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英文学科 森田 杏花 (アデレード大学<オーストラリア>)
看護学科 早川 琳子 (ミズーリ大学コロンビア校<アメリカ>)
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教育学科 佐久間萌子(デ・ラ・サール大学(フィリピン))
教育学科 柴山すず (デ・ラ・サール大学(フィリピン))
LAP (中南米諸国への留学プログラム)
新聞学科  西崎奈央 (ペルースタディツアー) 
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社会学科 渡邉 日奈子 (カリフォルニア大学デービス校<アメリカ>)
史学科 佐藤 一麦 (フライブルク大学 <ドイツ>)
海外短期研修
総合グローバル学科 黒沢 直也 (ロンドン大学SOAS)
機能創造理工学科 赤井 秀行 (カリフォルニア大学デービス校<アメリカ>)
国際教養学科 井上 咲 (カンボジア・エクスポージャーツアー)
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機能創造理工学科 市川 駿(実習先:ボルボグループUDトラックス)
経営学科 光本 恵理(実習先:花王)
フランス文学科 芝 美咲(実習先:オンワード樫山)
新聞学科 中村 尭史(実習先:JICA 青年海外協力隊事務局)
国際教養学科 平田 透(実習先:ボルボグループ米国Volvo Penta)
その他海外プログラム(東ティモ-ル・スタディツアーなど)
東ティモール・スタディツアー

第5回「人間の安全保障と平和構築」 2017年 7月 11日 実施報告

 2017年7月11日(火)午後6時45分から、上智大学グローバル教育センターが主催する連続セミナー「人間の安全保障と平和構築」(第5回)が、上智大学四谷キャンパス2号館17階の国際会議場で開催されました。

この連続セミナーは、グローバル教育センターの東大作准教授が企画と運営を担当し、「人間の安全保障と平和構築」に関し、日本を代表する専門家や政策責任者を講師としてお迎えし、学生と市民、外交官や国連職員など、多様な参加者が、共にグローバルな課題について議論を深め、解決策を探っていくことを目的にしています。

第5回目は、玄葉光一郎氏 (元外務大臣、衆議院議員)が「日本の外交と国連の役割」をテーマに講演しました。

 講演に先立ち、藤村正之教授(上智大学高大連携担当副学長)が、今回の連続セミナーでは、国際機関で働いている方や、現場を体験している方の「生の声」を聞き、参加者が所属を超えて議論できるプラットフォームであると述べました。そして、解決困難なグローバルの課題が数多く存在する現代において、国際関係に関心を持っている学生が多いことは大変心強いとし、今後も多くの人に上智大学を情報交換の場として使ってもらい、出会いの場・学びの場になってほしいと抱負を語りました。

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講演で玄葉氏は、自身の外務大臣としての経験を元に、政策の責任者として感じたジレンマや体験を語りました。前半では、外務大臣の詳しい業務内容,特に日本外交と国連の関わりついて述べ、後半では、主に日本の外交の課題と展望について論じました。

 まず玄葉氏は、グローバル化が進んだことによって、外国政府および国際機関要人等との面会件数が大幅に増加したことを指摘しました。また、クリントン・米国務長官や金星煥・韓国外交通商部長官との会談回数が一番多く、外務大臣が日本にとって重要と思われる国の外交責任者と多く会談していることを紹介しました。その数は、自身の任期中に約352件にのぼっています。

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また、外務大臣としての国連との関わりについて説明しました。玄葉氏は、日本の国連外交において、「人間の安全保障」が大きな柱の1つであることを強調しました。自身が外務大臣を務めた2012年に採択された人間の安全保障に関する国連総会決議によって「人間の安全保障」について共通理解が実現したと述べました。そして「人間の安全保障」には、人間中心のアプローチ、包摂性、介入より予防の必要性などが共通の概念として組み込まれているとしました。また、この「人間の安全保障」と類似した概念としてカナダ政府が提唱した「保護する責任」がありますが、これは「人間の安全保障」よりもやや狭い概念を指すと指摘しました。そして自身が参加した、G7・8の会合においてシリアの難民問題が議論された際に、「人間の安全保障」が取り上げられず、「保護する責任」の観点から話合いがなされたことを指摘し、まだ「人間の安全保障」の概念が発展段階であることを力説しました。

