上智大学

大学案内 2018年度 大学院学位授与式・助産学専攻科修了式 式辞

2018年度 大学院学位授与式・助産学専攻科修了式 式辞

2019年(平成31年)3月26日
上智大学長 曄道佳明

上智大学大学院並びに助産学専攻科での学び、研究を修了され、本日、巣立つ日を迎えられた皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ご父母並びにご関係の皆様にも心よりお祝い申し上げます。

皆さんは大学院・助産学専攻科での学びにより、自らのバックグラウンドとなる専門性を身につけました。皆さんが取得した学位は、皆さんがその専門領域において、誰も知ることのなかった新たな知見を導き出し、その成果をまとめあげたことを証するものです。皆さんが手にする学位記は、その成果において、皆さんが唯一無二の存在であることを、上智大学が認定したことを示しています。これから、皆さんが歩む様々な場面で、この専門性は、皆さんのバックグラウンドとして、その考え、意見、主張に、信頼と責任を与えることになります。様々な分野の融合が図られる中で、また多様な言語、文化、宗教に溢れる社会において、この専門性のバックグラウンドは、時に言葉以上の大きな意味を持つことでしょう。

一方で、皆さんの多くは、学びの深さ、研究の奥行きは無限に拡がっていると感じていることでしょう。学位プログラムを修了するにあたり、その研究には一定の区切りをつけたものと思いますが、そこからさらに取り組むべき発展的な課題や、移行すべき学際的な課題の存在に気づき、研究には、収斂という言葉の適用は難しいということを実感しているものと思います。私は、皆さんが卓越した専門性とともに、研究のプロセスを知り、未知なる領域への向き合い方を修得したことも、皆さんの大学院修了の成果として尊重していただきたいと思います。

さて、皆さんは、修得した専門性を、今後どのように活かし、どのように展開していくのでしょうか?人それぞれ、進路は異なり、その展開は多種多様であろうと思います。ただし、共通して言えることは、これからの時代において、皆さんは常に社会の変化に向き合い、対応が求められるということです。と同時に、社会からの期待や要請が変化して行く中で常に新たな価値を生み出していかなくてはなりません。高い専門性を有する皆さんには、課題解決の期待が強く寄せられることでしょう。皆さんの中には、研究の高度化を図る人もいれば、別の分野やフィールドで新たなチャレンジをする人もいると思います。しかし、対峙する課題がなんであれ、大学院において専門性を得るというプロセスを経験した皆さんは、課題に向き合う力を有する人として期待されているのです。

このように考えると、皆さんは、次代の社会の中で大きな役割を担う存在です。変化の先にある新しい社会の創造に強く関わることが期待されます。それは、おそらく新しい経済社会、社会制度、科学技術などを構築するだけでなく、新しい価値の創出や、今とは異なる側面からの倫理の創成も含むことでしょう。皆さんは上智大学の修了生です。豊かな専門性を持つ皆さんが、私たちの教育精神である、"Men and Women for Others, with Others、他者のために、他者と共に"、を体現して社会に貢献していただくことを切に望みます。社会の発展の方向付けが問われる現代社会において、自己の能力を他者に尽くすことに還元できるリーダーの出現が待ち望まれています。現在の社会に山積する、ローカルな、あるいはグローバルな課題を俯瞰すると、良質な社会を導く理念や信念をどのように具現化するかという取組みこそが待ち望まれています。

先ほど、カトリックセンター長からコリントの信徒への手紙(注)が紹介されました。愛は、自慢せず、高ぶらず、そして自分の利益を求めないと説かれています。社会に巣立つ皆さんの他者への思い、視点は、専門性を有するエキスパートとして十分に準備されているでしょうか?専門性を発揮すべき人々が、社会の本質である愛について常に思いを馳せること、これが新しい社会構築の成否の根本だと思います。

ご卒業、誠におめでとうございます。

(注)コリントの信徒への手紙 12章31節、13章4~8節
 
[兄弟の皆さん]あなたがたは、もっと大きな賜物を受けるよう熱心に努めなさい。そこで、わたしはあなたがたに最高の道を教えます。愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない。