上智大学

大学案内 2022年度入学式 式辞・祝辞

2022年度入学式 式辞・祝辞(2022年4月1日)

 上智大学長 式辞 

曄道佳明 学長

皆さん、ご入学誠におめでとうございます。また、ご父母、ご関係の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。

皆さんを大学にお迎えするこの入学式は、私たち教職員、在学生にとって、新たなファミリーを迎え入れる、この上ない喜びのひとときであります。一方で、この大きな喜びを享受する私たちは、今まさにこのときにも、コロナ禍、そして戦禍に苦しむ人たちがいることを忘れてはなりません。この喜びの時を、皆さんと共有しつつも、皆さんも上智大学に入学する意味を今一度かみしめて頂きたいと思います。

さて、皆さんは、これから大学、大学院という場を通じて、学術的な専門性、あるいは教養を深め、高め、人間としての成長を描き、ご自身の夢や志に向かって歩を進めることになります。大学は、多彩な学びを通じて自分の人生をじっくりデザインする場、時間を提供します。そこでは、皆さんが自分自身の中に課題を見つけていくことになるでしょう。

それらは例えば、学問の成就、語学力の向上、人間関係の構築、そして社会への貢献などの中にあるのでしょう。ある課題は、入学後に短期の解決を目指し、ある課題は大学在籍中の取り組みとして考え、ある課題に対しては10年後の目標を定め、さらにある課題はライフワークとしてその向き合いの道筋を描くことになるでしょう。そのような学び、生き方、人生をデザインする、エキサイティングな時間を上智大学で過ごしてください。

課題という言葉を考えるとき、それは実に多層的です。今お伝えした自分自身の課題の一方で、身の回りの社会にも課題があり、また地球社会にも課題が存在します。自分自身の課題との向き合いとは、これら社会課題に密接に関係するものではないでしょうか。

冒頭で触れた、コロナ禍、戦禍は、他人事、歴史上の事象ではなく、今私たちが直接的に向き合う地球規模の課題であります。地球市民という言葉が生まれ、グローバル化と称される新しい社会の構築が期待されましたが、この二つの災禍は、改めて国境の存在、地球市民の分断という課題を私たちに突き付けています。この社会で生きる皆さん自身の、そして社会が抱える課題は無関係ではありません。課題を多層的に関連付けて認識してください。自分自身の課題と社会の課題とを整理し、それらを関連付けることで、皆さんが向き合う課題のレイアウトを考え、その解決に向かうビジョンを考える・・・これこそが皆さん、そして私たちにとって大学という場で過ごす醍醐味なのです。

それでは、この大学で皆さんの学びはどうあるべきでしょうか。課題あるいは課題解決という言葉の前に、私たちは身構えてしまいがちです。私は、皆さんの学びの指針とすべきキーワードは極めてシンプルだと考えます。それは皆さんの個性を伸ばすということです。言い換えれば個性を磨く学びを意識してください。すでに皆さんは個性的であります。それぞれが、夢、目標、志を持ってこの大学の仲間となりました。それら自体が個性の土台であります。同じ授業を仲間と受講していく中で、個性はどのように磨かれるのかと思う人もいるでしょう。それは「教えられること」を意識した学びの見方だと思います。与えられた題材や課題にどのように向き合い、どのような答えを出すのか、そのプロセスや導かれる結論は、まさに個性的であるべきなのです。研究のレベルでは、そのアプローチや考察手法にオリジナリティが求められることはもちろん、課題の設定、成果の意味付けまでに、皆さんの意思、意図、志が明示されることになります。つまり学び、研究するという行いにおいては、皆さんの個性が磨かれつつ発揮されることが極めて重要と言えます。

先ほど、カトリック・イエズス会センター長からマルコによる福音書の一節【注】が紹介されました。古い革袋の例えに象徴されるように、課題に対する新たな意識の下で、皆さん自身も新しい革袋、つまり新しい自分を用意しなくてはなりません。それは、成人としての人間の成長とは、その折々において、常に新しい自分を準備し、新たな見識、人との関わり、などを蓄積していくことで成し得られるものです。皆さん自身の人生のビジョンも、この繰り返しの中でブラッシュアップされていくことになるでしょう。

本日皆さんをお迎えし、この上智大学も新たな革袋、つまり学びの環境を用意してスタートすることを心からうれしく思います。そして、上智大学という学び場自身に個性があることをお伝えしておきたいと思います。それは、「他者のために、他者とともに」、「For Others, With Others」として謳われる上智大学の教育精神です。いかなる課題に向き合う時も、他者に寄り添い、他者とともにある気持ちを忘れずにいてください。皆さんが卒業、修了の時を迎えるとき、皆さんの個性に溢れる満足感で、そして、この「For Others, With Others」のスピリットを共有する連帯感で満たされていることを心から願うものであります。

