国際関係法学科 三浦 帆奈

2017年東ティモール・スタディツアー

私は、以前から平和構築に関心があり、東大作先生の秋学期の「International Politics and Peacebuiling2」を受講した。その際に、東ティモールが平和構築の成功例であることを学び、実際にフィールドに赴きたいと思い、スタディツアーに参加した。
実際に、現地で平和構築に対する理解を深めることができた。持続的な平和を構築するためには、コミュティレベルでの和解が必要である。東ティモールにおいては、紛争時の重大犯罪の加害者は法的に裁かれ、それ以外の加害者のためには謝罪を通じた和解プロセスが推し進められている。しかし、多くの重大犯罪者は、インドネシアに逃亡してしまっており、罪の裁きを受けていないのが現状である。私は、東ティモール人が、その様な逃亡者や加害者に対して憎悪を感じていると考えていた。しかし、初代大統領のシャナナ・グスマン氏は、「対立を乗り越える必要がある。平和こそが大事だ」と熱く語り、今回のスタディツアーで通訳を務めてくれたエバリストさんも、「憎悪は何も解決しない。前を向く必要がある」と語った。東ティモールの人々が、感情的な対立を乗り越えている姿は、非常に印象的で、「和解」が実現可能であることを、初めて身をもって体感することができた。

東ティモール外務省

また、東ティモールでのスタディーツアーは、私の価値観を大きく揺るがした。それは、東ティモールで、2国間関係担当局長(アジア地域担当)に、現地の政治活動についての話を伺った時だ。彼は、東ティモール人が政治参加を非常に重要視して、市民間で活発な議論を繰り広げていると述べた。そして、自ら在日本東ティモール大使だった経験も踏まえ、日本もこの様な東ティモールの政治活動から学ぶものがあるのではと指摘した。私は、支援政策として、現地の人々が主体となる支援が必要であるが、支援を受ける対象国を、常に与えられる側としてしか認識していなかった。つまり、援助国が被支援国から学ぶものがあるという観点で「援助のあり方」を捉えておらず、相手を対等なパートナーとして扱っていなかったのである。しかしながら、東ティモールのスタディツアーを通じて、支援国と対象国が、一方的に支援するのではなく、双方向の関係を築く重要性を改めて考えさせられた。

外務省2国間関係担当局長との懇談

アジア最貧国といわれる東ティモールは、高い失業率、公用語の問題など多くの課題を抱えている。しかし、独立から15年を経て、東ティモールは大きな発展を成し遂げ、現在の治安情勢は安定している。平和へと向かっている東ティモールでの10日間は、失敗ばかりが多く指摘される「平和構築」の中で、私に希望の一面を感じさせた。
最後に、元大統領や元首相など、普段はお会いすることができない方々との対談を可能にし、多くのことを学ぶ機会を与えてくれた東先生に敬意と感謝の気持ちを表したい。私はこのスタディツアーを終えた後、将来、平和構築に携わりたいと考え、大学院で「人間の安全保障」を学んでいるが、今回のツアーで経験したことが自分の糧になると確信している。また、ツアーに同行した12名の上智生にも、感謝の気持ちを伝えたい。

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