 もう1つの日本外交のキーワードとして、玄葉氏は「法の支配」について論じ、国連総会で行った自身の「法の支配」に関する演説を紹介しました。「法の支配」は世界的に普遍的に見られる考え方であり、アジアにも古くから存在する考え方です。そして、この法の支配の考え方を更に発展させていく必要があるとし、国際紛争を解決する手段として国際裁判所の必要性を説きました。そのためには、国連総会で、より多くの国に国際裁判所の強制管轄権を受諾するよう求めた演説を行ったことを紹介しました。

また玄葉氏は、21世紀の日本の外交課題の一つが中国との向き合い方であることを指摘し、「いかに中国を責任ある大国にしていくかといった観点からも、法の支配がキーワードである」と力説しました。特に、アジア太平洋の中で、日本のルール形成力を高め、法の支配、民主主義、人間の安全保障や自由貿易などのルールを中心になって作る国家でありたいという思いで、玄葉氏は職務を遂行したと強調しました。

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そして、玄葉氏は自身が外務大臣として経験した国連外交について、3つの事例を紹介しました。

1つ目は、南スーダンの自衛隊派遣です。玄葉氏は、自身の任期中にUNMISSへの自衛隊派遣について、事実上の意思決定をしたことを述べました。その決断の経緯として、玄葉氏が、国家戦略担当大臣であった当時に、西田元国連大使と日本の外交課題について議論する機会があり、日本は南スーダンへ自衛隊を派遣する重要性について議論していたことも紹介しました。そして実際に、派遣を行うにあたり、防衛省も説得しながら、治安面の不安も十分に確認しながら派遣を決めたことを語りました。

2つ目は、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)についてです。NPDIとは、2010年の9月の国連総会の機会に日豪主導で立ち上げた、核軍縮・不拡散分野における地域横断的な有志グループです。玄葉氏は、大臣時にNPDI外交会合に2回参加し、2012年に広島での開催が決定され、2014年に実際に広島で開催されました。それが、昨年のオバマ大統領の広島訪問につながっていったのではないかと指摘しました

そして、自身が外務大臣として取り組んだ3つ目の事例として、ポストMDGsについて述べました。玄葉氏は、2012年の9月25日のサイドイベントで、「ポストMDGsの策定にあたって、人間の安全保障、公平性、持続可能性、強靭性といった理念が基本理念となり得る」と述べ、多くの関係者から、議論の土台を築くものとして歓迎されました。様々な議論を経て、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。そして、「Leave no one behind(だれ1人取り残さない)」といったSDGsの理念には、事実上「人間の安全保障」の考えが組み込まれていると強調しました。

講演の後半では、玄葉氏は、自身の外務大臣の経験を元に、「日本への信頼」をどのような場面において感じたかを論じました。

1つ目としては、元上智大学教授でもありUNHCRの代表だった「緒方貞子」といった具体的な人物に対して、世界中から深い尊敬の念が寄せられていたことを語りました。当時の米国務長官であったヒラリークリントンが、最も尊敬する人として緒方貞子さんの名前を挙げたことを紹介し、日本に対する信頼の蓄積に緒方氏が果たした役割の大きさを強調しました。

2つ目は、JICAや日本のNGO職員が、海外の現場で「汗」をかいて努力していることから来る信頼です。実際に、玄葉氏が大臣としてアフガニスタンを訪問した際に、JICAやNGOの方々が住民の中に入り込んで、汗を流している姿を見て感動したと述べました。また、現在のイラクで、世銀からは1人のみ、IMFからは1人も派遣されていない中、JICAの職員が9人もいることを指摘し、JICAや海外青年協力隊の存在が如何に大きいかを力説しました。JICAは、日本の顔であり、象徴にもなっており、日本への信頼を構築している事実を、玄葉氏は強調しました。

