SDGsの実現に向けて地球環境問題に取り組むグローバルな人材を育成

現在、我々が直面している環境問題は、地球温暖化、廃棄物問題と循環型社会づくり、化学物質の環境リスク、大気と水の保全、自然資本と生物多様性の減少など、人々の日常生活や事業活動が原因で発生しているものです。このような環境問題に対処するためには、SDGs(国連持続可能な発展目標)の実現に向けて、環境教育やESD(持続可能のための教育)を一層向上させ、人間活動を変革し、健全で恵み豊かな環境を守りつつ、新たな経済発展を実現できる社会(持続可能な社会)をつくり上げる必要があります。このために、上智大学では、社会科学と自然科学を融合し、より高度な研究・教育を行う「地球環境学研究科」(地球環境大学院)を設置しています。教員は、法学、経済学、政策学、経営学、社会学、理・工学などの多様な分野の国内外の専門家から構成されており、非常勤講師は、現在の日本の環境研究をリードする第一線の研究者にお願いしています。

また、日本語コースに加えて、英語のみで履修することができる国際環境コースが設置されており、アジア地域、アフリカ、南米、欧米など世界各地から多数の留学生を受け入れています。このため、地球環境学研究科では、自らの問題や関心に応じ、グローバルな視野に立った水準の高い教育と指導を受けることができます。

カリキュラムの特徴

自然科学から 人文社会科学にまでわたり、地球環境に関連する広い科目群の中から、受講者の問題関心、バックグランド、将来の進路などに応じて自由に科目を選択し、自分のカリキュラム表や時間割を作成することができます。科目の受講者数は、40人程度から数人のものまでさまざまですが、どの授業においても、ベテラン教員による親身の指導をうけることができます。

カリキュラムは、必修科目、選択必修科目、選択科目からなっています。その他、修士論文の作成が必要です。修士論文の作成にあたっては、指導教員が2年間にわたり個別に指導します。なお、年度によっては開講されない科目もあります。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(環境学)
  • 博士後期課程:博士(環境学)

地球環境学専攻の特色

体系的なカリキュラム編成、広い領域にわたる開講科目

研究レベルの高さは国際学術誌への数多くの論文発表と、競争的研究資金獲得の実績によって裏づけられています。最先端の研究を大学院生とともに進めています。

理論と実践の融合

基礎理論を学習するだけではなく、コンピュータ、企業の環境報告書などを使用し、実践度の高いスキルの開発を目指します。また、企業の環境問題への取り組みが高まる中で、実際の経済活動、企業経営に結びついた科目を多数提供しています。

社会人にも学ぶ機会を提供

企業や地域社会で活躍する人から、環境問題を深く学習したいという要望が多く寄せられています。そこで、地球環境学研究科では、一部の授業を土曜日及び平日の夕方に開講するなど、社会人が在職しながら学べる環境を整えています。

大学院生も発表できる学術雑誌

地球環境学研究科の大学院生は、教員、修了生、その他の研究者とともに「上智地球環境学会」が主催するシンポジウム、セミナー、研究会などに参加し、学会誌『地球環境学』の姉妹誌『地球環境学ジャーナル』に優秀修士論文を掲載することができます。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • 環境的付加価値農産物の提供と地域活性化の関係性─消費者の持続可能性に対する 知覚プロセスからの一考察─
  • 環境影響評価指標を応用した企業評価に関する研究─環境会計の再構築をめざして─
  • 新規懸念物質の環境リスク─多環ムスク香料の淡水生態系への影響
  • 動物園における絶滅危惧種に関する環境教育─動物園の取り組みを中心に
  • 日本におけるCCS の実用化に向けたリスクコミュニケーションの現状と課題─米国と日本の環境NGO の比較研究─
  • Application and Contribution of Traditional Ecological Knowledge to Food and Water Security in the Arid and Semi Arid Lands: Case Study of Central Turkana, Kenya
  • Improving customer attitudes and loyalty by product recycling: An empirical study on the Chinese mobile phone industry
  • Climate Change and Collapse: An Environmental History Research on the Little Ice Age in the Middle East and North Africa
  • How May Japan’s Disposable Housing Culture Limit Progress Toward a Green Transformation of its Urban Residential Housing Sector?
  • Research on the Commonality and Regularity of Water related to Music Works
  • Estimation of Pollution Loading from Human Dietary; A Case Study of Ramen
  • Customer preferences for environmental sustainability in a product’s pre-use phase, use phase, and post-use phase: the case of wrist watches
  • The role of traditional knowledge in the conservation of forest medicinal plants: A case study of communities around Matandwe forest reserves in Nsanje, Malawi

