上智 学部 文学部 2024
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─ 176 ─文学部は、2015年度から「横断型人文学プログラム」(Interdepartmental Humanities Program)を開設した。指定された科目を履修し、所定の単位を取得すると、大学からの「プログラム修了認定証」が授与される。なお、14年次生以前の学生が履修を希望する場合は、末尾(p.182)を参照すること。 1.横断型人文学プログラムとは 本プログラムの目的は、文学部の学生が、人文学的問題意識をコアにしながら、学科の専門の枠を超えて、興味のあるテーマについて研究する機会を提供することにあり、以下のような特徴がある。 ・「共通基礎科目」で、文字情報に限らない広義のテクストの読み解きの方法と、グローバルな世界での文化交渉の場において起きる現象の理解を深める。 ・学生が興味のある分野を選択し、コースごとに指定された「個別選択科目」を履修することで、当該分野の基礎知識を身に付ける。 ・「プロジェクト・ゼミ」では、専門が異なる学生との意見交換を通し、複眼的な視点から参加者が特定の問題を追究し、その成果をまとめるよう促すことで、主体的に問題を発掘・解決するアクティブ・ラーニングの環境を提供する。 ・机上の学びに終わらず、教室の外での活動や実地体験(自分の目で見ること)を重視する。 2.開設コースについて 「身体・スポーツ文化論」「芸術文化論」「ジャパノロジー」の3コースがある。 身体・スポーツ文化論コース 「運動競技」のイメージが強い「スポーツ」であるが、その語源は紀元前5世紀頃のラテン語deportare(心と身体を非日常に運ぶ、遊ぶ)にまでさかのぼり、国際オリンピック委員会の公認スポーツにはチェスやブリッジも含まれる。つまり、私たちはスポーツと無関係ではいられないのである。一方「身体」は、誰もが一生を共にしながら、客観視の難しい存在であり、非言語コミュニケーションメディアとしても大きな影響力を持っている。このような身体とスポーツの文化を学ぶことは、国際的教養への広がりと、人間の生活を真に豊かに充実させていくこと(厚生)につながる。本コースでは、身体とスポーツの文化を人文学の研究対象として取り上げ、多角的かつ総合的に考えていく。 芸術文化論コース 多種の芸術があふれる今日の世界では、その深く多様な解釈を可能にする高度な教養が求められる。本コースでは、人文学的教養によって現代社会における芸術文化の推進に貢献するための実践的な方法を探っていく。舞台、美術、音楽などの芸術文化領域で、自らが国際的教養をそなえた鑑賞者となるにとどまらず、文学部で身につける総合的な知識を、地域社会の芸術文化・教育活動等に活かし、芸術の創造・受容・普及に生産的にかかわることのできる人材となることをめざす。芸術を「読み解く」経験を積む以外にも、芸術をめぐる評論、プロデュース、キュレーション、アーカイブなどの分野の基礎的な知識を得る機会も提供する。 ジャパノロジー・コース 本コースの目的は、自明のものと考えがちな「日本文化」を、内からの視座/外からの視座で捉えなおし、再創造することにある。「内から」は、日本列島内部における多様性に注目する。日常的に使用している言葉から、衣食住、ものの感じ方や考え方に至るまで、列島各地には一括りにできない独自性が存在する。また「外から」は、世界における日本イメージの多様性を検証する。日本に対するヨーロッパ、アメリカ、アジアの視線は、それぞれ異なった固有性を持っている。それらは一体何に由来し、いかなる思いの込められたものなのか。諸外国の研究者の日本像の検討、伝統的な知識・技術や芸能を担う人々との時間の共有、フィールドワークなどによって培われる経験を通して、新たな日本の〈素顔〉を求める。 文学部横断型人文学プログラムについて

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