上智大学

大学案内 2021年度入学式 式辞・祝辞

2021年度入学式 式辞・祝辞(2021年4月1日)

 上智大学長 式辞 

曄道佳明 学長

新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。またご父母、ご関係の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。

本日、皆さんが一堂に会し、直接お顔を拝見しながら、お祝いの喜びをお伝えできることを大変うれしく思います。1年前、昨年4月には、新型コロナウイルスによる感染症により入学式の挙行を断念いたしました。感染症による社会への影響が急速に拡大する時期にあたりやむなくの判断ではありましたが、大学として断腸の思いであったことを今も鮮明に覚えています。本日も、この場には来ることができず遠隔で参加をされている皆さんもおられますが、上智大学はすべての皆さんを心から歓迎いたします。

さて、皆さんは学びの新たなステージに入られました。これまでにも知的探求心を磨いてきたからこそこの日を迎えられたわけですが、この節目の時に、今一度皆さんが挑戦する高度な学びや研究について、どのように対峙し深めていくべきかを考えてみてください。大学での新たな学びに対して、興味やモティベーションを高めていくことに不安を感じる向きもあるかもしれません。真の学術的な面白味や学問の醍醐味は、その入り口では見出しにくいものですし、それを深めようとすれば必ずや壁にあたります。

例えば、コロナ禍によって、地球社会は、あるいは私たち地球市民は激動の1年を送りました。疫学的な課題のみならず、また、私たちの身の周りの日常生活の不便だけでなく、経済活動、社会制度、国際関係など、ありとあらゆる地球社会の機能が停止に陥り、これまでの発展過程は寸断され、大きな変革を余儀なくされています。これからの社会の回復、さらにその先の発展の中に、皆さんの成長を埋め込んでいかなくてはなりません。そして皆さんの大学での成長とは、どう成長させられるかという受動態ではなく、成長することへの渇望から生み出される能動態で議論されなくてはなりません。

学び、探究するためのエネルギーは、本来、自身の志や信念から生み出されるものであろうと思いますが、このエネルギーをいつ、どのように産み出し、蓄えることができるかが重要です。大学学部教育はわずか4年間、大学院博士前期課程は2年間、そして助産学専攻科は1年間の課程です。そのエネルギーの質と量こそが皆さんの大学での学びを飛躍させる決定的要因となるからです。圧倒的な好奇心、貪欲な探究心をすでに持ち合わせている人は、そのエネルギーを上智大学ならではの教育プログラムへの挑戦に注ぎ、その中で新たな興味を引き起こす循環を作ってもらいたいと思います。

一方、大学への入学にあたり、学びのエネルギーをさらに必要と考える人は、大学での学びによって、自身をどう成長させようとしているのか、これから社会とどう向き合おうとしているのかを熟考してもらいたいと思います。いずれにしても、社会での自分の役割、立ち位置に対する意識を強く持って、今この節目の時を過ごして頂きたいと思います。

私たち人間社会は、様々な意味で新たな局面を迎えています。コロナ禍の混乱から、誰も取り残すことなく回復することが可能か、破壊された地球環境をどう回復・維持するのか、人間の尊厳が保障される社会をどう実現するか、AIに判断を委ねる社会において人間は社会の中心にあり続けられるか、など、これまでに経験したことのない課題に向き合い、遠くない将来にその答えを見つけなくてはなりません。この解決プロセスの中心にいるのは皆さんです。

会場の東京国際フォーラムでは、新入生は座席を1つおきに着席

先ほど、カトリック・イエズス会センター長からマルコによる福音書の一節【注】が紹介されました。古い服や、古い革袋に象徴されるように、新しい価値観や考えを学ぶとき、自分自身も新しい自分へと変わらなければなりません。人間の成長とは、常に新しい自分を準備しておくことで成し得られるものです。コロナ禍の真っただ中で大学への入学を果たされる皆さんは、まさにそのスタートラインに立っていると言えるでしょう。

皆さんはいずれ社会の中で先導役となることが期待されています。上智大学が教育の精神として謳う「Men and Women for Others, with Others」とは、何よりも人間の尊厳を重んじ、自分の能力を他者に還元する人の育成を意味しています。皆さんの大学生活が、上智大学ならではの教育・研究環境、プログラム、経験によって充実し深まることを確信します。さらに皆さん自身が、大学での学びを通じて成長することによって一人一人の個性を深めることを期待したいと思います。ようこそ、上智大学へ。


2021年4月1日
上智大学長 曄道佳明

【注】マルコによる福音書 2章21~22節
〔イエスは言われた。〕「だれも、織りたての布から布切れを取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。そんなことをすれば、新しい布切れが古い服を引き裂き、破れはいっそうひどくなる。 また、だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。」

 上智学院理事長 祝辞 

学校法人上智学院 佐久間 勤 理事長

本日晴れて入学式を迎えられる学部・大学院・助産学専攻科新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。またオンラインでこの式典にご参加戴いておられますご家族、保証人、関係者の皆様にもお慶びを申し上げます。新入生を始めとして皆様全員が今日から上智の教職員、在校生、卒業生の共同体であるソフィア・ファミリーに加わってくださいましたこと、こころより歓迎いたします。

新入生の皆さんはパンデミックという未経験の状況の中で、不安やストレスと戦いながら準備を整えて今日という日を迎えられたことと思います。未だ油断はできませんが大学での対面授業も原則再開されることになり、漸く学びと研究の生活の制限がより自由になる希望も見えてきました。皆さんもこれからの日々に達成したい目標を思って、希望に燃えておられることでしょう。

すでに手にしているものは希望の対象にはなりません。また、全く知ることも思い描くこともできないものを希望することはできません。まだ得ていないが、しかし何かの予感があって、それを得ることに大きな魅力を感じるような対象こそが、わたしたちに希望を呼び覚まします。

希望に関して、上智大学の設立母体であるイエズス会の創立者イグナチオ・デ・ロヨラの言葉をご紹介しましょう。上智大学のキリスト教ヒューマニズムに基づく国際性と隣人愛の精神は、すべてにおいて神を見いだすというイグナチオ・デ・ロヨラの精神に立脚しています。その一つの表現としてイグナチオは、「諸元素には存在を与えながら、植物には成長を与えながら、動物には感じさせながら、人間には理解することを与えながら」神はすべてのもののうちに住んでいる、と言っています。無から、存在へ、成長へ、感覚へ、理解へとダイナミックな飛躍そのものが神の現存を指し示している、と。言い換えれば、人間にとって価値あるものは、他のものと並んで存在しているような「もう一つの何か」ではなく、自己の存在の限界を越え出ていくところにある、ということです。イグナチオは究極の価値あるものとして「神」という言葉を使いますが、わたしたちにとっては、それを究極の希望として読み替えることができます。人間にとってふさわしい希望、決して裏切ることのない希望です。新入生の皆さんには、真に希望するにふさわしいものを求めて、よりよいものを憧れつつ、これからの日々を歩まれることを期待しています。

より一層専門的な勉学や研究に取り組もうとしている大学院、助産学専攻科の新入生に向けて、理性による合理的な世界の理解や理論の組み立ては、学問の取り組みとして当然のことですが、理性的営みはかけがえのない尊厳を有する人間の善に仕えるものでなければならない、という根本的な姿勢を貫いていただきたいと思います。物理学者アインシュタインは人間の脳の中で作られる数学という抽象的概念体系が物質世界の構造を説明できるという不思議さについて語っています。それは裏返せば、もしも人間が理解する自然界が人間理性の構成物でしかないなら、自然科学の探究はつまるところ理性による壮大ではあるが孤独なモノローグでしかない、ということでもあります。皆さんには、学問研究は人間がおこなうものであること、つまり人間理性に対し自己を越え出るよう促すものの予感に導かれておこなうものであることに心を向けていただきたいのです。それは自然や人間世界との対話、その根源にあるものとの対話です。対話は支配とは正反対のものです。対話は他者への愛から生まれるものです。

「他者のために、他者と共に」生き、学び、研究しようとしてここに来られた新入生の皆さん。他者への愛に基づく希望に導かれ、すべてのものを愛する対話の姿勢をしっかりと保って、学業を全うされますように、期待いたします。

本日はまことにおめでとうございます。

2021年4月1日
学校法人上智学院 理事長 佐久間 勤

 上智大学後援会会長 祝辞 

上智大学後援会会長 川越真理様

新入生の皆様、上智大学ご入学誠におめでとうございます。また、御父母をはじめとする保証人の皆様、心よりお慶び申し上げます。上智大学後援会を代表し、心からお祝い申し上げます。

新型コロナウイルス感染拡大により、今までと状況が変わり、今日この日をやっとの思いで迎えた方も多いと思います。うれしさだけでなく不安や孤独を抱えている方もいることでしょう。しかし、不安を抱えているのはあなた一人ではありません。あなた方を迎える上智大学教職員の方々も初めての取り組みに向き合い、一生懸命この日の準備を進めてくださったことでしょう。そして何よりもあなた方の先輩たちが“Men and Women for Others, with Others”の理念をかかげ、医療現場、国際社会など様々な場所で戦っています。このつながりを持てたことを誇りに思ってよいと思います。

さて、上智大学では皆様が充実した学生生活を送ることができるよう、多彩なプログラムを用意してくださっています。この恵まれた環境の中で学生生活をスタートさせるにあたり、私から皆様にお伝えしたいことが2つあります。

まず1つは、この東京を十二分に楽しんでください。上智大学があるこの四谷は東京の中心にありどこに行くにも大変便利です。日本の伝統文化である歌舞伎、相撲、またたくさんの神社、お寺、歴史的建造物もたくさんあります。学生の皆さんは多くの美術館、博物館をリーズナブルな価格で入場することが可能です。文化芸術、スポーツ、科学、街並み、そこに住んでいる人々の暮らし、またはサブカルチャーといわれるものなど様々な分野の中で、あなたにとって心地よいものを見つけてほしいと思います。コロナ禍により、行動に制約がありますが、ぜひ、在学中の時間を使うことをお勧めします。この状況だからこそ感じることがたくさんあると思います。育まれたしなやかな感性は将来、世界と日本の橋渡し役になるであろう皆様にきっと役にたつことでしょう。

2つ目は、人と人のつながりの大切さをより意識してみてください。

上智大学教職員の皆様は生徒一人一人を温かくサポートしてくださいます。コロナ禍で様々な制約がある中でも質の高い教育、環境の維持に努めてくださっています。修学意欲や未来への展望など精神的なサポートにも一生懸命働いてくださっています。ぜひ様々な手段で自らアプローチし、対話してください。上智大学は家族的で、教職員と学生、そして学生同士の距離が大変近いことが特長の2つです。より深い関係を築くことをお勧めします。

そして皆様をサポートするのは私達後援会も同様です。ここで少し後援会の説明をさせていただきます。後援会は1973年、学生の父母の有志が大学を財政的に支援することを目的に結成されました。

後援会の目標の1つは学生生活の環境改善です。大学の設備、環境改善補助はもちろん課外活動団体への助成、2020年度はコロナ禍により修学が困難な学生に対しても支援を行いました。

もう一つの目標は会員相互の交流を深めることです。学生生活向上のため保証人同士、または教職員との交流を深めています。毎年懇親会が開催されますが、後援会にご入会を検討いただける方につきましては、本日18時からオンラインで新入会員歓迎会を開催いたしますので是非ご出席をご検討ください。多くの皆様のご参加をお待ちしております。【注】

上智大学での学びが、新入生一人一人の生涯にわたる貴重な財産となりますよう、またともに歩まれるご家族の皆様のご多幸を祈念して、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。

2021年4月1日
上智大学後援会会長 川越 真理

【注】オンライン新入会員歓迎会はすでに終了しております。