上智大学

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教皇フランシスコ来学一周年記念メッセージ

上智学院 理事長 佐久間 勤

2019年11月26日、昨年の今日、教皇フランシスコが四谷キャパスを訪れてくださったことは、皆さんの記憶にもまだ鮮明に残っているのではないでしょうか。本日は教皇来学一周年を機会に、この恵み多いできごとを皆さんと共に振り返ってみたいと思います。

教皇フランシスコ来学に先立ち、歓迎のこころを暖めるため様々な企画が実施されました。中でも2019年9月19日には、教皇訪日準備のため外務省から招聘されて来日中であったアントニオ・スパダロ神父が私たちのために特別講演会「教皇フランシスコによる慈しみの地政学」を開いてくださいました。また2019年10月5日には国連weeksの一環として「キリスト教と国連の平和構築-教皇フランシスコの南スーダンや他の平和構築への取り組み」という特別シンポジウムを行いました。

こうして歓迎ムードが高まる中、教皇は「すべてのいのちを守るため-PROTECT ALL LIFE」というテーマで来日され、長崎、広島、東京での行事を滞りなく終えられた後、11月26日に6号館101教室において「叡智の座の大学で学ぶ者へ」のメッセージを、本学の学生・教職員に向けて直接語りかけてくださいました。このメッセージの中で教皇は「この大学は単に知的教育の場であるだけでなく、よりよい社会と希望にあふれた未来を形成していくための場となるべきです」とのヴィジョンを示してくださいました。

このヴィジョンの実現のためには「上智大学が礎を置く聖イグナチオの伝統に基づき、教員と学生が等しく思索と識別の力を深めていく環境」を創り出すべきであると言われました。さらに、大学を卒業するまでに、すべての学生が「何が最善なのかを意識的に理解したうえで、責任をもって自由に選択するすべを習得」するべきこと、また、卒業後の人生において受ける評価に関して「公正であり人間的であること、責任を担うこと、誠実であること、決然と弱者を擁護する者であること」という基準を示して、ソフィアンのプロフィールを描いてくださいました。重ねて強調されたのは「貧しい人たちのことを忘れてはならない」という聖書の言葉の引用とともに「めいめいが与えられた分野で奉仕してほしい」という願いでした。

これらの教皇のメッセージは、学生のみならず学院全体にとり力強い励ましとなりました。なぜならこれこそが、上智大学のみならずすべてのイエズス会学校の教育が目指すところだからです。

教皇フランシスコのメッセージを心に刻み、ふさわしく応えるため、いくつかの企画が動き始めています。すでに6号館1階の展示スペースにおいて「教皇フランシスコ来校ありがとう」というテーマで、教皇来学時の写真などの展示を行い、また2号館エントランスにおいても「若者へのメッセージ」や「平和と環境についてのメッセージ」というテーマで展示を行ってきました。今月21日には、カトリック・イエズス会センターが「教皇フランシスコ来日一周年-コロナ後の世界ですべての命を守るため」というテーマでオンラインによる講演会と交流イベントを開催しました。

明日27日には、マイケル・チェルニー枢機卿(ローマ教皇庁移住者・難民部門次官補)によるオンライン・シンポジウムを「教皇フランシスコ来日一周年-COVID-19後の世界におけるグローバルチャレンジ」というテーマで開催いたします。教皇のメッセージから得たものについて改めて考え、分かち合う良い機会になるのではないでしょうか。

さらに長期的な計画も進めつつあります。教皇来学の記憶を永くとどめるため、2019年度末に上智学院は「教皇フランシスコ来学記念基金」を設けました。この基金の目的は、教皇フランシスコのメッセージの中に込められている様々な課題への取り組みを支援することにあります。つまり、貧困や社会的弱者の課題、多文化共生社会の実現という課題、地球環境問題という課題に取り組む教育・研究活動、学生・生徒活動への支援を行うための基金です。具体的には、この基金の目的に適う特別奨学金制度、ならびに上智関係者の活動や取り組みへの表彰制度等を設けます。

この新たな表彰制度は、上智学院および設置各校に所属する生徒、学生、教職員、また関係者による、教皇フランシスコのメッセージの具現化をめざす活動や取り組みを表彰し、広く学内外に共有しようとするものです。これまで述べたような教皇来学時のメッセージや、「イエズス会の使徒職全体の方向づけ(Universal Apostolic Preferences of the Society of Jesus, 2019-2029)」に広く関係する、教育、研究、課外活動、業務実践などを称えることを想定しています。それを通じて教皇来学という大変貴重な経験を一過的イベントに終わらせることなく、今後も上智学院の全構成員がメッセージに込められた想い、上智が大切にする価値を共有しながら、様々な活動に積極的に取り組んで行くことを期待しています。

教皇フランシスコの来学からちょうど一年が過ぎた今、改めて私たちは教皇をお迎えした大学としての決意を新たにいたしましょう。すなわち上智の全ての構成員が一体となって、「キリスト教的ヒューマニズム」に立脚した「国際性」と「隣人性」という本学のアイデンティティーを、教育・研究・社会貢献の諸活動により一層浸透させ、本学の精神にふさわしい卒業生を世に送り出すことにより、教皇フランシスコの期待に応えて参りましょう。