上智大学

ニュース 講演会報告 2018年1月25日開催

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)ピエール・クレヘンビュール事務局長の講演会を開催しました

上智大学・国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)共催
「緊急報告:中東の紛争と危機—パレスチナ難民に今必要なもの」

講演を行った国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)ピエール・クレヘンビュール事務局長は、「これまでの歴史の中で、“戦争は不可避である”という言説がまかり通ってきたが、まずこの考えを改めるべきだ。ここ数年で言っても、アフガニスタン、イラク、シリア、イエメン等々、軍事介入によって解決した実績は一つもなかった。政治的解決に、より注力すべきだ。また我々は、第二次世界大戦後の国連憲章やジュネーブ条約に立ち戻るべきだ。約70年前の古いものではあるが、悲惨な戦争の結果生み出された原則を簡単に覆すべきではない」と話しました。

また、クレヘンビュール事務局長は各国への支援を呼びかけるとともに、個人や企業からの援助にも期待する旨を述べました。さらに、「世界はパレスチナ人を“難民”としてしか見ないが、彼らは夢も希望もある個性ある人たちなのだ。だから教育が重要なのだ」と訴え、「パレスチナ難民と接する中で学んだ、『決してあきらめない、決して屈服しない』という精神で、難民救済に取り組んでいきたい」と講演を締めくくりました。

第二部は、クレヘンビュール事務局長、NHK解説委員出川展恒氏、本学国際協力人材育成センター長植木安弘教授によるディスカッションが行われました。
出川氏は、「昨年末トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認め、米国大使館をエルサレムに移転する宣言をしたこと、そしてペンス副大統領がその期限を2019年末までと切ったことが大きな影響をもたらし、それによってUNRWAも厳しい財政状況となっている。資金が集まらない場合はどうするのか?」と問題提起しました。クレヘンビュール事務局長は「資金の1/3は米国から拠出されている。しかしUNRWAが支援している700の学校、140の医療機関を資金がないからといってやめる訳にはいかない。米国とは辛抱強く交渉し、他の国も巻き込み、また個人の寄付を募るようなキャンペーンも企画しあらゆることを行う」と答えました。また、アラブ湾岸諸国からの安定的、長期的な資金援助も訴えました。

当日会場には、タレントのサヘル・ローズさんが着物姿で参加し、イラン・イラク戦争で孤児となった自身の辛い体験を語るとともに「自分が今こうしていられるのも、手を差しのべてくれた人々がいたから。パレスチナ難民も同じ。資金援助ももちろん大切だが、心の片隅に難民のことを思う気持ちを置くことからはじめてもらいたい」と熱く語りました。

会場には、上智以外からも多くの学生や中東情勢への関心が高い人々が200人以上集まり、真剣に耳を傾けました。