文京区との共催によりシンポジウム「シドティ神父の謎に迫る」を開催しました

基調講演を行うトルチヴィア神父

7月6日、10号館講堂において、シンポジウム「シドティ神父の謎に迫る」が開催されました。2014年に文京区の切支丹屋敷跡からシドティ神父の墓が発見された縁により、文京区との共催で行われました。
このシンポジウムは、謎の多いキリシタン時代最後の宣教師である、シドティ神父の本格的伝記の翻訳出版を記念したものです。伝記の監訳を務めた髙祖敏明本学名誉教授の総合司会のもと、さまざまな分野の専門家が登壇しました。

冒頭、曄道佳明学長と文京区教育委員会教育長の加藤裕一氏が挨拶に立ち、このシンポジウムを共催する意義を述べました。
シンポジウムの前半は、伝記の原著者であるイタリア・カターニア聖パオロ神学院教授のマリオ・トルチヴィア師が、基調講演「シドティ神父にまつわる謎と誤解を解く」を行いました。トルチヴィア師はスライドを示しながら、イタリア語でシドティ神父について解説し、カトリック教会において聖人に次ぐ地位である福者に認定される「列福」の調査委員会を立ち上げたことを紹介しました。

全体討論では活発な議論を展開

続いて、「あの遺骨は本当にシドティのものなのか」と題する講演が行われました。谷川章雄早稲田大学教授は考古学の立場から、篠田謙一国立科学博物館副館長は人類学の立場から、それぞれ遺骨をめぐる異論を念頭に、シドティの遺骨と判断した根拠が示されました。

後半は、小川早百合聖心女子大学教授が国際交流史研究者の立場から、川村信三本学教授がキリシタン史研究者の立場から、そして、カロリーナ・カパッソ氏がイタリア人研究者の立場から、それぞれ報告を行いました。新井白石とシドティの関係やバチカン機密文書館等史料を通しての分析など、多角的な考察が開陳されました。
最後に、登壇者全員による全体討論「シドティは何のために日本へ来たのか」が行われ、活発な議論を展開しました。

シドティ神父の復顔を展示

長時間のシンポジウムでしたが、400人近い参加者は、どの講演・報告にも熱心に耳を傾けていました。また、会場ではシドティ神父の復顔なども展示され、休憩時間に興味深く見つめる参加者が多数いました。

当日の様子は次のURLからご覧いただけます。歴史の再評価が進むシドティ神父

上智大学 Sophia University