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新聞学科  西崎奈央 (ペルースタディツアー) 
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社会学科 渡邉 日奈子 (カリフォルニア大学デービス校<アメリカ>)
史学科 佐藤 一麦 (フライブルク大学 <ドイツ>)
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総合グローバル学科 黒沢 直也 (ロンドン大学SOAS)
機能創造理工学科 赤井 秀行 (カリフォルニア大学デービス校<アメリカ>)
国際教養学科 井上 咲 (カンボジア・エクスポージャーツアー)
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機能創造理工学科 市川 駿(実習先:ボルボグループUDトラックス)
経営学科 光本 恵理(実習先:花王)
フランス文学科 芝 美咲(実習先:オンワード樫山)
新聞学科 中村 尭史(実習先:JICA 青年海外協力隊事務局)
国際教養学科 平田 透(実習先:ボルボグループ米国Volvo Penta)
その他海外プログラム(東ティモ-ル・スタディツアーなど)
東ティモール・スタディツアー

第3回「人間の安全保障と平和構築」 2017年 5月 30日 実施報告

2017年5月30日(火)午後6時45分から、上智大学グローバル教育センターが主催する連続セミナー「人間の安全保障と平和構築」(第3回)が、上智大学四谷キャンパス2号館17階の国際会議場で開催されました。

この連続セミナーは、人間の安全保障と平和構築に関し、日本を代表する専門家や政策責任者を講師としてお迎えし、学生と市民、外交官や国連職員など、多様な参加者が、共にグローバルな課題について議論を深め、解決策を探っていくことを目的にしています。

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約150人が参加

第3回目は、花谷厚JICA社会基盤・平和構築部(元平和構築・復興支援室長)が、開援援助と平和構築の関係性について、講演をしました。

 会の冒頭挨拶で、小松太郎教授(上智大学グローバル教育センター長)は、当センターが、グローバル社会において必要とされるスキルや知識を学ぶために学科横断的なプログラムを提供していること、そして、そのようなプログラム提供を可能にするため、JICAからの講師派遣や、インターンシップの受け入れなど多大な協力を得ていることを言及し、感謝の意を述べました。また、平和構築に長年携わってきた花谷氏への敬意を表しつつ、講演への期待を述べました。

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小松グローバル教育センター長(教授)

 花谷氏は、「開発援助と紛争・平和を巡る活動はいかなる関係にあるのか」、「紛争解決や紛争予防に開発援助は何ができるのか/できないのか」をテーマに講演を行いました。

 まず、花谷氏は、開発援助と平和構築が密接に関わっていることを指摘し、最初に「開発援助」と「人道支援・援助」の概念の定義づけを行い、その違いを明確にしました。開発援助とは、「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」であり、相手国政府のオーナーシップを優先し、相手国の主権(sovereignty)を尊重することを原則としています。それに対して、人道支援は、「緊急事態またはその直後における,人命救助,苦痛の軽減,人間の尊厳の維持及び保護のための支援」であり、いかなる場合においても人道・人命を優先し、公立生、中立性を原則にしています。

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花谷厚氏

 そして、開発援助が経済開発から人間開発へと歴史的に変遷し、徐々に開発援助と平和構築・平和協力活動の結び付きが強まっていることを指摘しました。その経緯には、主に2つの流れがあります。第1に、開発論の変容です。開発という概念が、脆弱国家においては、インフラを整備するだけでなく、民主化や地方行政の支援など、統治の根幹を支援していく必要があるという考えへとパラダイムシフトしたことです。第2に、国連における平和協力活動・議論の変容です。1990年代に紛争が勃発したことで、国連において「平和構築」の概念が導入され、停戦監視だけでなく、紛争後の除隊兵士の社会統合や治安部門改革、ガバナンスを含めた複合型PKOの必要性が認識されるようになりました。また、人間の安全保障の概念の浸透もあげられます。こうした二つの流れの中で、開発援助と平和構築の結びつきが強くなったと花谷氏は論じました。

 次に、花谷氏は、平和には「暴力的紛争が無い状態」である消極的平和と「暴力的紛争を生み出す構造的要因がない状態」を指す積極的平和があることを指摘しました。原則として、積極的平和を目指すのが、「平和構築」であると主張しました。

 以上の概念を踏まえ、JICAにおける平和構築支援について述べられました。JICAは、1992年のカンボジア支援を発端として、ボスニア・ヘルツェゴビナ(1996)、東ティモール(1999)、アフガニスタン(2002)、スーダン・南スーダン(2005)、ミンダナオ(2006)等において平和構築支援を展開しました。JICAの平和構築支援の対象として、①国家再建、②局地的紛争への対応、③紛争周辺国の3つをあげました。

