上智大学

大学案内 SOPHIA PEOPLE-上智で考える。社会で描く

新納 麻里々(Humans of Sophia発起人)

エピソードが人の輪を広げる。
起点は"Sophia"

学生、留学生、教員など、上智大学にまつわる人々のショートエピソードを綴ったfacebookページ「Humans of Sophia」。ニューヨークの人々のライフ・ストーリーを紹介する「Humans of New York」にヒントを得たという。英語と日本語で綴られたSophiaのエピソードは、大学の枠を越え、広がりつつある。

Humans of Sophia 発起人
新納 麻里々 国際教養学部 3年
(所属・学年は2018年3月現在のものです)
Humans of Sophia facebookページ
Humans of Sophia 公式Instagram

「リアルな声を伝えたい」という思いから。

「Humans of Sophia」を立ち上げようと思ったのは、上智大学の海外へ行くプログラムへの参加がきっかけだった。

「メンバーは国際教養学部の学生が中心ですが、他学部の学生もいます。ミーティングは基本的に英語ですが、日本語でも説明しながら、わいわい意見交換しています」

Humans of Sophia」は上智大学の学生や教授のライフ・ストーリーを紹介するプロジェクトです。facebookを中心に、TwitterやInstagramなどSNSをプラットフォームに展開しています。

昨年の秋学期、同じ国際教養学部の親友ジエ・オーと2人で立ち上げました。ちょうど私もジエも大学のプログラムなどで海外に行く機会があり、すごく刺激を受けて帰国したばかり。2人とも「何か始めたい」という気持ちが盛り上がっていたなかで、私からジエに「こういうの始めようか?」と見せたのがSNS「Humans of New York」でした。ニューヨークに暮らす人々のライフ・ストーリーを1枚の写真とともに紹介するfacebookページです。
 
私がこのアイデアを思いついたのは、大学のプログラムで2週間カメルーンに行った後に大きな後悔をしたからです。実は現地の人々にインタビューをしたいと考え、ビデオカメラを持参していました。でも、インタビューのやり方も分からないし、うまくできずに怒らせてしまったらどうしようといった不安もあり、結局目的を果たせずじまい。帰国後に「やっぱりいろいろな人にインタビューをしたかった」という心残りがあり、デヴィッド・スレイター教授の「Digital Oral Narratives」という授業を履修しました。難民の方に話を伺う授業だったのですが、そこで初めてインタビューの仕方などを学び、「上智大生にインタビューをして、リアルな声を伝えたい」と思うようになったのです。

1人ひとりのライフ・ストーリーにスポットライトを当てる。

「Humans of Sophia」には多士済々な上智大学の学生や留学生、教員が登場する。どのようにしてつくられているのか。

週に1、2回の頻度で新しいエピソードが紹介されている

立ち上げて1年弱ですが、制作メンバーは36人になりました。はじめは友だちに声をかけて10人くらい集め、あとはfacebookで募集しました。メンバーは五つのグループに分かれています。記事を書くエディター・グループ、英語で書いた記事を日本語に翻訳するトランスレーター・グループ、取材対象者を見つけてくるリクルートメント・グループ、写真を撮影するフォトグラファー・グループ、記事をアップデートするソーシャルメディア・グループです。

毎月「クエスチョン・オブ・ザ・マンス」というテーマに沿ってインタビューしています。月1回のミーティングで「家族」や「情熱」などのテーマを決め、そのテーマに合った人をリクルートメント・グループのメンバーが中心になって探してくるわけです。たとえば、「情熱」だったら、おもしろい趣味の持ち主とか、サークル活動で頑張っている学生とか。授業やサークル、友だちのつながりで探すことが多いですね。
 
ざっくりした質問事項は決めておきますが、どんな話をするかはインタビュアーの興味に任せています。対象者一人ひとりのライフ・ストーリーにスポットライトを当てたいので、あまり先入観を持たずに質問するようにしています。相手が学生でも教員でもそのコンセプトは変えず、失礼でなければ、グイグイ聞いていこうという姿勢です。

こう考えるようになったのには、一番初めのインタビューが影響しています。授業で知り合ったナタリアというメキシコからの留学生に、「どうして日本に来たの?」というテーマでインタビューしました。「アニメが好きだから、かな?」と軽い気持ちで話を聞いたのですが、予想もしなかった答えが返ってきました。

実は、ナタリアはメキシコで交通事故に遭って、一緒にいた友だちが重傷を負うような経験をしていたのです。その事故をきっかけに人生観が変わったそうです。「人生って短いから、自分が好きなことをやりたい。だから日本にいるんだ」と答えてくれたのが、印象的でした。普段の明るい姿からは想像できないほど深刻な経験をしていたことも驚きでしたが、私たちのインタビューに深い話をシェアしてくれたことにインパクトを受けました。どこまで深く聞いていいか分からないこともありますが、逆に相手が話したいことがあるかもしれない。気をつかいすぎずに話を聞いたほうがライフ・ストーリーに迫れることもある、と学びました。

自分が興味をもったことに夢中になれる環境がある。

「Humans of Sophia」を始めたことで、自身の気持ちを肯定できるようになったという新納さん。
上智大学という環境は、今の彼女にどんな影響を与えているのか。

facebookに公開したエピソードは、ランダムにインスタグラムにも投稿

「Humans of Sophia」は、私がやりたいことを、ただ単に「やりたいからやる」という理由で始めたものです。高校時代までの私は、自分から何かを積極的に始めるタイプではありませんでした。でも、大学に入学して初めて、自分の直感を信じてカメルーンに行くことにしたのです。それによって、自分自身も変わってきたと思います。自分に自信がもてるようになり、思いを素直に信じて、行動に移せるようになった。その結果として「Humans of Sophia」を始めることができ、いろいろな人たちのサポートもあって思った以上のおもしろいプロジェクトになり、予想以上の反響もいただきました。

上智大生からの反響はもちろんですが、日本へ来る前にサイトを見たという留学生から「上智に来るのがすごく楽しみだった」と言われたときはうれしかったですね。上智にどんな学生がいるのかを広く知ってもらうことも目的のひとつにしていたからです。また、留学生のインタビューには、その国の人からコメントがついたり、社会的なテーマに触れると大学以外から反響をもらったりすることもあります。ゲイライツ(同性愛者の権利)擁護運動に関するインタビューには、国際的な人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の日本の担当ディレクターがコメントしてくれました。有名なNGOの方も読んでくれているんだと思うと、やりがいを感じますし、広がりの大きさも実感します。

私自身は「好きなことを追いかけてもいいんだ」と思えるようになりました。改めて、上智大学には自分が好きだと思ったことに没頭できる環境があると感じています。特に国際教養学部には、誰かが何かやりたいと言ったときに、「何で?」とか「何のために?」とか聞かずに「それ、おもしろそうだね」「僕もやってみたい」「私もやりたい」とポジティブに協力してくれる学生が多いんです。

私はカメルーンに行って変わるきっかけを得ましたが、留学以外にも、いろいろなプログラムがあるのも上智大学のいいところ。現地でのサポート体制がしっかりしているので、家族に心配をかけずに一歩を踏み出す環境が整っています。

大学に入学する前は国際協力に興味がありましたが、「Humans of Sophia」でいろいろな人たちにインタビューするようになり、今はコミュニケーションの分野に関心が移ってきました。この秋からアメリカの大学に留学し、コミュニケーションを学ぶ予定です。人々の物語(ストーリー)にはパワーがあります。将来はコミュニケーションの分野で国際協力に関わるような仕事をしたいと思います。