本日はご入学、誠におめでとうございます。



2022年4月1日
上智大学長 曄道佳明

【注】マルコによる福音書 2章21~22節
〔イエスは言われた。〕「だれも、織りたての布から布切れを取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。そんなことをすれば、新しい布切れが古い服を引き裂き、破れはいっそうひどくなる。 また、だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。」

 上智学院理事長 祝辞 

学校法人上智学院 佐久間 勤 理事長

本日晴れて入学式を迎えられる学部・大学院・助産学専攻科新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。またご家族、保証人、関係者の皆様にもお慶びを申し上げます。新入生を始めとして皆様が、今日、上智の教職員、在校生、卒業生の共同体であるソフィア・ファミリーに加わってくださいましたこと、こころより歓迎いたします。
 
学部新入生の皆さんは人生の新たなステップを踏み出すこのときに、これからの日々や人々との新しい出会いへの期待を胸に抱いておられることでしょう。同時に、まだ終わらないパンデミックという制限の多い困難な状況や暴力による支配という人類の「原罪」とも言うべき悪の脅威が絶えない世界の有様を目の前にして、不安やストレスと戦いながら今日という日を迎えられたことと思います。このような困難な時にこそ、心を静めて、自らに問うてみましょう。自分はなぜ、何を目指してここに来たのか、そしてどこに向かおうとしているのかを。上智という場を選び、ソフィアファミリーに加わる皆さんのことですから、この問いが人生にとって鍵となる問いであることを理解してくださっていると信じております。

上智の建学の理念には国際性と隣人性という二つの柱がありますが、それを上智大学校歌をもとにご説明したいと思います。この校歌は1932年に1号館落成式で披露されたもので、歌詞は当時の文学部哲学科3年逸見貞男氏、作曲は山本直忠氏です。歌詞は宇多五郎教授が手を入れたとのことですが、教授が特にこだわったのは「アルマ・マーテル」というラテン語であったそうです。アルマ・マーテルは当時の世界の歴史ある大学の呼称として使われたもので、「聖なる母」「尊敬すべき母」という意味です。いくつもの学部を備え歴史を重ねた大学のみが使える呼称であったとのことですので、創立後僅か19年の上智大学には似つかわしくなかったのですが、宇多教授は敢えてこれを校歌に入れることを強く主張されました。その意図は世界の伝統ある大学に並ぶ国際的な大学になるという気概にあったということです。校歌では「アルマ・マーテル」を日本語に置き換えて「荘厳の学府」と続けます。私たちにとって「尊敬すべき母校」である上智は、世界に開かれた大学である、という意味が籠められています。

校歌にはもう一つのラテン語が含まれています。それは「LUX VERITATIS」、翻訳すると真理(ヴェリタス)の光(ルックス)というラテン語です。校章にも鷲のデザインの中央に頭文字の「L]と「V]が組み合わされて置かれています。また、この真理が単なる学問的知識や法則性の認識だけを指すのではないことは「真理の光」という組み合わせが物語っています。光は個々の人間と人類共同体を導く知恵、人間にとって最も根本的な存在を象徴します。そのような光をもたらす真理は人間とその社会を人間にふさわしいものとする根本的な知恵(ギリシャ語で「ソフィア」)を意味します。ルネッサンス期の偉大な女性アビラのテレジアが「真理とは謙遜のことです」と言うとおり、真理がもたらす謙遜とは、最も偉大な存在に出会って自らの限界を知り、同時に自らがかけがえのない価値を与えられていることを発見した人の態度です。その人は、人間と世界のよりよい善のために仕える人、自らの力と時間を他者のために差し出す人となっていきます。「他者のために、他者と共に」生きる人こそが、ルックス・ヴェリターティス、真理の光に照らされた人、真に謙遜な人です。

より一層専門的な勉学や研究に取り組もうとしている大学院、助産学専攻科の新入生の皆さんにもルックス・ヴェリターティス、真理の光という、上智の根源から私たちを照らす光について思索を深め、研究や実践に具現化してくださることを期待しています。学問的真理はそれ自体のもつ価値以上に、人間の尊厳を保ち、社会をいっそう人間にふさわしいものへと向上させるという価値をもっているはずです。科学技術の発展は、急激な情報社会化をもたらしました。私たちが日々直面しているのは、いかに巧妙に情報操作がなされ、これからの時代に果たして人間が自律的に考察し、理解し、判断できるかが疑われるような、深刻な不安を呼び起こしている状況です。人間が獲得する知識や技術は人間が管理できる範囲にあると言えた時代はもう過ぎ去ったのではないか、という不安です。専門的な勉学や研究に取り組もうとしておられる皆さんには、自分は何をしているのか、何あるいは誰のために勉学や研究をしているのかを、ときどき振り返って、目的や対象に逆に支配されることのない人間としての自律性を保っていただきたいと思います。

