上智大学

グローバル教育・留学 国際教養学科 井上 咲 (カンボジア・エクスポージャーツアー)

実践型プログラム

 私がカンボジア・エクスポージャーツアーに参加したのは4年の夏休みでした。元々海外経験は少ないほうではなく、アメリカに8年間住んでいた経験があった上、大学のほかのプログラムや旅行で複数の国を訪れたことがありました。しかし、それらは全て先進国であり、カンボジア・エクスポージャーツアーが初めていわゆる「発展途上国」を訪れた機会でした。

 カンボジアを訪れるまでは、「発展途上国」と呼ばれる国はどのような場所か、正直、はっきりとイメージすることができず、漠然としたネガティブな面がまず頭に浮かんでしまっていました。しかし、同時に存在する国の良さや文化の奥深さ、人々の温かさなどのポジティブな面はどうなのか、と好奇心を抱いていました。そのため、発展途上国のネガティブな面と向き合うだけでなくポジティブな面についても知識を深めたい、という思いでツアーに参加しました。

 ツアー中に訪れた主な場所は、プノム・バケン寺院、アンコール・ワット、バンテアイ・クデイ寺院、バンテアイ・スレイ寺院、シハヌーク博物館(仏像保存博物館)、地雷博物館、タオム村、そして水上村(トンレサップ湖上の村)でした。特に遺跡においては、それぞれの歴史的背景やカンボジアの人々にとっての意味合いや重要性について、現地の王立芸術大学の学生(芸大生)やツアーガイドさん、更には上智大学総合グローバル学部教授の丸井雅子先生や上智大学アジア人材養成研究センター研究員のニム・ソティーブン先生が説明して下さりました。遺跡がどのような歴史を物語っているかだけでなく、いかにカンボジア人の考えや国民性に影響を与えているかを学ぶことができました。一方、博物館を訪れることにより、仏像や地雷についてより深く学ぶことができました。更に、タオム村や水上村では田舎での暮らしについて知るとともに、生活における苦労や幸せを見るだけでなく実際に肌で感じることができました。

 同時に、本ツアーでは沢山の出会いにも恵まれました。芸大生、地雷で両脚を負傷し更にはノーベル平和賞を受賞したトゥン・チャナレット氏、ベトナムから移住してきたトーテット神父、そしてタオム村や水上村の人々から、各々の異なるバックグラウンドを踏まえた上での生活や文化、伝統についてのお話を伺うことができました。

 カンボジアでの八日間は、日本での生活とかけ離れた点が多くあり、慣れるまでに多少時間がかかるものもありました。トイレの手動洗浄や水のシャワーはすぐに慣れましたが、物乞いの子どもたちやお土産品を売ろうとする人々が観光客に必死に声を掛けてくる光景には強く胸を打たれ、何度見ても複雑な気持ちになってしまいました。栄養失調のために髪の色素が抜けてしまったり痩せてしまったりしている子どもたちの姿を見るのも同様でした。しかし、同時に、清潔な水や温かいお風呂、使い易いトイレがあるありがたさを感じることができ、自分がいかに恵まれている環境にいるかを痛感しました。更に、日頃とは真逆の環境で時間を過ごすことにより、たくましさや好奇心がより一層身に付きました。そして何より、ツアーに参加する前と比べ、カンボジアや発展途上国についての知識量が増したとともに、発展途上国における視野が広まり、座学のみでは得ることのできない広い見地を持てるようになりました。

 中学の頃から国際協力の分野に携わりたいという強い意志を持っており、その意志は変わっておりません。むしろ、本ツアーに参加することにより、上智大学卒業後に米国の大学院で進めたい研究のテーマが明確になり、将来の目標を新たな気持ちで再確認することができました。今後は、カンボジアの大人の識字教育を促進する方法について大学院で研究を進め、卒業後はNGOや国際機関、開発に携わる企業にてキャリアを積み、ゆくゆくはカンボジアに留まるのではなくより広範囲で大人の識字教育を促進できればと考えております。