2007年度上智大学シラバス

2007/02/20更新
◆環境訴訟 - (秋)
越智 敏裕
○講義概要
民法、行政法及び環境法政策についての基礎的理解を有する学生を対象に、主要な環境訴訟類型の判例・事例検討を通じて、様々な分野・段階における環境紛争を司法審査により解決する手法を学ぶ。授業では、主として個別的な環境紛争解決を念頭に置くが、環境訴訟とりわけ環境行政訴訟の政策形成機能にも着目する。その際には、必要に応じ比較法としてアメリカの環境訴訟に触れる(但し、比較法についての予習等は求めない)。また、環境訴訟の理論や実務のみならず、基幹科目の具体的な応用場面として、その理解(例えば受忍限度論、行政裁量の統制等の法理論に関する理解)を深められるように配慮する。訴訟の前提となる法制度や環境問題についての概説・確認は講義形式で行うが、事例検討については、学生の予習及び報告(相当数の判例・事例の読み込み)を前提として多方向的な授業を行う。なお、関連科目との役割分担及び時間的制約から、廃棄物、航空機騒音、原発等一部の訴訟分野は取り扱わないか、軽く触れるにとどめる。
○評価方法
出席状況(10%)、授業参画(10%)、レポート(10%)、秋学期末試験(定期試験期間中)(70%)
授業への参加態度(30%)及び期末試験(70%)を総合評価する。
○テキスト
大塚直・北村喜宣編『環境法ケースブック』(有斐閣)別冊ジュリスト『環境判例百選』(有斐閣)
○参考書
大塚直『環境法』(有斐閣)のほか、授業中に適宜指示する。
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1水俣病国家賠償訴訟~環境訴訟の構造と概観
 環境法の原点である水俣病事件について第3次訴訟を中心に検討する。
2生活妨害と訴訟(1)
3生活妨害と訴訟(2)
 まず、身近な環境紛争として、近隣騒音及び日照侵害を取り上げる。騒音・日照規制等の概要及び受忍限度論を理解した上で、受忍限度論における行政法令違反の位置づけ等考慮要素の分析・検討を行う。
4道路公害訴訟(1)
5道路公害訴訟(2)
 民事訴訟ないし国家賠償訴訟としての道路公害訴訟の系譜を辿り、大気汚染・騒音規制の概要を踏まえた上で、尼崎・名古屋南部・東京大気汚染訴訟、国道43号線訴訟等の事例検討を行う。
6公共事業の司法統制(1)
7公共事業の司法統制(2)
 公共事業、特に道路・ダム問題の構図を踏まえた上で、公共事業に関する差止訴訟、事業認定取消訴訟等を概観する。道路建設の事例として圏央道訴訟を、ダム建設の事例として永源寺第2ダム訴訟、川辺川ダム訴訟等を取り上げる。
8自然保護訴訟(1)
9自然保護訴訟(2)
 民事訴訟、行政訴訟及び住民訴訟による自然保護訴訟の可能性と方向性(法政策)について検討する。奄美・オオヒシクイ自然の権利訴訟等を取り上げる。また、比較法としてアメリカの環境訴訟にも触れる。
10土壌汚染と訴訟
 土壌汚染対策法の構造理解を前提に土壌汚染をめぐる環境訴訟とその可能性、環境企業法務を検討する。
11環境ADR
 公害等調整委員会・公害審査会等、環境訴訟におけるADRの位置づけを理解する。豊島事件等若干の事例検討を行う。
12まちづくりと訴訟(1)
13まちづくりと訴訟(2)
 都市計画制度の概要を踏まえた上で、都市計画事業(都市計画決定)等に関する事例検討(小田急線訴訟、林試の森事件等)も行う。
14シックハウス訴訟~環境訴訟の展望と法政策・行政手続
 現代の水俣病であるシックハウス・化学物質過敏症を巡る訴訟を検討する。

  

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