上智大学

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Go Beyond(ソフィア オリンピック・パラリンピック学生プロジェクト)

共生社会の実現を目指す学生団体
視線は、2020年のその先へ

ソフィア オリンピック・パラリンピック学生プロジェクトGo Beyondは、東京2020年大会を共生社会へのきっかけにすべく、活動を行う学生プロジェクトだ。以前、大学から調査団として平昌2018冬季大会に派遣され、現地で得た「気づき」が団体設立のきっかけになったという。立ち上げに関わった山本華菜子さんと神野帆夏さんに話を聞いた。(インタビューは2019年に収録されたものです)

Go Beyond
山本華菜子 大学院理工学研究科理工学専攻1年
神野帆夏 外国語学部英語学科3年

Go Beyondが越えようとしている、3つのこと

設立のきっかけは、平昌2018冬季大会を現地で体感したことだった。

山本華菜子さん

【山本】2017年末ごろ、パラアスリートの方が来校し、パラスポーツと工学の融合について学ぶ機会がありました。当時は理工学部の学部生でしたが、「どうすれば工学が世の中の役に立てるのか」を考える機会になりました。より学びを深めるため、同時期に大学が募集したパラリンピックの調査団に応募しました。

【神野】大学に入学する前年、リオ2016大会がありました。その開会式の様子をテレビで見て、漠然と「次の東京2020大会では自分の好きな語学を生かして大会に関われたら」と考えるようになりました。その後、山本さんと同じように平昌の調査活動に参加したことが転機になりました。開会式に参加しましたが、会場が国籍や民族、障害の有無を超えて、選手と観客が一体となっており、「こんな空間が社会で実現できたらいいな」と強く感じました。上智大の「他者のために、他者とともに(Men and Women for Others, with Others)」という教育精神も影響していると思います。

神野帆夏さん

【山本】私は調査団に選ばれるまで、パラスポーツに関する知識はありませんでした。でも現地でパラアスリートやボランティアの方と交流したり、車いすで街中のアクセシビリティー調査を行ったりするなかで、日本の抱える課題が見えてきました。2020年に向けてユニバーサルデザイン化やユニバーサルマナーの普及が進められていますが、まだ日本では十分ではないと感じたのです。調査団に参加した学生は3人だけでしたが、この経験を3人だけで終わらせるのはもったいない、上智大生と広く共有し、2020年をきっかけに、共生社会を目指す活動につなげたい! そんな思いが高まり、学生団体「Go Beyond」の設立に至りました。

【神野】団体名には3つの思いを込めました。「Go Beyond Limits」「Go Beyond Borders」「Go Beyond 2020」。自分の限界に挑戦し、自分と他人との見えない境界を越え、そして2020年の先に誰もが輝く共生社会を描く。そんな思いを名前に込めました。

パラスポーツを通じた"気づき"が共生社会を生む

2人の気づきをもとに2018年6月に生まれた「Go Beyond」。活動を始めてまだ1年だが、たしかな手ごたえを感じているという。

【山本】設立時にメンバー募集説明会を行ったのですが、どれだけ学生が集まるか、とても不安でした。でも、ふたを開けてみたら予想以上で、約80人で活動をスタートすることができました。2年目の今年は新入生も加わって、約140人の団体に成長しています。

【神野】私も含めメンバーたちは、競技観戦やさまざまな立場の方へのヒアリングなどを通じて知識を深めています。それらをもとに、私たち学生自身ができることをメンバーの多様な意見を取り入れつつ考える機会を設け、それを実際に行動に移していくことが、この学生プロジェクトとして大切なプロセスだと思っています。昨年は、四谷キャンパス周辺の大会会場情報などをまとめたMAPを作成し、8月のオープンキャンパスで配布しました。また、パラスポーツに関するクイズラリーを実施するなど、私たちも一緒に学びながら活動に取り組んでいます。パラアスリートの方の講演や競技体験をできるイベントも開催しました。

これまでパラアスリートを招いての講演会を開催したり、小中学校でパラスポーツの体験授業を開いたりしてきた

【山本】小中学生向けの教育も重要な取り組みです。「ゴールボール」(*)などパラスポーツの体験を通して、身近なところから子どもたちに多様性への理解を深めてもらおうとしています。サッカーは手を使わないことがルールですが、「ゴールボール」は目を使わないスポーツ。このようなスポーツを体験しながら、「眼鏡がない時代は視力が低いことが障がいになったけど、いまは違うよね?」「みんなが手話を使えるようになったら、耳が聞こえないことは障がいではないよね?」などと問いかける。このように、イメージしやすいことを用いて説明することで、子どもたちの障がいに対する理解も深まりやすくなります。今後も多くの場所で実施したいと考えています。

(*)光が入らないゴーグル「アイシェード」をつけて1チーム3人で行うチームスポーツ。鈴の入ったゴム製の音の出るボールを転がし合って、サッカーのようにゴールにボールを入れて点を取り合う。

2020年を「始まり」に。ムーブメントを起こし続けたい

2人の活動は2020年のビッグイベントをターゲットに始まったが、2020年で終えるのではなく、継続していく予定だという。

団体名に込めた思いをメンバーが引き継ぎ、2020年以降もGo Beyondの活動は続けられるそう

【神野】2019年も昨年同様、単独イベントの開催や、オープンキャンパス、大学祭でのブース出展を行っていきます。

【山本】2020年のパラリンピックの開会式の日は、本学の四谷キャンパスで参加国の文化を体験したり、 パブリックビューイングブースを設けたりと誰もが集まりパラリンピックの開催を共に祝える「インクルーシブパーク(仮)」というイベントを開催したいと考えています。パブリックビューイングの実施やパラスポーツの体験イベント、国際色ゆたかな上智大の特色を生かした各国料理の屋台、文化紹介コーナーも設ける予定。参加者みんなで盛り上がりたいですね。

【神野】2020年を機に、パラスポーツのエンターテインメント性やパラアスリート一人ひとりの輝きに気づいてほしいと願っています。私自身、平昌での調査を体験したことで、障がいに対する考え方や見方が大きく変わりました。2020年が多くの人たちのターニングポイントになり、日本全体が、そして世界が「共生社会」に向けて変わっていくきっかけにしたいですね。

【山本】「Go Beyond」には、ボランティアとして東京2020大会に関わりたいというメンバーも多いのですが、8万人といわれるボランティアの中の一人ではなく、「いないといけない存在」になってほしいと思っています。そして、私たちが目指すのは2020年の「その先」です。活動を2020年で終えるのではなく、その次のパラリンピックも、さらには2025年の大阪・関西万博などの国際イベントもきっかけにしながら、共生社会のあり方を発信していきたい。ムーブメントを起こし続ける団体に育てたいと思っています。