2006年度上智大学シラバス

2006/03/01更新
◆教会史特別講義Ⅱ - (後)
川村 信三
○科目サブタイトル
西欧修道制の変遷
○講義概要
西欧キリスト教史のなかで、「キリストにならう」を文字通り実践しようとした人々の生活パターンを概観することは、キリスト教そのものの深い理解にもつながる。なぜ人々は砂漠に逃れたのか。砂漠のない西欧環境にいかにしてみずからの「荒野」をみいだしたのか。創設者のカリスマ的意図と改革を要する時代のリーダー達の思いはどのようなものであったか。それらは総て水平的な社会組織論として考察するべきであると同時に、神との一致をめざした垂直的関係論にも思いいたらせるものである。
本講義は大学院生主体であるから、できかぎり原典(邦訳でも可)にあたることを目標とする。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(50%)、リアクションペーパー、レポート(30%)
○テキスト
上智大学中世思想原典集成 全20巻の西欧修道制に関する諸著作
Owen Chadwick "Western Asceticism" Philadelphia: The Westminster Press, 1963
C. H. Lawrence "Medieval Monasticism: Forms of Religious Life in Western Europe in the Middle Ages" London and New York: Longman, 2nd edition, 1989
Robert Martlett "The Making of Europe: Conquest, Colonization, and Cultural Change 950-1350" Princeton: Princeton University Press, 1994
○必要な外国語
英語 初級ラテン語 (仏語、伊語、西語のいづれか一つ)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1現代修道院考: 現代にも受け継がれる修道院の伝統(東西)
メテオラ、アトス山などの修道院を生んだ環境、時代相の考察
2西欧修道制の淵源:聖アントニウスの独住制と聖パコミウスの共住制
3聖アウグスチヌスにみる修道制と共同体
4聖ベネディクトゥスの『戒律』とその当時の社会にもたらした社会的貢献
5聖遺物と修道霊性 民衆の宗教運動
6贖罪規定書の起源と効用(ケルト系修道院のもたらしたもの)
7ベネディクト修道院とキリスト教宣教
イングランドとイベリア半島
8イスラム教支配下における修道院:モザラベ典礼の担い手
9クリューニー修道院と終末論
1011世紀の西欧修道院改革
隠修士伝統の復帰、使徒的生活の実践と大聖堂参事会、清貧の徹底とシトー会
11グレゴリウス7世在位期間のヨーロッパにおける「ラテン化」と修道院
12托鉢修道会誕生の必然性:聖フランチェスコと聖ドミニコ
民衆運動とのかかわりで(第三会、コンフラテルニタス)
1316世紀修道会の必然的存在意義

  

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