
本専攻では、国文学(古典文学・近代文学)、国語学、漢文学の研究を行っています。しかしこの3分野はそれぞれが孤立したものではなく、ある分野のことがらを研究する際にも、他の分野についての知識と理解をもち、さまざまな視点から総合的に研究対象をとらえることが必要となります。そこで本専攻のカリキュラムは、総合的な力が身に付くように意図して構成するとともに、研究指導においてもそれを十分念頭に置いた方針を取っています。
博士前期課程のカリキュラムは、各自が研究テーマとする専門領域を深く研究するとともに、その他の領域も積極的に履修することが求められます。修士論文の審査は主査1名、副査2名の体制で行いますが、口頭試問は全教員によって実施します。
博士後期課程では、指導教員の指導のもとさらに研究の深まりと広がりを求め、授業を通じての指導とともに、論文指導の機会を設けています。研究の成果を着実に結実していく日々の研鑚が強く求められ、明確な研究計画を立てて最終的には博士論文執筆の域にまで達することが期待されます。このため、在籍中には最低 2 篇以上の論文を学会誌に発表することが課せられています。
こうした教育研究の体制の下、特に研究者の養成と国語科教員の養成に力を入れており、本専攻からは特徴ある人材を輩出しています。
国文学研究は正確に本文を読み取ることを基本にし、そこから作品の訴えかけるものの理解、作品の価値、存在意義の解明へと進みます。これらを正しい視点で遂行するために、文学史の流れ、思想背景などの考察、中国文学や西欧文学との比較研究なども取り入れています。
国語学研究は言語を対象に文法・文体・語彙を中心に据え、海外との文化交流からもたらされたキリシタン語学・蘭語学・仏語学・露語学・独語学・英語学などにも目を向けながら、各時代の日本語を考えます。また、合わせて国語研究の方法論を学説史的に再検討します。
漢文学研究は中国古典研究を踏まえ、中国古典がわが国にどのように受容され、いかなる地平を拓いたかという、漢文学が担うべき課題を自覚的に考究します。対象領域は中国古典学がそうであるように、文学・思想等の区分を設けず、むしろ融合して扱います。
「記紀歌謡」の比較研究
『源氏物語』における『和漢朗詠集』所収句の引用についての考察
奥浄瑠璃『天狗の内裏』論
西鶴浮世草子諸問題の調査・考察
正岡子規の文学理論の研究
森鷗外文学における個々の〈欲望〉と社会
天草本平家物語の語りの解明
明治期文章史における尾崎紅葉作品の意義
漢書』における「滑稽」について
本専攻の大学院生は、専攻教員および国文学科卒業生とともに「上智大学国文学会」を組織しており、現在 700名を擁する学会に育っています。年2回開催される大会は院生にとって研究発表の絶好の機会となっています。学会誌『国文学論集』はすでに 45号まで巻を重ね、学界において一定の評価を得ており、レフリー制のもと院生が研究成果を論文として応募、発表できる有効な場となっています。また大学院月例会は、教員・大学院生が参加し、院生が主体的に研究発表と質疑応答をする機会として、定期的に開催しており、これも本専攻特有の研鑚の機会となっています。