教育の方針

博士前期課程

本課程では、地球環境問題や環境学の専門家として、環境関連の社会科学と自然科学についての幅広い専門知識と、さまざまな理論と実践を体得し、持続可能な社会の実現に貢献できると見なされる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 地球環境問題や環境学についての幅広い専門的知見
  2. 地球環境問題や環境学についての幅広い実践的知識
  3. 地球環境問題や環境学の解明すべき研究課題に対して、社会科学と自然科学の知識の総合化や理論と実践の結合などによる適切な研究方法及び分析手法を提案できる力。また、自らの主張を論理的に記述し、口頭で伝達することができ、社会に情報を発信する力
  4. 前項を実現する方法として、論文作成において的確な論文構成と明快な論理展開ができる能力
  5. グローバルな視点と対応能力

博士後期課程

本課程では、地球環境学に関する国際レベルの研究能力を有していると認められ、また、自立して研究・開発が遂行でき、持続可能な社会の実現に貢献できると見なされる専門的人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 地球環境問題や環境学についての幅広く、かつ特定の分野・課題についての深い専門的知見
  2. 地球環境問題や環境学についての幅広く、かつ特定の分野・課題についての深い実践的知識
  3. 地球環境学の解明すべき研究課題に対して、社会科学と自然科学の知識の総合化や理論と実践の結合などによるオリジナリティーのある研究能力を身に付け、自立して研究・開発を行うことができる力。また、自らの主張を論理的に記述し、口頭で伝達することができ、社会に情報を発信することができる力
  4. 前項を実現する方法として、オリジナリティーのある学術論文を執筆し、外部発表できる能力
  5. グローバルな視点と対応能力

博士前期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、地球環境問題や環境学に関する、広範な分野についての専門知識と、さまざまな理論と実践を効果的に体得するよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. 地球環境問題や環境学が提起する課題が常に自然科学的側面と人文・社会科学的側面をもっていることを踏まえた文理融合型の広範かつコンパクトな見通しの良いカリキュラムとするため、環境法律・政策・社会学、環境経済・経営、環境理工の3つの科目群をバランスよく配置する。
  2. 問題を適切に認識するための知的枠組み(ディシプリン)の修得と同時に、問題を解決するための実践的あるいは実務的知識をバランスよく身に付つけることが可能なカリキュラムとするため、講義科目や演習・セミナー科目等において、最先端の取り組みや現場における知見を学ぶことができる機会を積極的に取り入れる。
  3. 上智大学の教育の特色である小人数教育による教員と学生の多彩なコミュニケーションが可能なきめ細かな教育が可能なカリキュラムとするため、講義科目や演習・セミナー科目等において、研究・分析方法の修得や発表・意見交換を行う機会を取り入れる。また、修士論文執筆と口頭報告の能力の修得のため、第4学期目の始めに論文構想発表会を配置する。
  4. 地球環境問題の解決のための国際協力の必要性が高まる中で、積極的に留学生を受け入れ、国際的に活躍する人材を育成するために、英語のみを用いた講義と指導によるカリキュラムの英語コースを設置するとともに、日本語コースと英語コースの講義科目の枠を越えた相互乗り入れを可能とし、演習・セミナー科目等において、さまざまな国籍の学生が交流しつつ学ぶことができる機会を積極的に提供する。また、社会人が学びやすいように、夜間、土曜日に講義科目を配置し、働きながら必要な単位を履修できるように配慮を行う。