3つ目として、外務大臣当時、ある国際会合でアラブ大使に言われたことを紹介しました。そのアラブ出身の大使は、「自分たちは日本人に対するリスペクトを持っている。なぜなら、アラブ全体で放送されている「ハワーテル」(一般人を隠しカメラなどで描くドッキリ番組)で、色々な国に隠しカメラを設置し、お金がたくさん入った財布を道端に起き、各国の国民がどのような反応をするかを見た。国によってはお金だけをとったり、財布を丸ごととったりする人が多かった。その中で、日本人は殆どの人が、財布を交番に届けた。日本のモラルの高さに感銘を受けた。」と日本を褒め称えたということです。

4つ目として、玄葉氏は、日本のアフリカ支援に対する姿勢から感じたことを紹介しました。TICADの準備のためアフリカを訪問した際に、現地の方から、「中国が、中国の労働者を現地で雇用するなど、自国の利益を1番に考えているのに対し、日本は、ローカルオーナーシップを重視し、国民1人1人に支援がどう行きわたるかを考えてくれる」と言われたことを紹介しました。

そして玄葉氏は、このように現地の人々の視点に立ち、その意向を大切にして援助を行っている日本人には、東准教授が現在提唱している「グローバル・ファシリテーター(世界的な対話の促進者)」の素質が十分あると考えていると力説しました。

 また、玄葉氏は「外交」が、決して専門家だけの専売特許ではないとし、NGO、企業、個人も含めた「Full Cast Diplomacy」を展開する必要性を強調しました。その例として住友化学がCSRとしてアフリカで蚊除けの蚊帳を提供し、ビジネスに結びつけたことを紹介しました。そして、政府、個人、民間、NGOそれぞれが、外交に限らず自分の得意分野で活躍し、その総力の結集が国力になると述べました。たとえ外交に直接関与しなくても、今回の講演に参加した人たちが、国際協力などの気持や精神を忘れず、何らかの形で国際協力に関わって欲しいという期待を語りました。

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コメンテーターの都留康子教授(上智大学総合グローバル学部)は、玄葉氏が提言したFull Cast Diplomacyに大きな感銘を受けたと述べました。他方、現状を踏まえ、外務省にとってNGOの関与をどこまで本気で歓迎しているのかを、玄葉氏に問いました。一つの例として、外務省が、核兵器禁止条約に賛同するNGOと立場を異にする場合に、政府のポジションを、NGOとの協議によって変更することはないのではといった指摘をしました。

 都留教授の質問に対して、玄葉氏は、NGOと外務省の関係も属人的なところによるところが大であるとし、一般的には、外務省がNGOの重要性を唄いつつも、重要な決定過程には遠慮してもらう傾向や習性が働くことを指摘しました。しかし、誰が外務大臣かによってNGOの関り方も大きく変わることを論じました。その例として、自身が外務大臣の時に、仙台で開催された世界防災会議ではNGOに主要な役割を果たすよう指示したことを紹介しました。

 また、学生や外部の方々からも、多くの質問が寄せられました。その中で、途上国のオーナーシップを排除するような支援のあり方とは具体的にどのようなものを指すのかといった質問に対して、玄葉氏は「現地の国民のニーズではなく、支援国側の都合や利益で援助をすること」と述べました。例えば、首相官邸を建設するのと引き換えに自国の要望を実現しようとしたり、国連総会で1票を入れてもらったりする駆け引きなどが行われていることを紹介しました。

最後に司会の東准教授が、玄葉氏が、日本が「グローバル・ファシリテーター」となるための前提である日本に対する世界の信頼について話をしたことを受けて、自身が提唱するグローバル・ファシリテーターの概念について述べました。この「ファシリテーター」とは非常に謙虚なファシリテーターを指していて、自国のアジェンダや政策を他の国にアピールして、受け入れてもらうような取り組みではなく、1つの国では解決できない課題について色々な国が知恵を出し合い、経験を共有し、より良い方法を模索し、その実現を目指していく、そんなプロセスを作るリード役としての役割だと述べました。そして、そんなグローバル・ファシリテーター(「世界的な対話の促進者」)としての役割を果たす上で基礎となる世界各国からの信頼を、いかに日本が構築してきたかを玄葉氏の講演から改めて実感することができたと、会を締めくくりました。

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会場には前回と同様、150席の会場を埋め尽くす参加者がつめかけ、来年のセミナーへの期待の声が寄せられました。

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