2006年度上智大学シラバス

2006/02/28更新
◆無機化学特論Ⅵ(金属錯体のクロモトロピズム) - (後)
福田 豊
○講義概要
錯体は、様々の科学の中でしばしば目にする物質である。この化合物の特性を知っておくことは、無機化学や錯体化学を専攻するものだけではなく、分析化学は勿論であるが有機化学や生物化学の研究にも何かの役にたつものであろう。昔から、錯体化学は化学の十字路であると言われている。本講義では、無機化学および錯体化学の基礎を概観し、錯体の特徴である色をプローブとして、様々の錯体を例示しながら構造、溶液内平衡、固体物性等を論じる。特に、着色遷移金属錯体生成とその特性、環境による錯体の可逆的色変化(クロモトロピズムと言う)の諸項目(ソルバトクロミズム、サーモクロミズム、ピエゾクロミズム、フォトクロミズム、エレクトロクロミズム)について概説する。時には、演習的なことも交えながら錯体に親しんでもらいたい。
○評価方法
全講義回数の2/3以上の出席、およびレポート(課題)の提出等の総合評価
○参考書
入門、概論的な書籍を下に示す。それぞれのトピックスについては各章で紹介する。
1)F.Basolo & R.Johnson 著、山田祥一郎訳、配位化学-金属錯体の化学-、化学同人。
2)Kozo Sone and Yutaka Fukuda,"Inorganic Thermochromism",Springer, Heidelberg(1987)
3)水町邦彦、福田豊、「プログラム学習-錯体化学」、講談社サイエンティフイック。
4)福田他編著、「詳説 無機化学」、講談社サイエンティフィック。
5)三吉克彦、「錯体化学」、三省堂
6)吉川雄三・池田龍一他、錯体化学、朝倉書店
7)F.A.Cotton 著(中原勝厳訳)、群論の化学への応用、培風館
8)ドナーとアクセプター-溶液反応の分子間相互作用-V.Gutmann 著、大滝、岡田訳(学
会出版センター)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1以下の各項目について1~2回の講義をする。
          
1)10/2(第1回講義)本講義の進め方、スケジュール等について説明する。
 無機化学概論(周期性、周期律、多原子イオンや分子の構造と対称性、酸一塩基等)
2錯体化学概論-1(錯体の配位数と構造、異性現象、対称性、溶液内挙動等
3錯体化学概論-2(錯体の配位数と構造、異性現象、対称性、溶液内挙動等
4錯体化学概論一3(錯体の配位数と構造、異性現象、対称性、溶液内挙動等
5錯体の色と構造-クロモトロピズム-その1
6錯体の色と構造-クロモトロピズム-その2
7錯体の色と構造-クロモトロピズム-その3
8錯体化学の最近の動向
9まとめ

  

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