博士後期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、地球環境問題や環境学に関する、広範な分野についての専門知識と、さまざまな理論と実践を効果的に体得するよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. 地球環境問題や環境学が提起する課題が常に自然科学的側面と人文・社会科学的側面をもっていることを踏まえた文理融合型の広範かつコンパクトな見通しの良いカリキュラムとするため、環境法律・政策・社会学、環境経済・経営、環境理工の3つの科目群からコースワーク科目をバランスよく配置する。
  2. 問題を適切に認識するための知的枠組み(ディシプリン)の修得と同時に、問題を解決するための実践的あるいは実務的知識をバランスよく身につけることが可能なカリキュラムとするため、コースワーク科目や研究指導等において、最先端の取り組みや現場における知見を学ぶことができる機会を積極的に取り入れる。
  3. 上智大学の教育の特色である小人数教育による教員と学生の多彩なコミュニケーションが可能なきめ細かな教育が可能なカリキュラムとするため、コースワーク科目や研究指導等において、研究・分析方法の修得や学会発表等を積極的に取り入れる。また、論文構想発表や資格論文審査などにより、博士論文執筆と口頭報告の能力の修得と提出資格の測定を適切に行う。
  4. 地球環境問題の解決のための国際協力の必要性が高まる中で、積極的に留学生を受け入れ、国際的に活躍する人材を育成するために、英語のみを用いた講義と指導によるカリキュラムの英語コースを設置するとともに、日本語コースと英語コースの講義科目の枠を越えた相互乗り入れを可能とし、さまざまな国籍の学生が交流しつつ学ぶことができる機会を積極的に提供する。また、社会人が学びやすいように、働きながら必要な単位を履修できるように配慮を行う。

博士前期課程

本課程は、今日の緊急的課題である地球温暖化問題をはじめとする、多くの環境問題についての効率的で効果的な解決に向け、高い使命感をもち、社会科学と自然科学の知識を総合し、理論と実践を結びつけるすぐれた知力・学力を有する人材の育成を目指しています。具体的には、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 深刻化しグローバル化する環境問題に強い関心をもっている学生
  2. 社会科学、自然科学、あるいは人文科学に対する基礎的な学力をもっている学生
  3. 複数の領域にまたがる学問的知見を身につけ、発展させようという意欲を有する学生
  4. 地域、企業、行政やNPOなどの場で、他者との協働を通じて、環境問題の解決に具体的に貢献するという意志をもっている学生

博士後期課程

本課程は、前期課程で培った環境問題についての効率的で効果的な解決に向け、高い倫理感と使命感をもち、社会科学と自然科学の知識を更に発展させる人材を求めています。具体的には、以下のような資質を持つ学生を求めます。

 

  1. 深刻化しグローバル化する環境問題の幅広い分野に、関心をもっている学生
  2. 社会科学、自然科学、あるいは人文科学に対する基礎的な学力を有し、それを応用する力を持っている学生
  3. 高度で独創的な研究を行い、学会での研究報告や学術誌への積極的な論文発表を行うと共に、優秀な博士論文を執筆し、博士号を取得することを志している学生
  4. 修了後には、国内外の研究機関や地域、企業、行政、NPO、国際機関などで、他者との協働を通じて、環境問題についての研究・教育活動、環境問題の解決のための活動に具体的に貢献するという意志をもっている学生

教員一覧

安納 住子 教授

研究分野 [ 環境衛生学/空間情報科学 ]機械学習を用いた環境・健康に関する応用研究
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織 朱實 教授

研究分野 [ 環境法/環境政策 ] 国際的な動向を踏まえながら、我が国の環境負荷の低減に向けての法規制やその他の政策手法のあり方を検討する
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鈴木 政史 教授

研究分野 [ 環境経営学、環境・エネルギー技術政策 ] 企業の環境・CSR 経営、クリーンエネルギー技術のイノベーション・普及政策、持続可能な消費と生産、持続可能な開発目標と指標
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田中 嘉成 教授

研究分野 [ 生態学/環境毒性学 ] 生物多様性の保全、環境汚染の生態リスク評価
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銭 学鵬 教授

研究分野 [ 都市環境計画 ] 都市・地域計画、産業生態学、社会システム、サステナビリティ学

柘植 隆宏 教授

研究分野 [ 環境経済学 ] 環境の経済的価値を評価するための手法の開発と、それらの手法を用いた実証研究
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中川 善典 教授

研究分野 [ フューチャー・デザイン ] 社会調査、質的研究、ライフ・ストーリー研究、社会技術論
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黄 光偉 教授

研究分野 [ 流域環境学 ] 治水と環境保全、環境影響評価

プテンカラム ジョンジョセフ 教授

研究分野 [ 開発と環境 ] 途上国の経済開発と環境保全

まくどなるど あん 教授

研究分野 [ 環境史、環境政策 ] 欧米帝国主義時代を対象とする環境社会学問題分析、農山漁村とサステナビリティー政策
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朴 慧美 助教

研究分野 [ 自然資源管理学 ] 衛星を用いた陸域生態系モニタリング

上智大学 Sophia University