「他者のために、他者と共に」生き、学び、研究しようとしてここに来られた新入生の皆さん。上智の校歌を歌うとき、「アルマ・マーテル」で学び、「真理の光」つまり、他者への愛へと人を促す光に導かれ、学業を全うされますように、期待いたします。
 

本日はまことにおめでとうございます。


2022年4月1日
学校法人上智学院 理事長 佐久間 勤

 上智大学後援会会長 祝辞 

上智大学後援会会長 川越真理様

上智大学にご入学の皆様、ご父母をはじめとする保証人の皆様、本日は誠におめでとうございます。上智大学後援会を代表し、心よりお祝い申し上げます。

新入生の皆さん、10年後、20年後、思い描く自分はどのような姿でしょうか。ご自身の夢を通じて、将来どのような形で社会に貢献していくことを展望していますでしょうか。この上智大学では、皆さんを未来のありたい姿へ導く「学びの場」が提供されています。各分野の素晴らしい先生方、親身になって支援してくれる職員の方々、さらには、上智大学ならではのネットワークが世界中に広がり、数々の素晴らしい学修プログラムが用意されています。 東京のど真ん中、四谷キャンパスの恵まれた環境で学ぶ機会を得た皆さんは本当に幸せであると思います。
学生生活を始める皆さんに、親という立場から、ひとつだけお伝えしたいことがあります。それは「心身共に健康であれ」ということです。「何を分かり切ったことを…」と言われるかもしれませんが、新型コロナウイルス感染拡大により、日常生活の自由を制限され、人と会う機会が減り、不安や孤独を感じてしまう人も数多くいます。特に、キャンパスで自由を謳歌しようと楽しみにしてきた学生にとっては、その期待と現実とのギャップにもどかしさを感じる人もいるかもしれません。しかし、こんな時こそ、内向きにならず、外に向けて行動してください。様々な手段を使ってたくさんの経験をして、たくさんの人とつながり対話をすることが、必ずや皆さんの学生生活を楽しく充実したものにします。そして、よく食べ、よく寝て、よく運動することも大切です。心と体が「健康」であるからこそ、よりよく「学ぶ」ことができるのです。マスクを外してお互いの笑顔が見れるまで、もう少しの辛抱です。

ご父母・保証人の皆様。お子様の勉学と生活を支え、共にこの日を迎えられた皆様に、心よりお慶びを申し上げます。
上智大学後援会は、1973年、当時の在学生のご父母が、イエズス会所属の先生方が毎年大学へ多額の寄付をしている姿に触れたことがきっかけとなり設立されました。以来40年以上にわたり、後援会はこの思いを引き継ぎながら、学生がより良い環境で学生生活を送ることができるよう各種支援を行ってまいりました。支援が必要な学生への奨学金や、教育・研究施設の充実、顕著な功績を残した課外活動団体への助成、そして、キャンパス内の食堂にて100円で朝食が食べられる「100円朝食」ならびにコロナ禍における食堂の混雑回避を目的とした「昼食オフピーク割引」への料金補助など、様々な活動を会員の皆様のご支援により行っています。
(新入生の皆さん、朝早い講義も多いので、ぜひとも活用しキャンパスでの食生活を充実させてください。)
 
また、後援会では、佐久間理事長、曄道学長をはじめとする先生方、大学事務局の皆様のご協力を得て、会員同士のネットワークを広げ、親睦を深めることを目的とした様々な懇親会や講演会を企画・開催しています。
上智大学には学生をはじめ、ご父母・保証人、教職員、卒業生を大きな家族と捉える「ソフィアファミリー」という言葉があります。皆様も「ファミリー」の一員として、是非お子様と共に楽しんで頂ければ幸いです。
 
上智大学での学びは、教育精神である「For Others, With Others(他者のために、他者とともに生きる)」に表れている通り、一人ひとりの学生の叡智と人間性を高め、将来社会へ貢献していく為の大切な基盤となります。実りあるキャンパスライフを送ることができるよう、上智大学後援会は、大学とともに、物心両面で学生達を応援してまいります。後援会への皆様のご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。 
最後に…上智大学での学びが、本日新たな門出を迎えられる新入生一人ひとりの生涯にわたる貴重な財産となること、そして、共に歩まれるご家族の皆様のご多幸を心よりお祈りして挨拶とさせて頂きます。


2022年4月1日
上智大学後援会会長 宗像 孝