受験生の海外へのまなざしを全力で支えたい~一般選抜での大学選び

高大連携担当副学長
経済学部経営学科 教授
西澤 茂

一般選抜の入学試験要綱公開時期になりました。受験生にとっては、出願先を絞り込む最終フェーズです。日頃から全国の高校教員、生徒と顔を合わせている高大連携担当副学長が、留学を視野に入れた大学選びの考え方と、上智大学が一般選抜に込めているメッセージを語ります。

留学を、一生涯の財産を築く機会に

日本の高校生の内向き志向が指摘されて久しくなりますが、全国の高校に足を運び、生の声を聞くにつけ、海外での学びに高い関心を持つ生徒も数多いことを知り、頼もしい限りです。そうした高校生、彼ら彼女らを指導する高校教員には、大学選びの基準の一つとして留学制度の充実度を挙げる人も少なくないでしょう。

 特に長期留学制度を見比べる際は、渡航先、期間等はもちろんのことながら、各大学が念頭に置く留学の意義にも着目してほしいと思います。英語の上達やコミュニケーション能力の向上も確かに留学の魅力ではありますが、せっかくの長期滞在、日本では難しい、もっとスケールの大きな体験にしてもよいのではないでしょうか。

 私たちが考える学部生の長期留学の最重要目的は、人的ネットワークの構築です。上智大学の交換留学先は、アメリカはもちろん、ヨーロッパやアフリカの大学の選択肢も充実しており、いずれの大学にも魅力的で優秀な学生が世界中から集まっています。そのとき起きている世界の政治や経済の変化について、個の考えを主張し、認め合い、生涯付き合える友人をつくる。世界市民として生きるうえで、大きな財産になるはずです。

 多様性のある社会を成り立たせるには、いろいろな考え方の存在を認めること、認めたうえで共生する方法を見出すことが大切です。価値観の対立を一因とする争いが今も世界各地で起きていますが、こうした争いを政治だけで解決するのは難しく、市民レベルで互いの価値観を認め合う流れができなければ、本当の意味での平和は実現しないでしょう。

 大学選びの話に平和という単語が出てくるのは大げさに感じるかもしれませんが、学生時代はキャリア構築の土台となる考え方を形成する重要な時期であり、留学がそこに及ぼす影響は無視できません。偏差値だけにとらわれず、どうか大きな視点で大学を選んでほしいと思います。上智大学は、留学先の授業料を改めて納める必要がない長期留学(交換留学)制度、返還不要の給付型奨学金制度などを備え、経済面の支援も充実させています。

 海外大学院への挑戦を支援する推薦制度も拡充中です。すでにコロンビア大学はじめアメリカのトップ大学、ヨーロッパの名門への推薦制度が充実しており、一般受験者より優先的に審査される、一部授業料が減免されるといった措置を受けられます。国連などの国際組織への就職でも、海外大学院での経験は有利に働くでしょう。

個を確立する土台は母語、日本語ベースの思考力を見たい

海外経験について述べてきたので、学部入試も極端に英語を重視していると思われるかもしれません。英語が得意な人が強みを生かせる入試も用意していますが、英語力だけで合格できる入試は上智大学にはありません。どの入試にも共通して、first language(母語)が日本語の生徒には、日本語をしっかり学んでくることも期待しています。

 多くの日本人にとって、英語はどんなに流暢に扱えても、second language(第2言語)にしかなりません。物事を考えるときに頭の中で使うのはfirst language。四谷キャンパスしかり、留学先しかり、世界中から多様な人が集まる環境で、日本人が個性を確立し、主張するためのベースは日本語なのです。

 このような観点を前提に、一般選抜で私たちが見たいのは、単なる暗記力ではなく、言葉を理解して、自分なりに考え、答えにたどり着く思考力です。一般選抜は2021年度に改革を終えており、2025年度入試での大きな変更は考えていません。安心して準備を進めてもらいたいと思います。

 上智大学が育成目標とするのは、世界の人々と共に歩む人材。私たちはこの人材像から逆算してカリキュラムを組んでいます。留学がその重要なピースの一つであるのと同じように、入試もキャリアプランの一部。学部学科独自試験、共通テストいずれも、思考力を意識して準備してもらえば、入学後の学びに必ず役立ちます。

2025年度一般選抜試験要項はこちらからご覧いただけます。

上智大学 Sophia University