─ 9 ─1.上智大学の全学共通教育 上智大学の全学共通教育はキリスト教ヒューマニズムを基礎とする教育である 上智大学は,「キリスト教精神を基盤におき,真理と普遍的価値観を求める教育研究により,人間形成につとめることを目的とする共同社会」です。上智大学で行われているさまざまな教育研究のなかでも,全学共通教育は,それらすべての教育の根本である「キリスト教ヒューマニズム」に基づいています。キリスト教ヒューマニズムとは,絶対的な価値に思いを至しつつ,人間と社会や自然の諸問題をその根本から考え,真の解決を目指そうとする考え方であり,生き方でもあります。 そうした考え方と生き方によって豊かな人間形成と平和な世界を実現するために,本学の学生諸君は,「他者のために,他者とともに」(For Others, With Others)生きる人間として,心身のバランスと深い教養を兼ね備えた人格を自覚的,主体的に育てていくことが求められます。上智大学の全学共通教育は,学生諸君がみずから問題を意識し,問いかけ,解決するためのさまざまな機会を提供します。全学共通教育によって身につけるさまざまな価値観を,みずからの人格形成のために役立ててください。 「キリスト教人間学」科目群がキリスト教ヒューマニズム教育の基礎をなす 上智大学の全学共通科目は,「必修科目」,「選択必修科目」と「選択科目」に大別されます。そのなかで,上に述べた教育の根本を示し,「キリスト教ヒューマニズム」教育の基礎を担うのが,本学のユニバーシティ・アイデンティティ科目である「キリスト教人間学」科目群です。 キリスト教人間学とは,キリスト教的な観点から,人間の超越性に開かれた哲学・倫理学・宗教学を基盤に,諸科学などの成果をも援用して,現実に生きる人間とその生き方を総合的に考える学問です。そこでは,「思索の基盤を深める」「キリスト教の精神に学ぶ」「人間として生きる」「よりよい世界をつくる」という4つの基本区分に沿って,他者とともに生き,他者に奉仕し,社会をより良く変革する人間,人間性のあらゆる次元を探求し,広く深みのある連帯を追求する人間となることが目標とされます(p.29の「キリスト教人間学科目(選択必修)の共通評価基準」を参照)。 本学で学ぶ諸君は,本学の教育のコア科目である「キリスト教人間学」科目群へ参加することを通じて,みずからの成長に真摯に取り組み,他者とのかかわりを大切にし,倫理的思考と判断力を備え,超越的価値にも目を開きつつ,地球的な視野に立ってより人間的な世界を築き上げる人間となるよう努力してください。 全学共通の必修科目は現代の人間形成に欠かせない分野である 「ウエルネスと身体」が,全学共通教育の必修科目として課されています。「ウエルネスと身体」は,スポーツや運動に関する科目というだけでなく,人間として生きていく上で不可欠な,身体知と健康の問題を自覚し総合的に実践する科目です。他者とともに生き,他者に奉仕し,社会をより良く変革する人間となるために欠かすことのできない重要な科目です。 高学年向け教養科目を履修して,社会に出る前に自分自身を見つめなおす 「高学年向け教養科目」は,社会の急激な変化に対応し,今後のグローバル社会で活躍するために,学科科目によりある程度専門性を身につけた上で高いレベルの教養科目を学修することを目的としています。 グローバル化の進む社会への対処のしかたを学んだり,社会との実践的なかかわり方を学べる科目,社会と専門分野の関係性,現代社会における学問のあり方,専門分野どうしの関係性を学べる科目,実践・体験を重んじる科目が用意されています。これらの科目を履修することにより,専門教育だけでは身につけることのできない,深く豊かな教養を持つ人間になってください。 全学共通科目について(2021年次生以前)
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