
7月20日、ソフィア・ルネッサンス連続講演会※第21回目として、国際連合工業開発機関事務局前次長の浦元義照氏(1974年外国語学部英語学科卒業)と、国際連合広報センター所長の山下真理氏(1988年法学部国際関係法学科卒業)のお二人をお招きしました。
「Freedom from Want, Freedom from Fear 国連のチャレンジ、上智のチャレンジ 国連で働こう!」と題して、それぞれの講演と、北村友人総合人間学部教育学科准教授をコーディネーターに加えてパネルディスカッションを行いました。Freedom from Want,(欠乏からの自由)Freedom from fear(恐怖からの自由)とは、コフィー・アナン前国連事務総長がミレニアムサミットに向けて発した今世紀の国際社会における最重要課題です。
浦元氏は、世界の貧困、開発、経済格差の問題について概説し、アラブ地域の青年層の失業率は未だ極めて高く、アラブの春は始まったばかりであると指摘しました。また、社会正義の阻害、新自由主義の弊害について、ルーラ ブラジル元大統領、チェベス ベネズエラ大統領の言葉を引用して問題提起し、人類の叡智を結集して解決していくべきだと語りました。
山下氏は、安全と平和の構築という国際連合の原点について紹介し、1945年に国連が誕生してから今日まで、国連がそれぞれの時代でどのような役割を果たしてきたかを概観しました。とりわけ昨年のリビア内戦、現在進行中のシリア内紛についても国連が果たしている役割を詳しく解説しました。
後半のパネルディスカッションでは、お二人がなぜ国連で働くことを選択したのか、国連の仕事のやりがいや苦労、上智での経験がどのように活かされたか、お話しをうかがうことができました。
浦元氏はブルキナファソのホテルでニューヨークから来ていた国連職員と偶然出会ったことが国連で働くことを決意した直接的なきっかけであったと語りました。当初は有期採用でビルマ(現ミャンマー)、スーダン等各地で開発協力、人道支援に携わり、その後もキャリアを重ねて34年間国連で働くこととなりましたが、現地の人々と関わる毎日は、「こんなに素晴らしい職業はない」と実感されたそうです。上智大学ではさまざまな国の先生がいたことで多様性のある文化・社会を学ぶことができたと振り返りました。
山下氏は、高校生の時から世界と関わりたいという強い意識があって、国連で働きたいと決意していたということですが、学部在学のころまでは漠然と夢を追っていただけだったそうです。その後留学の経験を経て、国連職員の採用試験にチャレンジすることになったと振り返って語りました。国連職員になって、選挙監視の業務で中央アフリカ共和国やアルメニアといった、国連の仕事でなければ行くことのない国に派遣され、その国の生活に直接関われたことはワクワクする体験だったと話しました。また、上智では良い先生に恵まれ、学部時代にしっかりした教育が受けられたことが、アメリカでの修士課程にも役立ったと語りました。
質疑応答では、混迷を極めているシリア情勢についてやアラブ地域の民主化の現状について学部学生からの質問の手が挙がり、ニュースや新聞で見聞きする以上に国連の役割や活動状況について理解を深めることができました。
お二人は共通して学生たちに向け、「上智の学生たちに是非とも国連に入って欲しい」と呼びかけました。
浦元氏は、紛争解決のように大きな政治的枠組みで取り組む問題はすぐに成果が出せないかもしれないが、そもそも紛争が起こっている国や地域の民主主義の基盤を作る仕事、貧困対策等、やらなければならないことが世界には山積みされている。情熱をもって飛び込んで来て欲しい、と語りました。山下氏は、日本は我々日本人が思っている以上に世界から注目され、期待されている、もっと世界に目を向けてほしいと話しました。
※ソフィア・ルネッサンス連続講演会は、上智大学創立100周年記念事業として2009年度からソフィア会(同窓会)と共催しているもので、国際社会への提言-私達にできること=国際的な社会貢献活動とグローバルなキャリア形成=をメインテーマに掲げています。