言えましょう。そうしたことを念頭におきながら,キリスト教がもつ将来への希望のありさまについて考察したいと思います。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(20%)、リアクションペーパー(30%)、レポート(30%)
授業の進め方:講義+課題文献についての受講者のプレゼンテーション。評価は、リアクション・ペーパー、プレゼンテーションと終わりのまとめレポート、授業への積極的な参画。
○テキスト
佐久間勤編『想起、そして連帯 終末と歴史の神学』 サンパウロ、2002年
○参考書
大木英夫『終末論』紀伊國屋書店、1979年
大林浩『死と永遠の生命、そのキリスト教的理解と歴史的背景』ヨルダン社、1994年
ユルゲン・モルトマン『神の到来、キリスト教的終末論』新教出版社、1996年
○必要な外国語
なし
○他学部・他学科生の受講
可 (条件として、全学共通などで、なんらかのキリスト教についての科目を履修していること。)
○授業計画
1現代と終末論(1):「終末論の魅惑と誘惑」、「世の終わり――世界の絶滅か新しい創造か」
2現代と終末論(2)「地球の破壊と解放――エコロジーと終末論」、「輪廻(リインカーネーション)とキリスト教」
3時間と歴史についての様々な理解仕方:「西洋的時間概念の原型――プラトンとアリストテレスの時間概念」、「キリスト教における永遠と時間」
4キリスト教の歴史理解:「救済史神学の父エイレナイオス」、「イエス――神の国と歴史」
5新約聖書における終末論:「終末の遅延――歴史上のイエス、ルカ文書に見る」、「パウロは世の終わりをどのように見たか」
6旧約聖書の終末論:「預言者と黙示文学」
7教義史における終末論の展開:「復活と死を越える心身」、「フィオーレのヨアヒム――西欧思想と黙示的終末論」
820世紀カトリック神学の終末論(1):「進化の目標としてのキリスト――テイヤール・ド・シャルダンの進化観」
920世紀カトリック神学の終末論(2):「受肉と救済史の理解――カール・ラーナーの神学」、「歴史の想起、語り、そして連帯――J.B.メッツの政治神学」
1020世紀プロテスタント神学の終末論:「パンネンベルクの歴史神学とモルトマンの宇宙的終末論」
11死のキリスト教的な理解:「死生観の推移――旧約聖書・古代東方・古代ギリシャの霊魂・「よみの国」・ラビ宗教の終末観」、「現代カトリック神学における死と死後の諸問題」
12天国・地獄・煉獄とは何か?:「死後何が到来するのか」、「完成への途上における救いの契機」

  

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