 また、その支援の在り方は歴史的に推移してきました。1990年代には、首都を中心とする基幹インフラ整備など「復興事業」が平和構築支援の中心であったのが、2000年代には、上からの行政能力強化と下からのコミュニティ・エンパワメントを通じ、「人間の安全保障」の実践を目指した平和構築支援が展開されるようになりました。2010年代には、難民問題を中心とした人道支援との連携強化や、地方開発・社会サービスを提供する能力強化を通じた政府への信頼回復など、「国家建設」を目指す平和構築支援がなされるようになりました。

 JICAは、平和構築支援を 「紛争影響国・地域を対象として行われる、暴力的紛争が発生・再発しない国家建設を目的とした支援」と定義づけており、社会的・物理的なショックや変化に対応して、統治の安定性を維持できる耐性の高い国家作りの支援を目指しています。そのために、「紛争要因を助長しない(do no harm)」、「紛争要因を積極的に取り除く」を軸に①政治的プロセス・制度支援、②国家の基礎的能力構築、③基礎的サービス提供と保護、④社会の和解促進・能力構築の4つのアプローチを展開しています。

 花谷氏は、南スーダンとミンダナオ紛争影響地域に対する平和構築支援の事例をもとに、開発援助を通じた平和構築支援の特殊性を浮き彫りにしました。情勢変化を予見する難しさや、相手国政府の能力が非常に低いため、支援のリスクが高いことを挙げました。また、援助そのものが持つ政治性を指摘し、誰が主権を持ち、誰が国民から最も信頼を得ているかなどを見極める難しさを述べ、資源分配においても、いかに公平性を保つかが重要であると力説しました。また、最後にJICAの平和構築支援に対する評価として、品質の高さや着実性などをあげ、今後の課題についても触れました。

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東准教授 花谷厚氏 小松教授

コメンテーターの小松教授は、教育分野で平和構築を意識した教育支援に携わってきたと述べ、その時の経験と研究をもとに、教育分野では、「do no harm」と平和構築(peacebuilding)を区別している点を挙げました。Do no harmとは、支援をすることにより、さらに紛争の要因を作らないようにすることであり、特定の集団がいるところだけに学校を作らないようにするなど、社会的インパクトに配慮した支援のアプローチを指します。それに対して、peacebuildingにおいては、個人や社会の変容(transformation)といった、より積極的な役割を教育に期待しています。民族間のヒエラルキーなどの構造的暴力を解決するためには、個人や社会の変容が必要不可欠だが、それは他方で既存の利害構造を変えてしまうことがあります。そのため、既存の受益者の反発が大きくなるケースがあり、特に、受益者が政党を担っている際に、変化を促すことの難しさを指摘しました。この現状に、国と国をベースに仕事をしているJICAがジレンマを感じているのではないかと述べました。さらに、このような「変容」をもたらす役割を、誰(市民組織、政府、国際機関、2国間援助機関など)が主体となって担うべきか、教育分野において国際的に議論がなされていることを指摘しました。

司会の東准教授は、ミンダナオの和平が2008年に危機を迎えた際に、緒方貞子さんがJICAの要員を減らすのではなく、かえって増員したことがミンダナオの関係者が日本への信頼を高めるにあたって、決定的であったことを指摘しました。人は、苦しい時に自分を見放した人を忘れないが、苦しい時に変わらず応援してくれた人のことはもっと忘れないという心理が、個人や国家においても適用できると述べました。それを踏まえ、今年5月末に南スーダンから自衛隊施設部隊が撤収した今、今後、日本が南スーダンとどう向き合うかは、日本が、破綻しそうな国とこれからどう向き合うのかを象徴的に示すことになるとして、周辺国での南スーダンの官僚やテクノクラートの人材育成などの代替支援策を打ち出すことが極めて重要であると強調しました。

 講演後、学生や外部の方々から多くの質問が寄せられました。その内の「援助をする側とされる側のミスマッチが多々あるなか、実際に現地で必要とされている支援がなされているか」という質問に対し、花谷氏は、ニーズが多種多様であるため総意を作ることが難しく、どこかに足がかりを見つけてニーズを特定する重要性があることを述べました。また、JICAが、当該政府を窓口にしながら、住民からも意見を収集するよう努めていることを述べました。 さらに、現地のニーズを叶える際に、彼らが希望するものを維持管理できる能力があるか留意する必要があることを指摘しました。特に公共財においては、「自分のものは大事にするけれど、みんなのものは大事にしない」という問題が生じ、管理が難しいことを例として挙げました。

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多くの質問が会場から寄せられた

会場には第2回と同様、150人近くの参加者が集まり、最後まで熱心な質問が飛び交い、今後のセミナーへの期待の声が寄せられました。

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