上智大学

大学案内 2018年度 学部学位授与式 式辞

2018年度 学部学位授与式 式辞

2019年(平成31年)3月25日
上智大学長 曄道佳明

本日上智大学を巣立つ日を迎えられた皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ご父母並びにご関係の皆様にも心よりお祝い申し上げます。

さて、この学位授与式という節目の場で、私はいくつかの質問を皆さんに投げかけたいと思います。まず、皆さんは高等教育機関である大学を卒業し、学士の学位を取得しました。世界の中でも少数のグループに属することになります。大学への進学率が5割を超える国は、世界の国々の中でも3分の1に満たないのです。もちろん、人生設計の中で大学での学びに価値を見出す人もいれば、そうでない人もいますが、皆さんは、入学前に見出したであろう大学での学びの価値を手にすることができたでしょうか?

そして、上智大学で学んだことの意義を今一度考えてください。まず、本学の教育の精神である、"Men and Women for Others, with Others" というマインドは皆さんの中に醸成されたでしょうか?ビジネス、行政、研究、社会活動など、どの進路に向かうにせよ、全ての卒業生の皆さんには、常に他者に寄り添い、他者と共にある存在であってもらいたいと思います。

また、本学は、世界とのつながりの中に存在する大学です。多様性のあるキャンパスの中で、皆さんは多様性の存在の理解だけでなく、その必要性を感じることができたでしょうか?社会に多様性があるからこそ、個人も組織もまた社会も成長することができるのです。

さらに、本学は全ての学部を四谷に集めキャンパスを構成しています。これは、学術的多様性にも溢れる環境で、皆さんの学びの発展を期待しているからです。学んだ専門軸を様々な職種、分野、場面で展開する力は、学際的、融合的、複合的な領域へ踏み込む力でもあります。その視点、視野は、養われたでしょうか?

卒業にあたり、この振り返りを求めることは、次のステップに向かう皆さんに対する私からの強いメッセージでもあります。

社会は、グローバル化であれ、高度情報化であれ、激しい変化を続ける時代に突入しました。その変化に対応するために、また、その変化の中で新しい価値を創造していくために、個人も組織も社会も学び続ける力が求められます。そしてそのためには、学び続ける環境も必要です。社会に出れば、中等教育、高等教育といった学びの枠はなくなります。大学院への進学者も、学びのデザインそのものを練る力が求められます。

つまり、皆さん自らが学びの環境を整えていかなければならないのです。ぜひここで、上智大学で過ごした日々を振り返り、皆さん自身が個性的な学びの環境を整え、生涯学び続けるスタートに立っていただきたいと思います。

先ほど、カトリックセンター長からマタイによる福音書の一節(注)が紹介されました。 「最も小さい者の一人にしたことは私にしてくれたことなのである」という教えは、学士となった皆さんに大きな示唆を与えてくれています。学士となり、社会での役割を担う皆さんの他者への思い、視点は、最も小さい人に注がれているでしょうか?福音書にあった用意されている国、天国を受け継ぐことができる資格は、社会での地位ではなく、どれくらい他者への思いが込められた人生を送っているかにかかっていると説いています。これは、常に他者に寄り添う気持ちを忘れない人こそ、社会でのリーダーとなり得ることを言っているのです。

どうぞ、上智大学の教育精神を今一度心にとどめてください。"Men and Women for Others, with Others". この言葉は、皆さん自身の充実感、幸福感は、他者へ尽くすことで得られるのだというメッセージでもあります。

ご卒業、誠におめでとうございます。

(注)マタイによる福音書 25 章34b~36 節、40 節
〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた〕
「王は言う。『さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。』『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』」